著者:松岡圭祐

 

内容:いま稼げる仕事はユーチューバー? 投資家? いや「小説家」をお忘れでは? ミリオンセラー・シリーズを多数持つ「年収億超え」作家が、デビュー作の売り込み方法から高額印税収入を得る秘訣まで奥の手を本気で公開。私小説でもライトノベルでも、全ジャンルに適用可能な、「富豪専業作家になれる方程式」とは? ここまで書いていいのか心配になるほどノウハウ満載、前代未聞、業界震撼、同業者驚愕の指南書!(amazonより)

 

 

 大分また久々の更新となります笑。今後は恐らく前のように頻繁には更新できないかもしれません笑。まあ、あまり誰も気にはしていないでしょうが笑。ただ、ボチボチやっていきたいとは思いますので、宜しくお願い致します。こちらの新書は、別に自分が何も小説家を目指しているから読んでみたわけではありません笑。ただ、松岡圭祐さんという現役小説家が、こんな内容の新書をどういう風に書いているのかなと、気になってしまったので、つい手に取ってみました。割と自分は、作り手側の思想や哲学にも興味があるタチでして。まあ、割とそういう人も多いのではないかなと思いますが。ちなみに松岡さんの本は、「高校事変」や「ヒトラーの試写室」、「ミッキーマウスの憂鬱」辺りは読んだ事があります。結構たくさん小説を書かれていて、しかも多ジャンルである印象です。自分は「ヒトラーの~」辺りは非常に楽しんで読めましたね。とにかく、今でも現役バリバリで、売れっ子作家でありますね。ですからまあ、当然説得力はあるのではないかな?と純粋に思いますよね。実際に、「今」活躍されているわけですから。ただ、仮に意地悪な視点で読みますと、果たして本当の事を教えているのか?というような気持にもなります笑。作家さんからしたら、あまりポンポンとライバルになりうるような人に出てきてほしくないという気持ちも、あるのではないかなと笑。逆に言えば、「出てきてくれても、寧ろ嬉しい」くらいに思っているのであれば、それは松岡さんの所謂「余裕」の証明かもしれません笑。実際に、松岡さん曰く、自分のデビュー当時にこの手のハウツー本があってほしかった、という気持ちがあったそうですね。ですから、自分でそれを作ってしまったという経緯なのでしょう。

 

 読んでみますと、これは大分具体的なハウツー本ですね笑。小説の書き出し方、アイディアの作り方等々、まあはっきり言って相当実践的だと思います。少なくとも「精神論」ではないですね。「こういう気持ちを持って~」とか「こういう思考を持って~」といった具合に、メンタル面に逃げていないと言いますか笑。まあ、これこそが、何度も言いますように、現役で活躍されている小説家であるから書ける内容だと思うんですよ。まあ、簡単に言えば、「妄想力」の広げ方をレクチャーしてくれている印象ですね。また、現代の小説読者に対しての考え方も書いていますので、さすがまあ、とことん具体的です。しかも、著者自身がこれから小説を書こうとする人に対して、「妄想力」の大事さを説いてはいますが、同時に著者自身の「妄想力」も遺憾なく発揮された本になっていると思うんです。と言うのも、この本の大部分が、「売れる前」の心得を書いているというよりは、寧ろ、「売れた後」での心得について書かれた本なんですよね。ですから、例えば、「安定したヒット作を生むには、続編もあり」とか、「編集者や担当者との関わり方」であるとか、あるいは「売れた後の作家としての立ち振る舞い方」「お金の使い方や管理の仕方」等々、その辺の状況に関して具体的にアドバイスしてくれるわけです。「実際にデビューしたら~」を詳細にシミュレーションするという、それが正に「妄想力」だと思うんですね笑。まあ、もちろんそれは松岡さん自身の実体験から来るレクチャーだと思うんですけども、それにしてもまあ、確かにこの「売れた後~」のレクチャーに関しては自分も初めて読んだかもしれません笑。大体、「良い小説の書き方」とか「良い文章の書き方」という、その作りのテクの部分に関してアドバイスしそうなものですけどね笑。ましてや、そういった世界に関しては、部外者にとってはほとんど知らない世界なので、単純に興味深いですし、色々勉強にはなりました笑。

 

 はっきり言って、例えば、編集者や担当者との付き合い方という章になれば、自分の感想で言うと、そう目新しい事や斬新な事が書いてあるとは思いませんでした。逆に言えば、まあ安心ではあります笑。と言うのも、例えば、自分自身が「驕らない」ですとか、「礼儀正しく接する」等々、割とどんな人と関係する際にも大事な事が、改めて書かれてあるだけなんですよ笑。別に小説家ではなくても、例えば、お店の店員であれば、お客さんに対しては失礼の無いように接するでしょうし、友人だろうが親だろうが、まあ、最低限の礼儀は持って接するのが、当たり前ですよね笑。もはやこれは、普遍的な「人付き合い」のお話なわけです笑。まあ、あくまで常識の範囲内というやつではないでしょうか笑。ですから、それがまあ、わかっている人には別に面白みは無いかもしれません笑。と言いますか、まあ、普通に働いている人であれば、それは何度も言うように至極当然という事であって笑。ただ、作家なんて肩書が付けば、確かに「〇〇先生!」とか、何か周りが持ち上げていて、そしてどんどん立場も偉くなっていってというような、そんな偏見と言いますか、イメージがありますから笑、それを制する為の正に心得なのでしょうね笑。「当たり前」とは言っても、人間、「箔」が付けば、案外それが難しい事なのかもわかりません笑。個人的な感想を言えば、やはり「何を以って優れているのか?」という著者の、より「小説」というジャンルに対する考えも少し知りたかった所ではあります。実際この本の中では、小説の作り方や出来栄えに、正解や形は無いとは書いていますけども、どこかに松岡さん自身の答えもあるのではないかな?とは思うんですよね。そうでなければ、それこそ今も売れっ子でいれるわけはないと思うわけです。まあ、それをそれこそ「断言」できるほどのまだ立場ではないという、松岡さん自身の謙遜もあるのかもしれませんがね。まあ、何だかんだ、この本があくまで「ハウツー本」という作りなわけでありまして、正にそのジャンルはこういう作りであるのかもしれない。あまり自分はその手の「ハウツー」というのは手に取った事がないもので。要は個人の主張は挟まないという、作りなのが正解なのかもしれません。

 

 

 ある程度、万人にと言いますか、公に伝わる事をレクチャーしなければ、そもそも「ハウツー」としての存在価値が薄まりますからね笑。ある一定の人にしか通じないものでは、よくできたハウツー本とはならないのでしょうから笑。まあ、これを読んで参考になる部分というのは、別に小説家を目指さずとも色々あるかとは思います。ただ、あとは努力する才能があるかどうかでしょうね笑。

 

 

おすすめ度☆☆☆