絵の猫ちゃんをなでまわす | けものみち

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日記のようなものです。



何年か前に本で見て、好きになった絵です。
長谷川潾二郎 作『猫』。
「目で撫でる」という行為の存在に気づかされた一枚でした。

この満足そうな顔。
頭から耳先へのゆるみと張り
意外とスムースではない猫の背中…
つぶれ気味に落ち着けたおしり、そっと畳まれたしっぽ
猫と床の設置点…手を差し入れたい(*'ω')
顎の下にしまわれた手と、ふわふわの手に乗せたあご、どっちもうらやましい!
そして猫といったらこの口もとですよね。
それにつけても、この満足そうな顔…

そして撫で回しは二周目に入り、永久機関となるのです(*ΦωΦ)

作品の写真を私は沢山なでました。
そしていつか、この絵を見たいと思っていました。

普段この絵は仙台の宮城県立美術館にあるそうです。
でも、いつも展示に出ているわけではありません。
見たかったら、展示に出されている時 × 自分の都合がつく時…という確率勝負に勝たねばならない。

私はとても移動に弱い様で
遠出すると、魂が付いてこられなかったりするのです。
そんな時は移動後数日、ぬけ作となり、使い物にならんのです。
なかなかいなかに帰らないのもその辺からで
いなかと反対方向に遠い仙台も、私には軽く黄泉路気分です。
どうしてもの時は、数年、数ヶ月ぶんの何かの力を振り絞ります( °ω°)

そんな所にいる猫ちゃん。
このたび、横須賀まで寝に来てくれているのです(屮*'ω')屮

横須賀も二時間以上かかるので、ちょっと何かを振り絞り
なんとか行ってまいりました。





必死で行った甲斐あって、行って良かったです。
人口密集地帯から離れているぶん、お客さんが少ないのです!
猫ちゃん独占タイムをたくさんもてました。
美術館さんとしては困るのかも知れませんが(;'ω')

施設建物も、美術館の人たちもとても素敵で
その美術館の人たちがまたかなり『猫』をお好きみたいでした。

『猫』の前で30分近く、お客さんが私ひとりというタイミングがあって
近寄ったり遠ざかったり、右から左から下から上から見ておりました。
2メートル後ろに監視員さんが居ましたが、猫ちゃんを撫でまわすのに没頭しました。
「どうしよう、帰りたくない…帰れない…」と思っていたら
賑やかな数人づれのお客さんがいらしたので、ようやく切り上げる決心がつきました。
帰り際に監視員さんに会釈をしたら、なんだかニコニコされていました。

それからショップに行って、この絵のポストカードを買ったのですが
枚数を数えた人は、作品でモデルになった猫の名前で
「では、タローちゃん10枚ですね!」と言われました。
みんなあの猫ちゃんが大好きなのです。

絵を見ているとき「他の部屋にはあるのに、どうしてここに椅子がないんだ」と思いましたが
あそこに椅子なんかあったら、もうそこから動けなくなるのかも知れません。

次々と長椅子に腰掛けては、動けなくなる人々…
やがて閉館時間がきて監視員さんが近づくも、監視員さんもつい絵を見てしまい
警備の人もやって来るが動けなくなり
翌朝そこには…

こうなるとホラーですね(屮*'ω')屮
椅子がなくてよかった様です。