円谷映画2,妖星ゴラス | 昭和を懐古する部屋

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番外編2:SF映画,妖星ゴラス(1962年)

斬新度  :80点

緊迫度  :70点

怪獣評価度:20点

この作品は番外編というよりも,限りなくベスト3に近い4位,といったところです.ストーリーは,土星探査機によって地球の約6000倍の質量を持つ黒色矮星“ゴラス”が発見され,日本の科学者が精密なる軌道計算をした結果,地球との衝突が避けられないという恐るべき結論が導かれ,それを回避するために人類の英知を結集して・・・・,といったものです.ブラボー!日本の科学者たち.昭和おやじが生まれた翌年の作品で,小学生の時にテレビで見た映画なのですが,その設定が当時としてはとても斬新でありながら,しかしリアルな恐怖に思えたのです.だって,ノストラダムスが流行っていましたし,“なんとか彗星”みたいなのが,しょっちゅう地球の近くを通過するなんてことを聞いていましたから,実際にありえる話だなと.

妖星ゴラス→

 

で,その地球破滅の回避策として,ゴラスを爆破する計画と地球の軌道を変える計画の2本立てで進めるのですが,既に爆破は不可能であることが判明して残るは軌道変更案のみ.その方策として,人類は総力を結集して南極にロケット推進装置を建設するのです.もちろん日本人が中心となってです.日本人バンザーイ.黒色矮星が衝突するという設定も良かったのですが,ロケット推進装置で地球の軌道を変更する,この斬新な(と思った)発想にも高ポイントです.そして,ロケット推進基地の建設中に南極怪獣“マグマ”が建設工事の影響で永い眠りから覚めて,人類最後の希望であるロケット基地の建設に脅威を与えるのです.まぁ,人類存亡の危機ですから,南極の生態系や自然環境を破壊するのも致し方ありません.

建設基地のセット→

さすが円谷映画,と思います.

 

果たして,基地建設は間に合うのか.希少生物マグマの運命やいかに?(イヤ,地球の運命を心配しろ).ちなみに,ロケット噴射実施前に,既に月はゴラスの引力に呑み込まれています.そこから地球は脱出できるのか(イヤ,無理でしょ).

 

なんてことを言いたいのではありません.制作陣の気持ちはよーく分かりますよ.円谷映画である限り,なんらかの怪獣を出現させる必要があったのでしょう,緊迫感を出す必要もありますしね.ですが,この“マグマ”の登場は必要なかったと思うんですよね(これについては,追記を参照して下さい).何故なら,中途半端な登場のため,ほとんど緊迫感が出なかった.あくまでも,SF映画に徹した方が良かったのではないかと.ゴラス接近による天変地異とか,生き残りにかける人間のエゴイズムとか,そちらに力を注いだ方が良かったのかと思うのです.まぁ,素人の戯言です.しかし,ゴラスを回避した後,元の軌道には戻れたのかな.南極の反対側から再度ロケット噴射しないと,元に戻らないような気がするんだけどなぁ.

南極怪獣マグマ→

巨大なセイウチですね

 

追記)

 似たようなアメリカ映画で“地球最後の日(1951年)”という映画がありました.2つの放浪惑星が地球に衝突することが確実となり,人類は地球脱出策を選択します.惑星接近による天変地異や,脱出の人選に関わるエゴイズムやヒューマニズムが中心に描かれており,とても好きな作品でした.まぁ,移住先の星が簡単に見つかるところはご愛敬ですが,ゴラスよりも制作時期が10年も早いことを考えると日米映画の実力差を感じたことも記憶に残っています.しかし,基地建設のミニチュアセットの精巧さや,僅かな時間ですが天変地異による洪水の描写など,さすがと思えるシーンも多く,それだけに“マグマ”の登場が残念だったのです.