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ウォーラスのトレッキング体験記「ヤマログ」

私のトレッキング記録「ヤマログ」の電子版です。主として山歩きの情報や感じたことを書いています。山に登れない時はなにを書こうかな・・・。

<承前>

8/22 白峰三山核心部縦走

05:15 山行準備を済ませ、白根御池小屋(2230m)の外に出て本日行く北岳を望む。

曇り。予報通り雨はなさそうだが、濃いガスがかかっている。小屋からは良い写真も撮れそうになく諦める。

昨夜の小屋は快適だったが、快適すぎてかえって寝付けず、朝方うとうとし危うく朝食時間に遅れるところだった。

05:18 小屋を出発し、北岳に向かう。コースは二俣に戻り、オーソドックスに右俣を登るつもりが、間違って草すべりコースの急坂に入り込んでしまった。

10分ほど歩き間違いに気づくも、戻るのも面倒でそのまま草すべりコースを行く。

確かに坂は急と言えるが、昨日小屋の人から聞かされたほどではない。案外時間短縮になりそうだ。

 

 

登山道途中の開けた場所。北岳は望めないが、反対側の鳳凰三山はきれいに見える。一昨日歩いたコース・・・。こうして見るとなかなか感慨深いものがある。

 

 

06:43 そうこうするうちに、右股との合流地点に到着。小太郎尾根の取付きまであと少し。思ったより早く来ている。

 

 

ただその先はだんだんとガスが出てきて、視界が失われていく。下から見た通りか・・・。

 

 

07:00 小太郎尾根分岐(2850m)。覚悟の登りだったが案外拍子抜けの感じだ。

これで今日の最難関部は終わったと、浅はかにもこの時は思っていた。先のことも知らずに・・・。肩ノ小屋に向かう。

 

 

北岳肩ノ小屋までちょっとした岩場はさすがにある。まあ普通だろう。

 

 

07:36 北岳肩ノ小屋(3010m)。辺りはかなり濃いガスで、眺望がきかないのは残念だ。しかも風が相当に強い。

 

 

少し長めの休憩を取り、耐風装備に変える。手袋もしとこう。濡れるわけではないが、周りでは雨具を付けた人も多い。

07:51 休憩を終えて、いよいよ北岳に向かって出発する。稜線に出ると半端ない風が吹いていた。

これはつらい・・・。10mを超える強風にガス。10m程歩くとメガネが真っ白になり前が見えなくなる。その都度立ち止まる・・・。

岩場をかなりアップダウンしたが、視界が合悪く、正直どう歩いたのかよくわからない。気温はそう低くないはずだが、強風で手が切れるようだ。

 

 

08:36 ガスと強風の中の北岳山頂(3193m)。山頂部を記す標識以外は何も見えなかった。

相変わらず猛烈な風。人はちらほらいはするが、肩ノ小屋の1/3もいない。

何とも寂しい日本第2位の山頂風景である。強風を避け、しばし休憩。

 

08:52 北岳を出て間ノ岳に向かう。悪天候時はここから引き返すことも想定していたが、強風とガスはあるものの危険を感じるほどではない。当初の計画を続行する。

 

 

視界はないが足元には高山の花がある。夏山は花の山。ここ北岳は固有の花も多いと聞く。殺風景なガスの中にも、何かしら心休めるものはあるものだ。

 

 

09:11 吊り尾根分岐。戻るならここが最後のポイント。風は更に威力を増したが、先に進む決断をする。油断すると帽子を飛ばされそうだ。

 

 

 

風と寒さが半端ない。風速20m/s近く。手袋を持ってきて良かった。もうメガネはほとんど役に立たないので裸眼で歩いている。夏以外であれば、この天候で山行はしないかも・・・。

 

 

 

09:56 北岳山荘(2902m)が登山道の下方に見える。いざとなれば逃げこむのはあそこか・・・。

 

 

10:47 中白峰山(3055m)。ガスと強風の中、時間の感覚が薄れ距離感がつかめない。何とかここまで来た。あと1時間ほどで間ノ岳のはずだ・・・。

 

 

ガスの中にこれと同じものが縦走路にいくつかあったが、最初意味が解らず混乱した。

濃いガスのなか、岩場を越えたり巻いたりする。方向感覚に自信を失ったころこの道標が現れる。

最初は別の道標とは気づかず、知らぬ間ガスの中を同じ場所に戻ったかと錯覚する・・・。

気づいたら間ノ岳に着くはずの1時間はとっくに過ぎていた。

おかしい・・・。方向は間違っていないはずだが・・・。そもそも一本道・・・。

このころが今日一番つらかった。寒いし強風とガスに悩まされ、目的地には着かない・・・。

 

3回目の同じ道標に当たった時に、ようやく同じに見える道標がいくつもあることに気づいた。

改めて地図とGPSで現在位置と、間ノ岳の山頂方向を確認する。道は合っている。あと少し。

 

 

12:08 間ノ岳山頂(3190m)。日本で第4位の高峰だが、ここも強風と濃いガスの中。ここまでものすごく長く感じたし、相当にくたびれた気がする。人は他にいない。

悪天候もあるだろうが、そもそもが中白峰からここまで1時間では着かないのだ。

もうつくはずとの焦りが頭脳を疲労させる。おそらくはこのように、頭が疲労したときに事故は起こるのだろう。気を付けよう。

慌てずによく考えればまだ12時。後は農鳥小屋までの下り道。落ち着いて行けば問題ない。

風を避け、ここでたっぷり休憩をとることにする。相変わらずのガスで眺望はないが・・・。

 

 

 

12:54 たっぷりと休憩をとり、今日最後の目的地農鳥小屋へ出発する。幸い間ノ岳を下り始めると天候はややマシになり、時々辺りが見渡せるようになってきた。

 

 

 

 

間ノ岳から農鳥小屋までの道は意外と簡単だった。なだらかな下りだし、ほぼ2-3m置きに赤や黄色のペンキで石に矢印が書いてある。(これはこれでどうかとも思うが、遭難するよりましか・・・)

延々と続く蛍光色のペンキ矢印を見ていたら、何故か空港の夜間誘導灯が思い出された。(笑)

 

 

 

13:57 三国平分岐。塩見岳を経由するもう一つの白峰三山への人気縦走路である。

 

 

 

ここから正面の西農鳥岳の鞍部には、目指す農鳥小屋が見える。しかしこのあたりからはまた一段と強風に煽られるようになる。ガスがなくて幸いだ。

そしてここからは遠くに再び富士も見える。

 

 

14:02 農鳥小屋へ到着。途中随分遅れた気がしたが、着いてみればほぼ予定通りの時間だった。

 

 

小屋の受付を済ませ、あとはゆっくりするつもりだったが、そうは問屋が卸さない。

ここ農鳥小屋には、かなり個性(クセ)が強い(有名な)管理人の親父がいる。

小屋には登山者用の水はなく、小屋から相当下った水場まで水を汲みに行かなければならないと平然とした顔で言う。疲れているが仕方なく水を汲みに下る。しかしこれが大変なところにあった。

 

 

 

 

谷間に急坂を下ること30分近く。いったいどこまで(麓?)下るのかと思った頃、ようやく水場に着いた。まあ空荷だし、途中のお花畑は楽しめた。(上り返しは地獄だった・・・。)

 

 

小屋に戻った時には、すでに1時間近く経っていた。遅く着いたらとても水汲みには行けない。

正面の西農鳥岳は素敵だった。明日は最終行程となる。白峰三山最後の山、農鳥岳を越えて、奈良田に下る。

長かったが何とかここまでやってきた。さて、南アルプスの最後の夜を楽しむとしよう。

 

(しかしその期待は小屋の偏屈親父の勝手な流儀により、無残に打ち砕かれることになる。

一体どんなか?それは行ってみればわかる。(笑) でも飯はうまかった。)

 

<続>

 

本日の行程  10.93km   8h 54m (農鳥小屋水場往復加えず)