野球映画の傑作のひとつに
「フィールド・オブ・ドリームス」がある。

1989年に公開された
野球をベースにした大人のおとぎ話だ。




フィールド・オブ・ドリームス [Blu-ray]/ジェネオン・ユニバーサル

¥2,037
Amazon.co.jp


公開のころ友人と観に行ったのだが、
友人は「ロボコップ」を見たいということで
先に「フィールド・オブ・ドリームス」を見てランチ、そのあと「ロボコップ」という
なんとも余韻もない感じだったけど、
それでも、フィールド・オブ・ドリームスのノスタルジーな雰囲気と
アメリカの野球文化への奥深さを始めて知った気持ちになった。

シューレス・ジョーことジョー・ジャクソンが亡霊となって
主人公のレイ・キンセラの心の楔を取り除くための狂言回しとして登場する。
それは美しいトウモロコシ畑の球場から
ブラックソックス事件の当事者達やメル・オットー、
スモーキー・ジョー・ウッド、ギル・ホッジス等が
試合をするために集まってくる。

タイ・カッブは普段の恨みで呼ばなかったらしい(笑)

物語の後半でキーパーソンになる、野球選手が
「ムーンライト・グラハム」ことアーチー・グラハムだ。
とても印象的なニックネームだが、
映画では1922年ニューヨーク・ジャイアンツで
1試合、そしてたった1イニングのみの守備だけ出場で、翌年引退したという
キャラクターの晩年をバート・ランカスター演じている。

1972年、グラハムは小さな町で、医者として成功しているが、
唯一の心残りが、1回メジャーの打席に立つことだった。
その夢をかなえるために、キンセラが「とうもろこし球場」に行こう。と
誘うものも・・・・、とぐっと来る場面がある。


映画を見終わって、メジャーリーグの全記録が載っている洋書で
調べてみると・・・・、あったのだ!
ムーンライト・グラハムが!!






1879年生まれ、1965年に亡くなっている。
デビューは1905年ニューヨーク・ジャイアンツ。
そして、外野手として1試合守備をし、打席になっていないのがわかる。

ムーンライト・グラハムの記録を見たときに
インパクトの大きさはかなりのものでした。

1905年のニューヨーク・ジャイアンツは
前年リーグ優勝したもの、ジョン・マグロー監督が
「格下のアメリカンリーグとは戦わない」と
ワールド・シリーズを拒否!
あらためて、ジャイアンツの実力を試された年

そして、雑音を打ち消すように
圧倒的な強さを見せ、105勝48敗.686の高勝率で優勝、
スモールベースボール時代の頂点に達した。


チームの強さは闘将ジョン・マグロー監督と
大エース、クリスティー・マシューソン。

1905年のクリスティー・マシューソンは
31勝9敗、防御率1.28で最多勝と最優秀投手のタイトル
最多奪三振206を加えて投手三冠に輝いた。

アスレチックスとのワールドシリーズでも
3試合を投げ3完封の魔人のような活躍で
4勝1敗で優勝した。

メジャー最強のチームが故の選手層の厚さだったのか、
マグロー監督の気まぐれなのか?
ムーンライト・グラハムは世界一のチームから1試合の出場だけで離れた。

映画ではその薄い記録のグラハムとジョー・ジャクソンという
天才打者とのつながり方が泣けてくるのだ。

1920年代と1960年代とアメリカが一番狂乱だった時代を
野球を通して進んでいく物語がストライクだ。

リアルな野球では記憶も記録も残せなかったが、
ファンタジーの世界で記憶に残る選手となったのが
ムーンライト・グラハムだ。

シーズンが始まるまでのの寒い日に野球映画で楽しむのは良いものです。

 

*********************************

野球雲チャンネルやっています!(Youtube)

 

野球雲はいつも古い野球とその周辺文化について書いています。
取材の裏話、泣く泣くカットした話、貴重な資料……
さらにディープな野球劇場はこちら↓
野球雲無料オンラインマガジン

 

 

データ協力 日本プロ野球記録

データ協力 たばともクラシックSTATS鑑賞

データ協力篠浦 孝氏