ラジオの製作

でインダクタンスをもっと正確に測る必要が出てきました。
まず、課題として

A. インダクタンスの内部抵抗
B. 信号源に含まれる高調波
C. 出力源の出力インピーダンス
D. 電流計の内部インピーダンス
E. 電圧計の内部インピーダンス

の5つがあります。
この中でまずA、C、Dについて考えてみました。


R1が出力源の出力インピーダンス、R2がインダクタンスの内部抵抗、R3が測定したいリアクタンスとします。
そうするとこの回路を簡略化して


こんな感じにして考えます。
R2(インダクタンスの内部抵抗)の影響をできるだけ受けずにR3(測定したいリアクタンス)を得るためにはR3のインピーダンスが出来るだけ大きくなる必要があります。
例えばR2が1ΩでR3が1KΩならR2は無いようなものです。
同様に信号源の出力インピーダンスもR3に対して小さいならば影響は軽微になるはずです。


そしてもうひとつ

電流計をつないだ場合ですが、
R1は出力源の出力インピーダンス、R2が電流計の内部抵抗、R3がインダクタンスの内部抵抗、R4が測定したいリアクタンスとして

またまた簡略化し


R2(電流計の内部抵抗)がR4に対して(測定したいリアクタンス)が影響がないほど小さいとしたらこの回路に流れる電流はR2があってもなくてもほとんど変わらなくなるはずです。

これらの考えのもと、測定したいリアクタンスを大きくする方向で検討しました。


リアクタンスの式を見ると、インダクタンスをあげるか、周波数をあげる必要がありますが、
インダクタンスは測定対象のためあげることができないので、周波数をあげなくてはいけません。

まずは今の160Hzより高い周波数を出力するウィーンブリッジ発振回路を作成しなくてはいけません。


0.01μFのコンデンサがあるとよかったのですが、手元にないためR1とR2を変更するだけで周波数を操作する必要が出てきました。
まずはR1とR2を1KΩに変更です。


発振条件  

発振周波数 


これらの式から、R1とR2の抵抗を1KΩに変更すると、発振条件はクリアし、周波数は1591Hzになるはずです。10KΩの抵抗は可変抵抗を使用し1KΩ近くに調整して作りました。(本当は1KΩごとにやるつもりでしたので。。。)

実際に周波数を測ってみました。
まずGoldWaveの波形を元に周波数を計算してみると1724Hzとなりました。
次にAudacityのスペクトラム分析(Haning)で見ると


1812Hzでした。
最後にDMMで周波数測定すると1778Hz±(2.0%+5)でした。
高調波もAudacityのスペクトラム分析(Hanning)で確認しました。



きれいな正弦波であると思います。

これらより出力源は



1778Hz±102.3 信頼水準95%であることが分かります。

それでは以前と同様に

電圧と電流を測定してみます。

測定結果からインダクタンスを計算してみます。

この式を利用します。




5.24mH±0.800.74 信頼水準95% となりました。
4mHのインダクタンスですからだいぶ近くなってきていますが、さらに周波数を高くして試してみました。

R1とR2を330Ωにして再度トライです。





330Ωにすると周波数は5455.7Hz ±250.7 信頼水準95%となりました。



測定結果はこのようになりました。



インダクタンスは計算すると

3.68mH±0.480.43 信頼水準95%となります。

ここでもう一度、測定しているインダクタンスの仕様を確認してみましょう。



結構いい線いっていると思うのですがどうでしょうか(≧∇≦)


■追記 DMMの精度について


最初DMMの精度は箱の裏のスペック表を見て計算していました。


{49DC623E-04A2-44B3-A018-4FD99956AFA3:01}

ところがマニュアルを見ると
{7DCB416D-BF82-4D35-AABA-E9EB3F38339B:01}

周波数帯によって精度が変わるため訂正する必要が出てきました(;´Д`A
さすがセッピーナさんです。見所が違いますね。。。


まずはR1、R2が1kΩの場合の周波数のところの修正です。


次にインダクタンスの計算のところです。




そしてR1、R2が330Ωの場合の周波数です。



それからインダクタンスの計算のところです。




■追記2

リアクタンスの比較をしてみました。




周波数が1778Hzだと24%ほどリアクタンスが違ってきますが、



周波数を5455Hzにすると、9%まで近づきます。

もう少しいろんな条件でテストしてみたいところです。