若かりし時、語学と資料収集のためドイツに行った。テレビで統一の光景を観て、ベルリンにはどうしても行きたいと思った。

 統一3年後のドイツは、自由とはかけ離れた現実を突きつけられていた。街中の至る所にネオナチの落書きがあり、トルコ人の排斥運動が盛り上がりを見せていた。テレビでは、ユーゴスラビアの激化する紛争を連日のようにニュースに流れていた。

 日本で観ていたドイツは、市民が自由の得た国というイメージがあまりにも強かった。しかし、実際は東西格差を顕在化させ、人々は怒りの矛先を移民に向けた。

 現在同じような傾向が日本にもある。自国の治安の悪化を自己反省ではなく、国内で働く外国人のせいにしようとする。ベルリンのような苦難がなかった日本人は、安易な思考に陥っていることに気づていない。

 市民としての教育が今こそ必要である。自由を享受することの難しさを学ばなければならない。