円谷映画3,美女と液体人間 | 昭和を懐古する部屋(パニック障害と共に歩むじじぃの話)

もうしばらく円谷映画にお付き合いを.

前回まで,円谷(英二)映画の番外編を懐古しましたが,それではいよいよ,円谷映画,魅惑のベスト3をいってみましょう.

 

第3位:SF映画,美女と液体人間(1958年)

トラウマ度:95点

社会性度 :70点

特撮度  :60点

円谷映画の一角を占める,SF変身人間シリーズの第1作です(あとは,電送人間とガス人間ですね).しかし,この映画のトラウマ度は突出して半端なかったです.初見は確か小学3年生の夏だったと記憶していますが,それからの23年間は,どんなに暑い夏の夜でも掛布団が必需品でした.液体人間の記憶が余りにも恐怖で,布団にもぐりこまないと眠れなかったのです.ストーリーですが,南洋に出漁中のマグロ漁船「第二竜神丸」が水爆実験に巻き込まれ,死の放射能を浴びた乗組員の肉体が変化して液体人間になるのです.まぁ,人体の組織が溶けてしまうんですね.

 

これだけでも,小学生のお腹はいっぱいなのですが,幽霊船となった第二竜神丸のおどろおどろしさや(暗い映像が効果的!),銀色の液状になった液体人間が蛇のように移動して人間を襲うシーンなど,小学生にはきつい映像でした.この液体人間,核実験を行う人類への復讐として人を襲うのですが,襲われた人間は溶けて液体人間に同化するのです.イヤー,ゾゾゾっ,それにしてもよー考えるわぁ.しかもこの液体人間,始末の悪いことに銃弾では倒せないのです,液体だけに.うーん,無敵すぎる.

液体人間→

     

銃は通用しません.

 

しかし,最後は都会の地下下水道に追い詰められ,石油(だったかな)を流し込まれた末に火炎放射攻撃で焼き払われてしまうのです.これには同情してしまいましたね.何も悪いことしてないじゃん(イヤ,人類への復讐のため何人も無実の人を殺しています),液体人間自体が核実験の被害者じゃん(これはその通りで後述します),とね.あと,小学生の時には全く分かりませんでしたが,題名にあるように綺麗な女性が多く出演しており,けっこうアダルトな雰囲気を醸し出している映画なのです.子供って無垢ですね.

 

最後に社会性度について.この映画は当然のことながら,ビキニ環礁での核実験により死の灰を浴びた「第五福竜丸」事件(1954年)を題材にしています.この映画の公開が1958年であり,事件から映画公開までたったの4年です.核実験で誕生した「ゴジラ」の第1作が1954年公開であることを考えると,“核実験”をテーマに取り上げる東宝の姿勢や(当然,批判精神ですよね),おそらくそれを支持し続けた世論の動向が読み取れます.なので,社会性度をもう少し高く評価したいところなのですが,何の関係もない一般人に八つ当たり的に復讐する,という点が引っ掛かるので70点と抑えめの採点としました.