関係者によると、複数の段ボール箱に詰められた証拠品が4月下旬、公取委から東京地検に搬送された。整理する段階で、うち一部の所在が箱ごと分からなくなり、その後、地検の清掃業務を請け負う業者が誤って廃棄したことが判明。既に溶解処理されたという。
この入札談合は、機構の担当理事が中心に進める「官製談合」の疑いが持たれており、公取委が4月19日、独禁法違反(不当な取引制限)容疑で同機構本部と受注側10社の強制調査に着手。特捜部への刑事告発に向け詰めの調べを進めている。紛失した証拠品は、こうした過程で押収した帳簿類などとみられる。
独禁法違反の調査では、まず公取委が調べて刑事事件にするべきだと判断すれば、検事総長に告発する「専属告発」制度になっている。
ただ実際には、脱税事件での国税当局との関係と同様、事前に情報交換など連携することが多く、今回のケースでも特捜部は既に、関係者から事情聴取を進めていた。
最高検によると、検察が押収した証拠品では昨年、保管していた覚せい剤を求刑前に廃棄するなど計4件の誤処分、紛失があった。
また、警視庁捜査1課が2月、東京都渋谷区の短大生(20)が殺害され、遺体を切断された事件で、凶器とされる木刀やのこぎりなど4点を紛失したと発表。担当者を処分した。
■緑資源機構談合事件
農水省所管の独立行政法人「緑資源機構」発注の林道整備事業をめぐり、機構の森林業務担当理事らが、測量などの業務を割り振る「官製談合」をしたとされる。公正取引委員会は2006年10月、機構や受注法人などを立ち入り検査。その後、悪質な組織的談合が繰り返されていたとみて、独禁法違反(不当な取引制限)容疑での刑事告発を前提とした犯則調査に切り替え、今年4月、強制調査を実施した。対象になった受注側の5公益法人は、林野庁OBや機構幹部らを多数雇用しており、天下りを見返りにしていたとみられる。
■当方に全責任ある 東京地検の岩村修二次席検事の話
職員が公正取引委員会から預かっていた証拠物の一部を誤って紛失し、廃棄される事態が生じたのは事実だ。当方に全責任があり、おわびするほかないが、詳細については、いずれあらためて説明したい。
■あまりに管理ずさん 元最高検検事の土本武司白鴎大法科大学院長(刑事法)の話
あまりにずさんな管理だ。証拠品の紛失は過去にもあるが、箱ごとというケースは耳にしたことがない。所有者が賠償を求めれば国は完全に負ける。日本は精密司法と言われるが、要は証拠による立証が精密だということ。証拠品の紛失は「不適切さ」の程度としては最高位だ。仮に有罪に導くための決定的な証拠だったら、管理を担当していた職員を免職や停職など重い懲戒処分にするべきだ。
- 松竹
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