野球伝来150年を記念して

野球雲がお薦めする野球本は、

「ニッポン野球の青春」 菅野真二著(大修館書店)

 

 

 

日本野球史を知るには様々な本があります。

古くはベースボールマガジン社から発売されていた

「真説日本野球史」大和球士著

日本に野球が入ってきた時期を特定し、

その功績で野球殿堂入りを果たした

君島一郎著「日本野球創世記」などがあります。

 

今回の「ニッポン野球の青春」は、

とても読みやすく、それでいて

日本野球がどのような人が、どのような組織が

作っていったのかが、わかりやすく書かれています。

 

1872(明治5)年頃、日本に野球が伝わってきたが、

本格的な野球をしたのは明治10年ごろの

平岡ひろし率いる新橋アスレチックスからはじまり、

旧制一高の野球が日本の頂点になった明治20年代の

武士道野球の成り立ち。

 

慶應義塾大学、早稲田大学の野球部が

果敢に一高野球に挑戦していく様子。

早慶戦がどのように日本の野球を牽引していったか?などを

物語風に時代が進んでいき、

風景が頭に浮かぶような感じがします。

 

特に最初の早慶戦は、

実は早稲田大学が慶應義塾大学に胸を借りるように

試合を申し込んだのがはじまった。

 

早稲田の部員が慶應の主将に試合申し込みをする際に

慶應の垢ぬけた様子に驚く場面や、

試合当日、早稲田の野球部員が

早稲田から、慶應の三田球場まで徒歩で向かう様子を

地図を載せて解説しているのが面白く、

今のようにクルマや鉄道で移動するのも

当たり前でなかった時代も感じさせてくれる。

 

(早稲田の学生が慶應義塾大学まで歩いたコース)

 

そして、加熱する早慶戦、

早稲田大学の米国遠征による、近代野球の導入。

東京六大学野球が出来上がっていく過程など、

東京の野球の変換ともいえる物語が進む。

 

昭和時代になり、加熱する大学野球に

国が統制令を出し、軍部からの弾圧がある様子など、

先人の野球人の苦労や野球にこだわる事情なども

とても分かりやすい。

 

明治時代から一高、早慶戦、東京六大学野球が発展する様や

最後は太平洋戦争に翻弄される野球が戦争を乗り越え

多大な犠牲のもと、戦後の野球人気を作り、

野球の頂点が学生野球からプロ野球に代わっていくまでの

日本野球史がこの1冊で解ります。

 
気軽に読めるので、
初めて日本野球の歴史を知りたいと思ったら
最適かもしれません。
 

 

 

 

 

 

 

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