6.終わりの始まり
べジータの上司であるビスナが
母船からこの地に降り立ったとき。
すべてはもう終わっていた。
ビスナはその金色の瞳であたりを慎重に見渡した。
周囲には生命反応はほとんど感じられなかった。

「どういうことなんだ?」

ビスナはスカウターの感度をさらに上げた。

彼はベジータ達のような経験の浅い戦士の教育係である。
先にベジータ達経験の浅い戦闘員を送り出した後
数時間たって本隊を送り込む。
全く未経験の実戦の中で果たして彼らが役に立つのか、
それをみきわめるのが彼の役目であった。

ベジータ。

ビスナはその名を呼んでみた。
小さくまだ弱いその少年の名前を。
彼を送り出すことにビスナは不安を持っていた。
体が特に小さいのは
他人に媚びないプライドのせいだ。
誰にもつかず孤独を守るベジータは
生まれながらの王子である。
たとえ守るべき星を失っても
そのことさえ彼のプライドを失わせることにはならなかった。
他の子供たちが食料を得るために
強い物の奴隷のようになっていくのが当たり前の軍の中で
彼は孤高を選んだ。
たった一人で。

ベジータにはとんでもない能力がある。

ビスナはそれに気づいていた。
しかし彼がその力を引き出すまで彼の命は持たない。
そうも考えていたのだ。

目覚めるか、死か。

これは教官としての彼の賭けでもあった。

見渡す限り灰色の光景だ。
足元には本隊の戦闘員の死体がごろごろ転がっている。
ビスナはすすむ。
死体を踏みつけながら。

そして彼は見つけた。
焦土の中
へたり込んで呆然とするベジータの姿を。

べジータは少女の体を抱いていた。
彼らの回りには何者とも判別の仕様がない肉隗が散乱しており
かなり嫌なにおいをさせていた。

「べジータ」

ビスナが近寄ってもベジータはピクリとも動かなかった。

「貴様がやったのだな?」

ビスナが聞いた。
ベジータははっと顔をあげた。
2メートルはある大男の影がちいさなべジータに覆い被さっていた。
ビスナの長い銀髪が風に揺れて
輝いた。

「よくやった。」
「…」
「こちらの本隊まで壊滅状態のようだが。
仕方あるまい。
貴様の力が強すぎたのだな。」

ベジータはビスナの顔を見た。
そしてあらためて自分の周りを見渡した。
黄色い花畑。
それは今は一面の焼け野原となっていた。
そして。

少女は息絶えていた。
顔の半分と
下半身が失われていた。

「俺がやった…」
「そうだ、ベジータ。
おまえがやったことだ。」

ビスナはそういうと背を向けた。

「行くぞ」

ベジータは顔のない少女の身体を抱いたまま
立ち上がろうとした。
ビスナは静かに振り返ると
ベジータのほうに歩み寄りそっと話し掛けた。

「そんな物は捨ててしまえ。
貴様だって弱ければ死ぬんだ」

目を見開くベジータ。
ビスナは薄い唇を歪ませた。

「俺たちも死ぬために生きているんだぜ。」



追記
「パパ!」

トランクスの声でベジータは目覚めた。
がばっと上半身を持ち上げる。
目の前に飛び込んできた息子の笑顔。
ベジータは深くため息をついた。

「お弁当の準備が出来たよ。」
「・・・そうか。」

ベジータは息子の顔を見た。
頭にはっぱをのせたトランクス。
ふざけたような顔する。
輝くような笑顔にべジータはほっとする。

「もう。
せっかくピクニックにきたのに寝てるなんてどういうこと?」
「・・・」
ブルマが唇を尖らせた。
「戦闘民族も年老いちゃったわけ?」
「ぶっ殺すぞ・・・貴様。」

トランクスが二人の中にわって入った。

「どうしたの、パパ?
つかれちゃったの?」
「いや・・・」

べジータは上半身を起こした。
どこかで鳥のさえずりが聞こえる。
頭上には白い雲がぽっかりと浮かんでいた。

「トランクス」
「何、パパ?」
「…貴様毎日がたのしいか?」
「うん」
「なぜだ?」
「だってママとパパがいるもん。」

当たり前のようにこたえるトランクス。
べジータはかすかに唇をゆがませた。

「・・・そうか。」
「さあ、お弁当にしましょう!」
「うん、ママ!」
「べジータもこっちに来なさいよ!」

ベジータはブルマの顔を見た。
ブルマはにっこりと笑うとべジータの顔を両手で引き寄せ
その唇に思い切り吸い付いた。

「貴様、こんなところでっ!」
「きゃははははっ!」

赤い顔で慌てふためくベジータ。
草原にブルマの甲高い声が響き渡った。

「パパ・・・」

横でたたずんでいるトランクス。
べジータは先に行けと
目で息子を促した。
トランクスはベジータと一緒に行きたそうな顔をしたが
父親のいう事にしたがってブルマのほうに駆けていった。

「はやくきてね、パパ!」

べジータは軽くうなずくと少しだけ、目を細めた。

そして。
べジータは周囲を見渡した。
一面に広がる黄色い花。
この花の名前はタンポポだと
トランクスがいっていた。

俺の知っている花とは違う・・・。
あの黄色い花とは。

べジータは立ち上がる。
透明な空気を思い切り吸ってみた。


ビスナ・・・

ベジータは何十年ぶりかにその名を口にした。




俺はまだ生きている。
あんたの知らないこの世界でな・・・。


暴力的、性的表現があります。年齢制限には値しないと考えていますが自己判断でお読みください。




ドラゴンボールに命を救われたベジータ・・・。


すむべきところを失い
自らがかつて滅ぼそうとしたこの地球に生きる。
たった一人で。

ブルマは時々考える。

ベジータは地球にきてよかったのだろうか?

ベジータはカプセルコーポレーションに住んでいる。
もちろんベジータがそれを感謝するなどという事はない。
彼の態度は明らかにブルマ達を利用しようというだけものである。
同時にやってきたナメック星人たちが
自分たちをひどい目に合わせた
べジータの存在を露骨に嫌がった事もあり、
ベジータはほとんどカプセルコーポレーションに戻ってはこなかった。

食糧が切れたとき。
よっぽど眠りたいとき。
そういうときだけ戻ってくる。

それはナメック星人達が地球を出て行ったあとも同じだった。

普段は無表情なベジータ。
表情は硬く、冷たい。
そんな彼が
時折見せる一瞬の表情がある。
それは、
まさに血肉をすすってきた
野獣の表情である。
そんなときのベジータの瞳は限りなく
・・・・暗い。













月の光が窓から差し込んでいる。

その夜、ブルマはどうしても寝つけなかった。
何度目を閉じても、眠れないのだ。
理由のわからない胸騒ぎがした。

ブルマはライトをつけて、
デスクの方に歩み寄る。
そこには読んでいない封書が無造作に積んである。
ブルマはペーパーナイフを取り出し、
一つ一つ封筒を開ける。
静かな夜更け。
コーヒーの沸く音がする。
ベッドのシーツは乱れたままで
自分の衣類が散らかっていた。
ブルマは薄いシャツだけを羽織った。
部屋の中に
ヤムチャのコロンの香りがした。

ヤムチャは先ほど自分の部屋に戻っていった。
ブルマとヤムチャは恋人同士だ。
だから夜をともにする事もあるし、
おたがいの部屋に戻る事もある。
そう。
彼はかけがえのない人。
ヤムチャは、一度、サイバイマンとの戦いで命を失った。
ブルマはしらなかった。
ピッコロもそのとき死んだ事を。
あのころのことは思い出すのがつらい。

自分は命を軽く考えていた。
ドラゴンボールで生き返るからとそう簡単に考えていたのだ。
だからブルマはナメック星まで乗り込んだのだ。
自分の大事な物を奪い返すために。

奪ったのはべジータだ。
ベジータ。
憎んでも憎みきれない奴。
たくさんの生き物を殺し、
ブルマの命さえ奪おうとした男。

私はなぜこの男を自分の家に住まわせているのだろう?

残虐なベジータ。
凶暴なサイヤ人の戦士。

だけどナメック星で見たベジータは、
みんなの言う
地球のベジータの話とはすこし違っていた。
ナメック星で見た彼はただの一戦闘員にすぎなかった。
ベジータより強いものがいくらでもいたのだ。
ベジータ・・・。
彼もまた恐怖に支配されていただけの男だったのだ。

今は存在しない、
惑星ベジータの王子。
誇り高いサイヤ人の戦士。

しかし彼もより大きな力に、
服従させられる側だったのだ。

なぜ彼は戦闘員だったのか??
彼の星は自国の王子を戦闘員として差し出すような星だったのか?
どうして?

納得がいかない。

そう考えると、ブルマはベジータをかわいそうだと思ってしまう。
もうどこにも戻る場所がない。
そう思えばこそ、この家にひきとろうと思ったのだ。
それはもしかしたら捨て犬をひらうような感じに近いのかもしれなかった。

しかし・・・。

彼を好きになるはずはない。
ベジータはヤムチャを、天津飯を殺させ
、・・・宇宙全体を残虐に荒らした男だから。
どれだけの命が失われたのだろう。
べジータのあの血塗られた手によって。

それは事実だ。

ブルマは、アッと小さく声をあげる。
便箋の一枚で指先が切れた・・。

夜は静かにふけていく。
遠くから風の音が聞こえる。
ブルマはふと窓の外を見た。
無数の星が満天に輝く夜。
まるで昼のような明るさだ。
白い月明かりがぼんやりと光る。
それは不思議な景色だった。

そしてブルマは見た。
広い庭の中にたつ人影を・・・。
ぼんやり浮かび上がるくろいシルエット。
ブルマは思わず目を凝らす。

ベジータだ。

尻尾を失ったベジータが大猿に変身する事はもうない。
月からの降り注ぐような光の中に、
ベジータは一人でたっていた。
天を仰ぎ見ているような姿だ。
表情はよく見えない。
小さいけれど整ったシルエットが映画の一場面のように浮かび上がる。
なんとも美しい感じがした。

ベジータはいつもの戦闘服を着ている。
美しい筋肉の流れが伺える。
そうしてベジータは天に向かってすっと手を伸ばした。

そうだ。

地球の服は気に入らない、といって
ベジータは自分の着ているものと同じ物をブルマに作らせたのだ。

多分、あの戦闘服以外きた事がないんだわ。

破れた戦闘服を脱がそうとしても
べジータはなかなか脱ごうとしなかったのだ。
間に合わせで差し出した洋服さえ拒否し
べジータはいつまでも血の匂いをさせていた。

ブルマはそう思い出した。
なんだか胸が痛くなる。

そのとき、
庭に立つベジータがブルマのほうを見たように思った。
射抜かれるような視線をかんじて、
ブルマはつばを飲み込んだ。
手のひらにべっとりと汗をかく。
胸が締め付けられる。
ブルマは窓からはなれた・・・。















ブルマはベッドに腰掛ける。
スタンドの明かりを消す。
さっきのベジータの視線を思い出す。
どう表現すればいいのかわからないのだけれど
いやだ、と思った。
動悸がどんどん激しくなる・・・。
もう、忘れたかった。
ブルマは部屋の明かりを落とした。

静寂。
そのとき。
ブルマの部屋のドアの前に人の気配がした。

・・・ヤムチャ?

ヤムチャが深夜にくるのは珍しい事ではない。
さっき帰ったばかりでも
その気になればブルマを求めて戻ってくる。
だから、ブルマはドアをロックしていなかった。
ブルマはベッドから身を起こす。
そしてブルマはドアのほうに歩み寄った。

「ヤムチャ?」

そのとき。
ドアが開いた。
ブルマは凍りついた。
唇が・・乾いた。

・・・ベジータが
・・・いた。









ベジータが立っている。
無表情だ。
彼は無言のままでブルマの横をすり抜けて
室内に中に入る。
…ブルマは、動けなかった。

「・・・ドアをロックしろ。」

小さいが、はっきりした口調で
ベジータが命じた。

「・・・なんで・・」
「さっさとしろ。貴様に話がある。」

動かないブルマに業を煮やしたのか、
ベジータは自分でドアに向かう。
金属音がして、ロックがかかった。

べジータはブルマの姿をなめるように見る。

「発情した女のにおいだな。」

ベジ-タがブルマに近づいてゆく。
ベジータの口元がかすかにゆがんだ。

逃げたい。
ここから。
でも。
体が動かない。
見たくないはずのべジータの顔から
視線が外れない。
ベジータの腕が伸びる。
手のひらがブルマの腕に触れる。
ブルマは体をびくっと震わせた。

「こたえろ。」

ブルマの腕をつかんでベジータが小さくささやいた。
耳元に息がかかる。

「貴様はなぜオレをここに住まわせている?」
「え・・」
「貴様はオレがこわくないのか?」

ベジータは確かにそういった。
ブルマはベジ-タの顔をおそるおそる見つめなおした。
暗い影が見え隠れするベジータの目。
ベジータの黒い瞳にブルマが映る・・・。

「哀れみか?」

そういったベジータは、かすかに笑った。
ベジータはそのまま顔をブルマに近づける。

ベジータの筋肉がブルマにこすりつけられる。
硬い、硬い筋肉だ。

「やめ・・・」

ブルマは彼を突き放そうとする。
しかしべジータはお構いなしにぐいぐい体重をかけてきた。

ブルマは壁際に追い詰められた。
逃げるところがない。

それでもブルマは、精一杯、ベジ-タを押し返そうとする。
手をついて彼の体を押し戻そうとする。
ベジータは薄笑いを浮かべてその抵抗する様を楽しんでいる。

「きゃっ!」

本棚のかどで背中をこすり、ブルマは顔をしかめた。

「おっと。
声は立てるなよ。
貴様が恥をかくだけだ。」

ベジータが顔を押し付けてくる。
何度も唇を割ろうとする。
ブルマは必死でそれから逃れる。
息が詰まりそうになる。
ベジータは手のひらをブルマのシャツのすそに差し入れた。
鳥肌が、たった。

「・・・俺は馬鹿にされるのが気に入らないんだよ。」
「・・・・何でそういうことを」
「していないというのか?」
「・・・」
「じゃあ、なんだ?」

ベジータは手袋を投げ捨てた。
白い手が光っているようにみえる。
その冷たい手をブルマの首にかけた。

「やだ・・」

ブルマはそういうので精一杯だった。












突然ベジータが、
ブルマの唇をふさいだ。
それは氷のように
冷たい感触だった。
ブルマの全身に鳥肌が一気に立つ。
その動きは乱暴で
野生の獣が獲物を噛み砕く動きに似ている。
息が出来ない。
ブルマは顔をずらそうともがく。
そのたびにべジータがブルマの頚動脈を抑えて、
血液の流れを止める。
手足がしびれ
頭の中が白く濁る。

頭がぼんやりして、
意識を失いそうになる。
それを必死でこらえる。

気を失ってたまるもんか
こんな男に
いいようにされるもんか・・・

気丈なブルマは体を壁に押し付けられて、
なんとか立っていた。
両手首をベジータの左腕に捕らえられ、
頭の上に強く押し付けられている。
体全体をベジータの肉体に捉えられて、
もうほんの少しずらす事さえ出来なかった。
指先がみるみる白くなる。
足ががたがた震える。
その両足のあいだにベジータは自分の両足を割り込ませた。

「安心しろ。
貴様を殺すなんてことはしない・・・
貴様には利用価値がある。
あの重力室も直させねばな。」

ベジータは差し込んだ両足を広げてたつ。
ブルマの両足も広がる形になる。
その痛みにブルマは顔をしかめた。

「死ぬよりつらいことは何だかわかるか?」

ベジータはブルマの顔を覗き込んで、言った。

「死ぬ事など一瞬の事だ・・・
本当に残酷なのはな・・
生き恥をさらすことだ。
死ねずに生きる事なんだよ。」

ベジータはブルマの顔をなめた。

ベジータの右手が下のほうに伸びる。
冷たい指が
彼女を開く。
さっきヤムチャと愛し合ったばかりの身体。
その体は
普段よりもはるかに容易に
べジータを受け入れようとする。
ブルマの気持ちと裏腹に、
その身体は、ベジータの動きにこたえてしまう。

ブルマは全身を震わせた。
ベジータの動きにあわせて
ブルマの身体がどくんどくんと波をうつ。
その動きを確かめながら
べジータはさらに
大きく動く。

「うぁっ・・・」

思わず声を出しそうになったブルマは
強く唇をかみ締める。
唇が切れて、赤い血が流れでた。

だめだ
声をだしてはいけない。
こんな奴のために。
声を出してはいけない。

べジータはにやりと笑い
満足げにその血をなめた。

「俺は、まだ何もしていない。
お楽しみはこれからだ」

ブルマはベジータがこれから何をしようとしているのか、
はっきりと理解した。
べジータはブルマを開放した。
逃げるチャンスなのかも知れなかった。
でも体中がが痛くて
どうしても動けなかった。

ベジータはアンダーシャツを自分で切り裂いた。
シャツの下から白い体が現れた。

「さてと」

ベジータがブルマの腕をつかんで
たたせようとする。

「殺せないのは
やりにくいが。」

明らかに手加減している。
その気になればブルマなど一息で殺せるのに、
もてあそんでいる。
床に押し付けたり、
首筋に噛み付いたり、
また逃がしたりして、
壁際に追い詰める。
着ている物も一度にはがずに
すこしやぶっては手を止める。
ブルマの顔を見て、
ベジータは声をださずに笑っている。

「地球の女も俺たちと同じようなつくりだな。
もっともカカロットは子どもまで作っているようだが・・」

獲物を食べる前にけだものがするように
ベジータはブルマの血をなめた。
何度も何度もその味を楽しんでいるようだった。















ブルマはそれでも抵抗した。
それはまったく無駄なことかもしれなかった。
でもこんな男に自分の体を自由にされるわけにはいかなかった。
しかしベジータの力は強すぎる。
ベジータにつかまれている部分は白くなり、
血が通わないためしびれている。
指でつかまれたところ、
あちこちに赤いあざが出来ている。
ベジータが噛んだところには
血さえにじんでいた。
何度もしめられた首が
痛い。

突然ベジータは力を抜いた。
にげようとしていたブルマは、
手紙を積んだ机の角に身体をぶつけた。
大きな音がした。
目の前が一瞬暗くなる。
余りの痛みにうめき声があげた。

ベジータが来る。
薄笑いを浮かべて。
白い手がのびてくる。

もうだめだ。

ブルマは手紙の束に手を伸ばした。
ペーパーナイフが、あった。
ブルマはそれを覆い被さってきた
ベジータの腹に突き刺そうとした。
しかしペーパーナイフは音を立てて折れ、
飛んでいってしまった。

「はっ!
こんなもの・・・!」

ベジータは薄笑いを浮かべた。

「残念だったな・・・」

ベジータはブルマを、その場に強く押し倒した。

「恥かしめてやるさ、
いやというくらいに。
お前のようなメスには
自分の弱さを思い知らせてやる。」
「やだっ、やだっ!」
「屈辱を受け、生き続ける・・・
これが本当の地獄なんだよ。」

べジータはブルマの頬を両手ではさみ
そういった。

「それは・・・
ベジータ・・
あんたのことなの?」

・・・ようやく、
ブルマが口を開いた。
震える、
弱弱しい声で・・・。

「あんたは
そうやって生きてきたの、べジータ・・・?
死んだほうが
・・・・ましだと思いながら?
・・・そう思って今まで生きてきたの?」

そのとき
ベジータの動きがぴたりと止まった。
それは
おもいがけないことだった。

ブルマは、ベジータの顔を見つめた。
ベジータの顔から
笑いが消えていた。

「くそっ・・・」

ベジータは、ブルマから目をそらした。
ブルマの上で、ベジータは
しばらく動かなかった。

やがて、ベジータはそっと身体を離した。

「つまらん・・・
やる気が失せちまった。」

意外なベジータの反応だった。
ベジータは立ち上がると、
手袋をひらった。
無言でドアのカギを開け、
そして出て行った。









次の朝。
もうベジータはどこにもいなかった。
冷蔵庫の中は空っぽになっており
ベジータがどこかの山の中で修行をはじめたのは間違いなさそうだった。
悟空はまだ帰ってこない・・・。