ハリーの鬱(うつ)体験記(その1)
うつ地獄からの脱出ストーリー
鬱(うつ)
うつ的状況に、この私が陥るなんて。
私が、「うつ的状況に陥り、数年間苦しんだんだ。」と告白すると、皆さん、驚かれます。
今の私からは、たぶん想像できないでしょう。でも、本当なんです。それは、それは、つらい日々でした。
うつ的状況に、この私が陥るなんて、私自身が、その状況を信じられませんでした。
あるとき、何かのきっかけで、始まる鬱(うつ)。
それまで、あんなに元気だった人が、別人のように変わっていく。突然やってくるのです。
ちょっとした出来事から、とつぜん、そして徐々に、負のスパイラルがはじまり、そこから抜け出せなくなっていくのです。
それまでの自分なら、朝の鳥のさえずり、窓から見える緑、美しい花々、きれいな音楽を聞いて、あー、幸せ!と感じていた自分が、まったく消えてしまいました。
それらの風景や音を聞いても、心の中まで、入ってきません。
まるで、白黒フィルムで撮影したモノクロ映像のように、色彩が消えてしまうのです。
美しい色は目に入ってくるのですが、心に中に届く時には、それは、色彩の無い白黒〔モノクロ〕写真であり、そこに流れる音は、悲しく、暗い音楽に変わってしまうのでした。
夢も感じない。生きる喜び? それって何?分からない。希望?そんなものあるの? 絶望、早く死んで楽になりたい。と本気で思う日々が続きました。
朝、早くに目が覚めます。熟睡できていないのです。
温かい布団の中なのですが、手、腕、足が氷で冷やされたように冷たいのです。
今日一日、また始まる。今日、一日の仕事を自分はこなせるだろうか? 自信がない。どうやって、自信を持てばいいんだ。昔の私なら、こんな不安など感じたことがないのに、得も言われぬ不安、恐怖に押しつぶされそうになって布団からでられない。
ネクタイを締めながら、「あー、今日も、また、あの仕事が始まる。 つらい・・。」とまどの外の空に向かってつぶやいてしまう。
「私には、家庭がある。子供の学費や生活費も稼がねば。私は、父親であり、一家の柱だ。責任があるんだ。それに、老後の生活費もしっかり、いま稼いでおかねば。はたれけるはもうあと数年だ。 こどもに頼らず自力で生きていける老後にせねば。 だから、こんなことにくじけ茶駄目だ、」と心の中のもう一人の自分が激励しようとしますが、そんなものは何の役にも立ちません。それどころか、それがますます重圧となってのしかかってきます。
不安と、絶望の日々。そして、その負のスパイラルは、ますます悪化して行くのです。
それはまるで、暗い海の中に突き落とされ、水面下へ、ちょっとずつ、ちょっとづつ、浮き沈みしながら、どんどんと、底なしの深海の中へ、沈んで行きました。
そしてその水圧は身も心も押しつぶしていくのです。
悪循環の連鎖でした。
(その2)へ続く
<鬱の苦しみ、そして回復のヒストリー>
ハリー・ヨシダの鬱(うつ)体験記
☆