戦前の野球を知るに、
興味深い映画を紹介したい。

日本は太平洋戦争という、大きな災いがあったため
戦争以前の貴重な文化や生活の記録など失ったものは多い。
そのため、戦前の野球選手の写真、記録なども失っただろう。

特に戦前のプロ野球は職業野球といわれ、
東京六大学野球より人気は数段落ちていたと言われている。
そのため、当時のプロ野球選手、関係者は必死に野球をしたのかもしれない。

そんな悲壮感のイメージがあった職業野球の世界と
当時の少女スターとのコラボレーションが見られる映画がある。
それが1940年(昭和15年)1月31日に公開された
「秀子の応援団長」だ。撮影は1939年ごろでしょうか?






「秀子の応援団長のストーリー紹介」

後楽園球場を舞台に、当時最高の人気だった高峰秀子を主人公に
架空の球団「アトラス」の応援団長の秀子を中心に描かれている青春映画だ。

高峰秀子の可愛いさは当然として、
1940年の日本女性のキュートさに心躍りますが、
野球雲的に観て驚いたのは、当時の職業野球チームの選手達が
続々と出てくるところだ。

以下が映画に登場する伝説の選手達だ。



[東京巨人軍]
17 スタルヒン、19 水原茂、27 吉原正喜、3 中島治康

[大阪タイガース]
9松木謙次郎、18若林忠志、31堀尾文人、32森国五郎、36小林吉雄、
6景浦将、27松広金一、29皆川定之、12田中義雄、38三輪八郎、
17門前真佐人、35中田金一

[セネタース]
12佐藤武夫、19保手浜明、18野口ニ郎、5尾茂田叶、
7浅岡三郎、14横沢七郎

[阪急軍]
6石井武夫、12日比野武、23土肥省三、14西村正夫、7下村豊、
22重松道雄、24黒田健吾、5上田藤夫、16山下好一

名古屋軍の西沢道夫が(ユニフォームが名古屋ではない)
アトラス軍打者と対決の場面で
投球している。


動く姿」が見られる、驚愕の映画だ!

巨人の吉原正喜選手の笑顔、中島冶康のバッティングフォーム
タイガースの景浦将の無表情にノックを受ける姿。

戦前で消えたセネターズのユニフォーム姿
古い野球好きにはよだれものです。

アトラス軍の投手がデビュー直後の灰田勝彦!
戦後「野球小僧」を歌った歌手だ。

戦前の後楽園球場、上井草球場?
西宮球場、甲子園球場も見られる。

後楽園球場周辺の映像は高い建物がなく、
空と空間が広いのも何とも言えない気持ちになる。

ビデオソフト化に一度はなったものの
今では廃盤・・・。
高値で取引されている。
いまだDVDになっていない。

この映画は、超一級の野球遺産だと思うので、
NPBは版権を借りるか、思い切って買って
きちんと野球史の資料として年に一度でもいいから
スクリーンで上映してほしい。

そろそろ、野球界全体で野球遺産を保管していかないと
野球史を楽しむ事が難しくなりそうで怖い。

11月7,8,9日と野球雲のイベントを開催させてもらったが、
来場していただいた70歳以上の野球ファンの
大下弘、別所毅彦、シールズを観た話は面白かった。
少年時代に見た野球選手は年を重ねても英雄なのだ。

だから、これだけきちんとした映像は
映画界だけでなく野球界もきちんと収集していけば
結果的に野球文化の未来につながると思うのです。




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