リモートワークについて考える時間が、ここ最近とても増えています。

 

リモートワークは、作業効率という点では間違いなく優れています。
移動時間は減り、集中できる環境をつくりやすく、仕事そのものの生産性は上がりやすい。

 

一方で、ずっと気になっていることがあります。

それは、
「人の成長は、この環境で自然に起きるのか?」
という問いです。

 


オフィスで働いていた頃を振り返ると、
人は意外と「仕事以外の時間」から多くを学んでいました。

 

隣の席の会話をなんとなく聞く。
先輩がどうやって電話対応しているかを盗み見る。
会議後の雑談で、背景事情を知る。
飲み会でぽろっと出てくる失敗談や本音。

 

そうしたものは、誰かが「教えよう」としていたわけではありません。
でも確実に、人の成長を支えていました。

 


リモート環境では、これがごっそり消えます。

 

聞こえてこない会話。
見えない仕事のプロセス。
「今聞いていいのかな」と迷ってしまう距離感。

 

効率は上がる一方で、
学習の偶発性がなくなる

 

特に、新しく入った人や若い人ほど、この影響を強く受けます。

 

名刺交換の仕方。
初対面での立ち振る舞い。
ちょっとしたビジネスマナー。
相談のタイミングや言い方。

 

以前は、自然に身につける機会がありました。
でも今は、機会をつくらなければ、知ることすらできない

 


最近、人事評価や面談をする中で、
「放っておいては、人は成長しない」という現実を強く感じています。

 

そしてリモートワークでは、その傾向がさらに強くなる。

 

オフィスなら、誰かの会話を聞いて
「それ、こうした方がいいかも」とフィードバックできた。
 

でもリモートでは、そもそも気づく機会がない。

だからもう、発想を切り替える必要があるのだと思います。

 


リモート環境では

成長は「文化」ではなく、「構造」でつくるもの

「うちは学び合う文化がある」
「自律的に成長する人を採用している」

それだけでは足りない。

  • 成長のための時間を、業務として確保する

  • 暗黙知を言語化し、プログラムとして渡す

  • 雑談の代わりに、意図された接点を設計する

  • 成長のプロセスが評価に反映される仕組みをつくる

こうした構造そのものを設計しないと、
リモートワークは「成長しない働き方」になってしまう。

 


リモートワークは、悪いものではありません。
むしろ、これからも続いていく前提の働き方です。

 

だからこそ、
人が育つ前提で成り立っていた仕組みを、一度すべて疑い、再設計する

 

その覚悟と設計力が、
これからの経営や人事には求められている気がしています。