新規事業をどう生み出すか。これは自分の中で、長年向き合っているテーマだ。

最近、少しずつ言葉になってきた考えがあるので、整理しておきたいと思う。

 

 

■ 中小企業のドメインは、小さい

中小企業は、持っているドメインがそもそも小さい。

その周辺だけで20個の新規事業のネタを出せるかと言われると、現実問題、出てこないと思う。

 

20個の挑戦の球を本気で打とうとするなら、ドメインから離れたところにも球を打つ覚悟がいるんだろうな、と思っている。

アスクが300以上の事業に挑戦してきたのも、もとを辿れば、既存事業の席がもう全部取られていたからだ。 

 

新しい席は、自分たちで作るしかなかった。 やらないといけなかった、というのが正直なところだと思う。

 

■ 無理やり打っても、当たらない

ただし、ノルマのように打てばいいわけでもないと思っている。

新規事業は、無理やりやってもうまくいかない。

 

自分の中では、ネタを「バラ玉」のような形で頭の中にたくさん寝かせている。 

マーケットがある。

組めるチームがいる。

自分の能力とモチベーションが整っている。 

 

そのあたりが揃って「打てる玉が来たな」と感じたタイミングで、初めて打つ。

リストは常にある。 

でも、無理にトリガーは引かない。 揃ったときに、引けばいいと思っている。

 

■ 中途半端に、うまくいきそうな事業がいちばん怖い

新規事業で本当に怖いのは、失敗そのものではないと思っている。

中途半端に、うまくいきそうに見えてしまう事業。 これが、一番怖い。

 

プロダクトアウトでこだわっちゃう人がいる。 「これは絶対にうまくいくはずだ」と思い込んでしまう。 

そして中途半端に動いてしまうと、もうやめづらくなってくる。

 

次に挑戦して、また失敗するのは怖い。 

それより「なんかうまくいきそう」という感覚にすがる方が、心理的にはたぶん楽なんだろうな、と思う。

 

でも、そこにすがった瞬間、20球目を打つ機会は消えていく気がする。

 

ダメだとなったら、ダメで終わらせる。 

すぐ次に行く。 

 

この判断は、新しい挑戦を始める判断と、同じくらい重要なんだろうなと思う。

 

■ 数を打った先にしか、「絶対やりたい」は現れない

そうやって打ち続けた先に、ある日、「これは絶対に自分がやりたい」と思える事業に行き当たる。

自分にとって、TRANBIがそうだった。 

中小企業のM&Aというマーケットは、数を打ち続けた先で出会えたものだと思っている。

 

早く当てたい。 

早く挑戦を終えたい。 

俺の事業はこれだと言いたい。

 

その気持ちは、痛いほどわかる。 

でも、早く当てようとする発想は、捨てたほうがいいなと自分は思っている。

 

挑戦の後半になればなるほど、描ける絵は大きくなっていく気がする。 

経験が積み重なって、視点が上がって、組める人もマーケットの読み方も変わってくる。

 

最初に打った球と、20球目に打つ球は、まったく違うものになっていくんだろうなと思う。

 

■ 20球を、打ち切る

新規事業をやっていると、早く終わらせたくなる衝動が必ず出てくる。

その衝動こそ、いちばん疑ったほうがいいなと思う。

 

打ち切る覚悟があるかどうか。 中途半端な成功にすがる手を、迷いなく離せるかどうか。 

バラ玉を、揃うタイミングまでちゃんと寝かせていられるかどうか。

 

そこに耐えた先にしか、最後の一発は来ないんじゃないかなと思っている。