データ出所
「現在のキャリアに不安がある人が86%」
「収入源の多様化を望んでいる人が約7割」
この数字を見たとき、正直に言って、
高すぎないか?と思った。
そんなに多くの人が不安を抱えているのか、という驚きと同時に、
でもどこかで「やっぱりな」という感覚もあった。
多くの人は、本当は一つの肩書きや一つの仕事だけでなく、
いろいろな挑戦をしながら、自分の幅を広げていきたいと思っている。
収入も、経験も、価値観も、もっと多層的でありたい。
このデータは、そうした人としての自然な欲求が、
社会の中で十分に満たされていないことを示しているように見える。
なぜ、人は「点を打てなくなる」のか
点を打てない理由は、実はシンプルだと思う。
回り道をしたくないからだ。
ストレートにキャリアアップして、
収入を上げて、
ゴールに近づきたい。
そう考えるのは、とても自然なことだ。
いろんなことに手を出していると、
「遠回りしているんじゃないか」
「軸がブレているんじゃないか」
そんな感覚になる。
特に日本は、単一文化が強い社会だと思う。
評価軸も、成功モデルも、比較的わかりやすい。
だから意識的に動かないと、人のキャリアはどうしても収束していく。
結果として、伸び悩みや閉塞感が生まれる。
点を打つとは、「絵の具を集める」こと
でも、こうも思う。
もし人生を一枚の絵だとしたら、
いい絵を描くには、絵の具は多い方がいい。
限られた色だけで描くより、
たくさんの色がパレットにあった方が、
描ける世界は圧倒的に広がる。
点を打つというのは、
回り道をすることではなく、
自分の人生というアートのために、絵の具や道具を集める行為なんだと思う。
しかもその作業は、
大学を卒業したら終わり、ではない。
社会に出てからも、学びはずっと続く。
経験も、人との出会いも、挑戦も、すべてが色になる。
経営は、キャリアを一気に「着替える」行為
その中でも「経営」、特に事業を継ぐという行為は、
キャリアを一気にワープさせる力を持っている。
副業とも、単純な転職とも違う。
事業を継いでオーナーシップを持つということは、
社長業を引き受けるということだ。
自分を、まるごと新しい服に着替えるような感覚がある。
しかもM&Aによる継業は、
ゼロから何かを立ち上げる必要がない。
顧客がいて、事業があり、組織があり、歴史がある。
だからこそ、
どんな経験が得られるのか、
どんなネットワークが広がるのか、
どんな視座が手に入るのかが、比較的わかりやすい。
自分のキャリアを「設計できる対象」にしやすいのが、
継業という選択肢だと思う。
経営には、その人の思想が溢れ出る
経営は、技術やスキルの話だけじゃない。
同じ飲食店でも、
イタリアンをやる人もいれば、和食をやる人もいる。
同じ和食でも、
一万円の店もあれば、三千円の店もある。
それはすべて、
経営者の思想が溢れ出た結果だ。
ビジョン、ミッション、行動指針。
何を大切にし、何を捨てるのか。
経営という行為には、その人らしさが隠しようもなく現れる。
だから経営には正解がない。
そして、それでいい。
正解をなぞるためではなく、
自分らしさをこの世界に置くための手段として、
経営があってもいいと思う。
最初にやってほしい、たった一つのこと
「私はどの事業を買えばいいですか?」
そう聞かれることは多い。
でも、経営はアートだ。
答えは、最初から外に用意されていない。
だから最初にやってほしいのは、
自分が人生をかけてやってもいいと思えることを、できるだけ多く書き出すことだ。
一つである必要はない。
10個でも、20個でもいい。
やりたいことと、やれることは、大抵一致しない。
でも、心の中にリストとして持っていないと、
やれるタイミングが来たときに、気づけない。
釣りと同じだ。
針が一本だけでは、魚はなかなかかからない。
巻き餌を撒いて、いくつもの針を垂らしておく。
そのうちの一つに、ふっと反応がある。
キャリアも、きっとそれに近い。
回り道に見える点の一つひとつが、
あとから振り返ると、
自分だけの絵を描くために必要だった色だったと気づく。
経営も、継業も、
その点を増やすための一つの手段にすぎない。
正解を探すより、
どんな絵を描きたいかを考える。
その方が、
キャリアはずっと自由になる。

