昭和の悪役シリーズの9人目,本日の役者は“安部徹”さんです.ここまで,必殺シリーズを中心にして時代劇での悪役を懐古してきました.安部さんも時代劇での名悪役であり,必殺シリーズへの出演は控えめですが,水戸黄門や大岡越前では主に悪代官役で存在感をアピールしておられました(しかし,画像はいつものように必殺シリーズです).
この方↓
必殺仕事人 第10話 「木曽節に引かれた愛のその果ては」
もう一つ→
どことなく神田隆さんに似ておられます
しかーし,戦記物・戦争映画大好き人間である昭和おやじにとって安部徹さんと言えば,太平洋戦争物での海軍の指揮官役が強ーく印象に残っております.その中でも特に,つぎの2作品への出演が印象的でした(セリフは,それほど多くはないのですが.両作品ともに,何度見たか分かりませんね).ひとつは,「連合艦隊司令長官山本五十六(1968年)」での連合艦隊参謀長 草鹿龍之介,もうひとつは,「連合艦隊(1981年)」での第二艦隊長官 栗田健男役です.
まぁ,はっきりと申しまして,上記のお二方は太平洋戦争における悪玉軍人(両名とも海軍です)として扱われていると言っても良いでしょう.草鹿龍之介はミッドウェー海戦において実質的に指揮を執った艦隊参謀長であり,自分の失策を取り繕うために「運命の5分間」なる欺瞞の説を戦後に流布した張本人です(ココ).米艦隊発見との報告を受けた時に,驚愕と狼狽の表情で「なにぃっ!」と絶句した安部さんの演技を忘れられません.
また,栗田健男はレイテ沖海戦において,レイテ湾への突入という目的を小沢艦隊の犠牲によりほぼ目前にしながら(と言われている),突入を諦めて反転・撤退を決断した指揮官です.
安部さんはあの風貌ですから,どうしたって憎まれ役がはまります.風貌と押し出しだけではなく,台詞回しや声色なども悪役そのもので,決して,東郷平八郎や乃木希典や山本五十六ではないのです.
“激動の昭和史 軍閥(1970年)”では,南雲忠一を演じていたのですが,この将軍も評価が高いとは言えず,ミッドウェー海戦での敗軍の将であり,サイパン島で戦死されました.実在した軍人を悪役と称するのもどうかと思いますが,まぁ仕方がないでしょう.でも,少なくとも安部さんが演じるということは,その時々における歴史のキーマンではあったと言えます.
またWikipediaによると,実際に安部さんは太平洋戦争では二等兵として召集されるも,仮病を装い通して戦地へ行くことを逃れたそうです.あの時代に,そんなことをやり通したとは大変なことで,尋常な精神力ではないですね.その安部さんも,平成4年の1993年に鬼籍に入られました.もう,20年以上も前のことなんですねぇ.昭和おやじにとっては代表的な昭和の悪役でした.

