ヴィクトル･スタルヒン という名前は
少し、プロ野球の歴史を知った人には
常識のような名投手です。
本名：ビクトル・ペドロビッチ・スタルヒン
１９６０年最初の競技者表彰者
沢村栄治 という日本球界の伝説、神話化名投手がいたために
有名な割には「結局どんな投手なの？」というイメージもあります。
しかし、記録的にも記憶的にもプロ野球史上ベスト１０に入る豪腕投手なのです。
●１９３６年から１９４３年はスタルヒンの時代。
戦前のプロ野球最高の投手。
昔、テレビでスタルヒン投手の投球映像を見たことがあります。
沢村投手のようにダイナミックな投げ方ではないような感じでしたが
１９０センチを超える長身から投げ下ろすフォームは風格がありました。
なにしろ、１９３６年に入団したエピソードに
ロシアから亡命して無国籍状態の旭川の旧制中学にいたスタルヒンを
巨人軍のスカウトが「国籍が無く国外追放の通報さをれたくなかったら入団しろ」
といわれ旭川からひとり上京する話は、切なく泣けてきます。
１９３４年の日米対抗野球の全日本軍に参加後
巨人軍に入団、当初は沢村の陰に隠れて目立たなかったが
沢村投手兵役後、あっという間にエースになり、
巨人軍在籍の９年間は
試合：３３７ 完投：１９２ 完封：６２
１９９勝６１敗 勝率：．７６５
投球数：２２４５回 奪三振：１２２５ 自責点：３４１
防御率 １．３７
特に１９３９年には４２勝15敗 防御率１．７３の大活躍で
最高殊勲選手賞（ＭＶＰ）に輝いている。
（42勝は稲尾投手と並ぶ日本記録）
大車輪の活躍で巨人軍６連覇の立役者でした。
こんなにプロ野球界（職業野球）に貢献しても
戦争のため１９４０年に理不尽にも日本語に改名させられ
須田 博という名前で活躍したのは有名な話しです。
１９４４年には外国人ということで軽井沢に抑留
外国人キャンプに閉じ込められていたそうだ。
巨人軍に脅され、最後は捨てられ
戦後は米軍の通訳として生活していたところ
巨人時代の監督で恩師の藤本定義監督に発見され
パシフィック球団に入団。
その後、戦前の巨人軍とは違い弱小球団を藤本監督とともに渡り歩き
1955年にトンボユニオンズ在籍を最後に引退。
日本発の300勝投手としても名を残し、
通算８３完封という、いまだ日本記録の成績を残し引退した。
小学校６年生の頃、プロ野球で活躍した先人の話に興味が出てきて
スタルヒン投手の存在をかなり強烈に感じ、
昔の野球体育博物館に行き、スタルヒン投手の野球殿堂レリーフを見て愕然とした。
引退後、直ぐに交通事故で亡くなっていたのだ！！
子供ながらあまりにも衝撃で、スタルヒン投手を
「ヒーロー」として見ていたのを意識した瞬間だった。
いい大人になり、スタルヒン投手の話や本を見るようになって
あらためて驚いたのは、
１９５７年１月１２日に自家用車を運転中投球多摩川線に衝突し
亡くなったということだが、事故の直前にブレーキ痕が無かったというのだ。
スタルヒン投手は逆境をバネに投げぬき、引退した。
体は大きいけど心優しいロシア生まれの日本人は
みんなに好かれていたようだ。
経済的に引退後はあまり恵まれず、
寂しがりやだったスタルヒンは最後事故（？）で逝ってしまった・・・。
時代にもまれた名投手をもっと、もっと
野球界は顕彰して欲しい。
彼がいなかったら巨人軍はどうなっていたのか・・・・？
４２勝という日本記録を語るとき
必ず「スタルヒン」という元祖鉄腕投手が出てくることはなんとなくウレシイ。
稲尾投手とスタルヒン投手・・。
どちらが凄いんだろうというのは馬鹿げている。
記録も記憶も凄い選手はもう出てこないかもしれない。
巨人時代の背番号は「１７」
戦前、巨人最高の投手だったスタルヒンの背番号は重い。
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