三浦方義投手 右投右打
青森県三戸郡五戸町出身
1933年8月22日～
以前、野球雲でシーズン30勝以上した投手をご紹介しました。
色々、調べてみるともう少しで30勝投手もいたことで
そうそうたる面子の中で、ひときわ目立つのは
1956年29勝14敗で最多勝を獲得した
三浦方義投手です。
★29勝投手
29勝をした投手は過去7人います。
その中で最多勝を獲得したのは4人。新人は堀本律夫投手。
金田投手はご存じ通算400勝、30勝も経験。
藤田投手は短命ながら巨人で「悲劇のエース」として
堀本投手も藤田投手と両輪の活躍をしました。
バッキー投手は阪神で村山投手とともに優勝に貢献。
小川投手は背面投法として、中日のエースでした。
米田投手は350勝あげ、阪急を支えた名投手です。
通算勝利記録では三浦投手（64勝）、堀本投手（63勝）、小川投手（95勝）と
3人が100勝未満と、瞬間きらめいたイメージです。
その中で三浦投手は大映スターズでタイトルを取りましたが、
大映スターズが吸収、合併の繰り返しで、現在は傍流球団として
忘れられる存在になりがちです。
という事で、三浦方義投手を29勝投手列伝としてご紹介します。
青森県出身で五戸高校に進学し、野球部に入部。
高校時代の1950（昭和25）年6月28日、青森市営球場で行われた
巨人 対 西日本 （パイレーツ）戦を観戦。
この試合は巨人の藤本英雄投手が日本プロ野球初の完全試合を達成。
藤本投手の素晴らしいピッチングに「いつか、自分も藤本投手のようになりたい」と思い
1951（昭和26）年、巨人のテストを受け、強靭な下半身を評価され、
見事、巨人に投手として入団。
しかし、当時、地方の野球とプロ野球の練習は全く違うもので、
自己流だった三浦投手には地獄の日々だったが、
新田恭一コーチが将来性を評価し、千葉 茂助監督には
まじめな練習態度を誉められ、耐え抜いた。
グランド整備をしながら、憧れの藤本英雄投手の練習を観察、
そして、ある時スライダーの握りの秘密を発見し、
天に昇る気持ちになる具合だったが、巨人の厚い投手陣に阻まれ
結局、1956（昭和31）年にパ・リーグの大映スターズに移籍。
ここで、三浦方義投手は才能を開花した。
キャンプ中に大映のエース林義一投手から左足の踏込みの欠点を指摘され、
それを克服し、フォームもオーバースローからサイド気味に変更したら
カーブが決まりだした。巨人5年間で未勝利だったのに、
4月22日西鉄戦で初勝利し、弱い大映スターズだったため、
調子のよかった三浦投手はローテーション投手となった。
この頃のパ・リーグではスライダーを投げる投手が少なく、
好調なピッチングも含めて、左打者の内角に決まるスライダーは
強打者大下弘を苦しめた。
大映スターズの藤本定義監督は
戦前、巨人第一期黄金時代を作った監督で、戦後1948年から
金星・大映スターズで指揮を振っていた。
藤本は投手のローテーションを守り、当時としては無理をさせないようにしていた。
そのためか、1956年の三浦投手は安定した投球をしていった。
結局、29勝14敗で最多勝を獲得、防御率1.77で5位の成績を残した。
この年の大映スターズは154試合57勝94敗3分．3799と7位で
藤本監督は6月3日で休養、松木謙治郎代行になった。
三浦投手の成績を引いたら、28勝80敗 勝利．2593と
高橋ユニオンズに抜かれ、ぶっちぎりの最下位となり、
ユニオンズではなく、スターズが解散していたかもしれない。
大映スターズにとっては三浦投手は救世主だったのだ。
しかし、大映は高橋ユニオンズと吸収、合併し、大映ユニオンズとなり、
1958（昭和33）年に毎日オリオンズと合併し大毎オリオンズになった。
三浦投手は1957年に12勝21敗（リーグ最多敗戦）、1958年に11勝8敗と
球団としては準エースな活躍を見せたが、1959年には3勝8敗と衰え、
大毎が優勝した1960年には2試合で0勝0敗に終わり、
結局1962昭和37）年に29歳の若さで引退した。
引退後は長くコーチとしてプロ野球に残り、
その後に活躍する成田文男、八木沢壮六、木樽正明、村田兆治などの
名投手を育てた。
30勝には届かなかったが、1956年の29勝は
当時のパ・リーグ新記録だったが、翌年、鉄腕稲尾和久投手が
35勝で最多勝をあげ、1年で記録は塗り替えられた。
しかし、永遠に1956年パ・リーグ最多勝の記録には刻まれているのです。
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