今日はトランビで事業承継を促進するための会議を開催していた。その中でふと思ったことがある。

 

事業承継に必要なのは、バトンではなく「希望」かもしれない。

 

 

これまで本当に多くの親子間の事業承継の現場を見てきた。

そこには、ほぼ同じ構図がある。

 

先代社長は言う。
「継いでほしい」

 

後継者は思う。
「変えたい」

 

このズレが、静かに、しかし確実に溝をつくっていく。

 

先代には悪気があるわけではない。
むしろ逆だ。

失敗させたくない。
守ってあげたい。
 

自分が苦労して築いたやり方を信じている。

でもその“優しさ”が、
次の世代の挑戦を止めてしまうことがある。

 


世代交代は、思想の交代でもある

事業承継は、株式や肩書きを渡すことではない。

それは「思想の交代」でもあるのだ。

 

ところが現実には、

・役職は渡さない
・決裁権も渡さない
・でも責任は負わせる

 

そんな構図が少なくない。

するとどうなるか。

 

後継者は現場に閉じ込められ、
社員は相変わらず先代の顔色を見る。

 

これでは若い世代に希望は生まれない。

 

特に地方ではなおさらだ。

市場は縮小し、人口は減り、業界は高齢化している。


その中で若手に「今まで通り頑張れ」と言っても、
未来の輪郭が見えなければ、人は本気になれない。

 


若手が挑戦するには、戦略がいる

最近、強く思うことがある。

経済が縮小している地方で、若い世代が挑戦するためには、
明確な戦略が必要だ。

 

ただ守るのではなく、

・古い体質からの脱却
・古い業界でも若い人へ希望が見える
・挑戦と希望が語られている
・田舎からでも世界を目指せる

 

そんなストーリーがあるかどうか。

 

それがなければ、事業承継は単なる延命になる。

 

でも、方向性が示された瞬間、
会社は一気に「挑戦の場」に変わる。

 


今治タオルの話は、象徴的だ

例えば、今治タオルの再生。

 

価格競争に巻き込まれ、産地は疲弊していた。
それでも彼らは決めた。

 

「安さではなく、品質で世界と戦う」

その覚悟をブランドという形で再設計した。

 

大事なのはロゴではない。
未来の描き方を変えたことだ。

 

地方でも、古い産業でも、
世界を目指せるという戦略を示した。

 


事業承継の本当の問い

親が子に継がせたいと思うなら、
まず問うべきことは何か。

 

「継ぐかどうか」ではない。

 

この会社はどこへ向かうのか。
誰と戦うのか。
どんな誇りを持つのか。

そこを一緒に描けるかどうか。

 

若い世代が

「ここで挑戦したい」

そう思える物語をつくれるかどうか。

それが、事業承継の分岐点なのだと思う。

 


事業承継とは、
会社の未来を「誰に渡すか」の話ではない。

未来を「どう描くか」の話だ。

 

今日の会議で、そんなことを考えていた。

 

トランビとしてできることは、
単にマッチングの場をつくることではない。

 

挑戦が正当化される未来を、
構造として用意すること。

 

事業承継の先に「希望」が見える社会を、
本気でつくりたいと思う。