それから数日後。
ブルマはトランクスを誘って街へでた。
「買物をしたいからついてきてね。」
そういうことは良くあることである。
トランクスは昨夜も家に戻らなかった後ろめたさもあり
素直にしたがった。
西の都の復興は早い。
然しそれはうわべの事で
中心部の居住区にいけばそこは更地だらけである。
個人の生活を国が救ってくれるわけではないのだ。
公園や河川敷には青いビニールシートが広がり
住む家を失った人たちがテント暮らしをしている。
ガス水道のない生活。
着の身着のままの毎日。
でも彼らだって
かつては家も家庭もあった。
仕事をして当たり前に暮らしてきたのだ。
四季のない西の都でも12月となれば夜は冷え込む。
家族を、友人を、仲間を失った人の生活は
そう簡単に元に戻るものではない。
ブルマ達が向かったのは
人造人間の被害にあった人たちが暮らすコミュニティだった。
ブルマは道をいきながら思いつくままに
食べ物や子どもの喜びそうな物を買い求める。
そしてそれを出会う子どもに配ばりながら歩いていた。
「お金なんて使い道がないと思ったけど
パパの残した財産が役に立ちそうね。」
「母さん、いったいなんで今日はこんなことを?」
トランクスは聞いた。
ブルマは目を丸くした。
「やだ、あんた、気がつかなかったの?
今日はクリスマスイブよ。」
トランクスはあっと言葉を飲んだ。
そうだったのか。
トランクスはまわりを見渡す。
無彩色の街。
クリスマスらしい雰囲気など微塵もない。
とてもそのような余裕がこの世界に感じられなかった。
「もうすぐいろんなオーナメントがここに届くの。
あそこにとても大きな木があるでしょう。
あれをクリスマスツリーにしましょう。
低いところは子ども達と一緒に。
高いところはトランクスが飾るのよ。」
ブルマの指差す方向にはとても古い大きな木がそびえている。
無邪気に笑みを浮かべる母親をみてトランクスは頬を染めた。
こんなときにこういう発想をする母親。
とても彼女にはかなわないと思ったのだ。
しばらくするといろんな商店から
大小さまざまな荷物が公園内のテント村に届き始めた。
モールやクリスマスディスプレイだ。
ブルマは嬉しそうに微笑んだ。
「さがせばあるものなのね」
次々と運び込まれる荷物。
トランクスは目を丸くした。
いったい、いつの間に、母さん…。
「どのくらい買ったのですか?」
「さあ?あればあるだけと言ったから…
たりなくてもあまることなんかないわよ。」
どんどん届くさまざまな段ボール箱に
子ども達がどこからともなく集まってくる。
色とりどりのサンタやトナカイが
箱の中にぎっしりつめられている。
それを見る子ども達の顔は生き生きしている。
触りたい、触りたいと目が訴えている。
「みんな、もっていっていいわよ」
ブルマがそう声をかけると
子ども達は目を輝かせて手に手にとり始めた。
「飾っていいの?」
「もってかえっていいの?」
「ほんとにいいの?」
口々に尋ねる子ども達にブルマが答える。
「いいわよ。
おうちや街を飾って頂戴」
歓声をあげる子ども達。
金や銀のモールを持って走り出す
思い思いにテント村を飾りだす。
飢えていたのだ。
美しい色彩に。
トランクスも照れながら
ブルマの指差す大樹に子ども達とともに飾り付けをはじめた。
はじめは怪訝な顔で見ていた大人たちも
子どもの笑う顔につられてどんどんブルマの元に集まってきた。
「あんたカプセルコーポの…」
周りの人がアッという顔をする。
ブルマは笑う。
「そうよ。私もまた頑張るから皆さんも頑張りましょうね。」
小さい幼児の手を引いたおばあさんが声をかける。
「頑張ってあんたのとこの製品を買うさ。
私はくたばるまでに会社を元通りにしてな。」
どっと笑い声が起こった。
「トランクス、任せたわよ」
急に言葉をかけられてトランクスは言葉に詰まった。
カプセルコーポレーションを立て直す。
そのようなことを今まで考えたことがなかったからだ。
トランクスはどぎまぎしながら周りを見回した。
暖かい視線が彼を取り巻いていた。
ブルマはにっこり笑うと
トランクスに赤い三角帽子をかぶせた。
「サンタだ。」
「髭がないけどサンタだ。」
子ども達は大喜びである。
それぞれが思うままに
トランクスの手を引き
ジャケットのすそをつかむ。
「わわっ!」
サイヤ人の血を引く戦士も
子供には勝てない。
トランクスは子供たちに振り回されながら
ツリーの準備を続けた。
わき上がる子供たちの
明るい笑い声。
ブルマはどんどん荷物を開ける。
いつのまにかそれを手伝う人がでて
テント村は活気に溢れ始めた。
笑い声と笑顔が集まる。
やがて次第に日が落ちて
あたりはうっすら日がくれて来た。
ブルマが発電機のスイッチを入れる。
トランクスたちの飾ったツリーがライトアップされた。
どっと歓声があがる。
「わあ。」
トランクスも思わず声をあげていた。
彼もはじめてみるクリスマスツリーだった。
そう。
彼も生まれてから今までにクリスマスツリーなど見たことがなかったのだった。
「母さん、クリスマスツリーって
こんなにきれいなものだったんですね。」
「そうよ、トランクス。
本当にこんな気持久しぶりだわ。」
ブルマが言った。
「光って本当に不思議だわ。」
西の都に巨大にそびえるクリスマスツリー。
人だかりはどんどん膨らんでいく。
輝く光に笑う人、また呆然とツリーを見上げる人。
立ち止まり涙を浮かべる人さえ現れた。
トランクスは固唾を飲んで人々の姿を見つめていた。
こんな明かりがこんなにも多くの人を喜ばせるなんて。
体が震える。
理屈じゃ、ない。
これが生きるということなのか。
トランクスの身体はしびれた。
こんな気持は初めてだった。
自分でどう言い表したらいいのか。
彼にはふさわしい言葉が思いつかなかった、どうしても。
トランクスは思わず母親を見た。
母親は
腕を組んでタバコをくゆらせている。
満足そうな顔をしている。
あなたはすごいです、母さん。
トランクスは心の中で繰り返した。
ブルマはトランクスを誘って街へでた。
「買物をしたいからついてきてね。」
そういうことは良くあることである。
トランクスは昨夜も家に戻らなかった後ろめたさもあり
素直にしたがった。
西の都の復興は早い。
然しそれはうわべの事で
中心部の居住区にいけばそこは更地だらけである。
個人の生活を国が救ってくれるわけではないのだ。
公園や河川敷には青いビニールシートが広がり
住む家を失った人たちがテント暮らしをしている。
ガス水道のない生活。
着の身着のままの毎日。
でも彼らだって
かつては家も家庭もあった。
仕事をして当たり前に暮らしてきたのだ。
四季のない西の都でも12月となれば夜は冷え込む。
家族を、友人を、仲間を失った人の生活は
そう簡単に元に戻るものではない。
ブルマ達が向かったのは
人造人間の被害にあった人たちが暮らすコミュニティだった。
ブルマは道をいきながら思いつくままに
食べ物や子どもの喜びそうな物を買い求める。
そしてそれを出会う子どもに配ばりながら歩いていた。
「お金なんて使い道がないと思ったけど
パパの残した財産が役に立ちそうね。」
「母さん、いったいなんで今日はこんなことを?」
トランクスは聞いた。
ブルマは目を丸くした。
「やだ、あんた、気がつかなかったの?
今日はクリスマスイブよ。」
トランクスはあっと言葉を飲んだ。
そうだったのか。
トランクスはまわりを見渡す。
無彩色の街。
クリスマスらしい雰囲気など微塵もない。
とてもそのような余裕がこの世界に感じられなかった。
「もうすぐいろんなオーナメントがここに届くの。
あそこにとても大きな木があるでしょう。
あれをクリスマスツリーにしましょう。
低いところは子ども達と一緒に。
高いところはトランクスが飾るのよ。」
ブルマの指差す方向にはとても古い大きな木がそびえている。
無邪気に笑みを浮かべる母親をみてトランクスは頬を染めた。
こんなときにこういう発想をする母親。
とても彼女にはかなわないと思ったのだ。
しばらくするといろんな商店から
大小さまざまな荷物が公園内のテント村に届き始めた。
モールやクリスマスディスプレイだ。
ブルマは嬉しそうに微笑んだ。
「さがせばあるものなのね」
次々と運び込まれる荷物。
トランクスは目を丸くした。
いったい、いつの間に、母さん…。
「どのくらい買ったのですか?」
「さあ?あればあるだけと言ったから…
たりなくてもあまることなんかないわよ。」
どんどん届くさまざまな段ボール箱に
子ども達がどこからともなく集まってくる。
色とりどりのサンタやトナカイが
箱の中にぎっしりつめられている。
それを見る子ども達の顔は生き生きしている。
触りたい、触りたいと目が訴えている。
「みんな、もっていっていいわよ」
ブルマがそう声をかけると
子ども達は目を輝かせて手に手にとり始めた。
「飾っていいの?」
「もってかえっていいの?」
「ほんとにいいの?」
口々に尋ねる子ども達にブルマが答える。
「いいわよ。
おうちや街を飾って頂戴」
歓声をあげる子ども達。
金や銀のモールを持って走り出す
思い思いにテント村を飾りだす。
飢えていたのだ。
美しい色彩に。
トランクスも照れながら
ブルマの指差す大樹に子ども達とともに飾り付けをはじめた。
はじめは怪訝な顔で見ていた大人たちも
子どもの笑う顔につられてどんどんブルマの元に集まってきた。
「あんたカプセルコーポの…」
周りの人がアッという顔をする。
ブルマは笑う。
「そうよ。私もまた頑張るから皆さんも頑張りましょうね。」
小さい幼児の手を引いたおばあさんが声をかける。
「頑張ってあんたのとこの製品を買うさ。
私はくたばるまでに会社を元通りにしてな。」
どっと笑い声が起こった。
「トランクス、任せたわよ」
急に言葉をかけられてトランクスは言葉に詰まった。
カプセルコーポレーションを立て直す。
そのようなことを今まで考えたことがなかったからだ。
トランクスはどぎまぎしながら周りを見回した。
暖かい視線が彼を取り巻いていた。
ブルマはにっこり笑うと
トランクスに赤い三角帽子をかぶせた。
「サンタだ。」
「髭がないけどサンタだ。」
子ども達は大喜びである。
それぞれが思うままに
トランクスの手を引き
ジャケットのすそをつかむ。
「わわっ!」
サイヤ人の血を引く戦士も
子供には勝てない。
トランクスは子供たちに振り回されながら
ツリーの準備を続けた。
わき上がる子供たちの
明るい笑い声。
ブルマはどんどん荷物を開ける。
いつのまにかそれを手伝う人がでて
テント村は活気に溢れ始めた。
笑い声と笑顔が集まる。
やがて次第に日が落ちて
あたりはうっすら日がくれて来た。
ブルマが発電機のスイッチを入れる。
トランクスたちの飾ったツリーがライトアップされた。
どっと歓声があがる。
「わあ。」
トランクスも思わず声をあげていた。
彼もはじめてみるクリスマスツリーだった。
そう。
彼も生まれてから今までにクリスマスツリーなど見たことがなかったのだった。
「母さん、クリスマスツリーって
こんなにきれいなものだったんですね。」
「そうよ、トランクス。
本当にこんな気持久しぶりだわ。」
ブルマが言った。
「光って本当に不思議だわ。」
西の都に巨大にそびえるクリスマスツリー。
人だかりはどんどん膨らんでいく。
輝く光に笑う人、また呆然とツリーを見上げる人。
立ち止まり涙を浮かべる人さえ現れた。
トランクスは固唾を飲んで人々の姿を見つめていた。
こんな明かりがこんなにも多くの人を喜ばせるなんて。
体が震える。
理屈じゃ、ない。
これが生きるということなのか。
トランクスの身体はしびれた。
こんな気持は初めてだった。
自分でどう言い表したらいいのか。
彼にはふさわしい言葉が思いつかなかった、どうしても。
トランクスは思わず母親を見た。
母親は
腕を組んでタバコをくゆらせている。
満足そうな顔をしている。
あなたはすごいです、母さん。
トランクスは心の中で繰り返した。
