星食の楽しみ方はいろいろあると思いますが、せっかくですので報告してみると何かの役にたつかもしれません。
私の楽しみのひとつでもあります。

星食観測結果の報告の方法ですが、星食ハンドブックのP.107~P.109に掲載されています。
ですが、私なりに手順を書いてみたいと思います。
(結構、重複しちゃうかもしれません^^;)

報告用のフォーマットは決まっていて星食ハンドブックのP.110~P.115までに掲載されていますが、
面倒だというかたはIRiotというソフトを使ってください。

このソフトを使うとフォームに決められた値を入力するだけで、提出用のファイルが出来上がります。


順を追って説明しますと
IRiotを起動すると次のような画面になります。



画面が小さくてすみません、、、
今は[ヘッダ]タブを開いていますが、前回開いていたタブを記録しているのでしょう。
まずはヘッダに観測地名とメールアドレス、観測者の氏名を記述します。
すべて英語表記で記入してください。
住所はヘボン式です。

次に観測地・望遠鏡・観測者の情報を入力します。



東経、北緯、高さを入力したら測地系(基本的には84 WGS84にしておけばよいとのこと)を選択してください。
次に望遠鏡の情報を入力し、観測者の氏名とメールアドレスを入力します。
ここは複数登録することが出来ます。
後ほど入力する観測結果の所で選択出来るようになります。

ちなみにここまでの2つは、一度入力してしまえば、次回からは使い回しが効きます。


それではいよいよ観測結果の入力です。


現象時刻はUTCで入力してください。
本来ですと眼視観測の場合は小数点以下1桁までのようですが、
私は特別に2桁まで採用してもらえるようになりました。
その理由は時刻精度と個人差についてはっきりと根拠を示したからだと思います。

少し分かりにくいので説明しますと
個人差というのは眼視観測の場合、現象を確認してからテープレコーダーに音声を録音するまでの遅れのことをいいます。
ここは相馬先生に色々とご指摘を受けた部分であります、、、
少なくとも次の記事のように何度か測定してみて自分の個人差を取得しておく必要があります。

呼び鈴による個人差の再テスト

それでもまだ課題がありまして、
ストップウォッチのSTARTボタンと最初の呼び鈴を押した時間にずれがないか?ということです。
これに対する方法としまして、突然LEDが光るような装置を作って測定する実験をしてはどうか?と
アドバイスを受けております。
まだ電子工学を勉強中の私には、もう少し先になりそうな課題です。

次に時刻精度ですが、
これは観測時刻を求める上で発生したすべての誤差の自乗の総和の平方根で求めることが出来ます。
言葉にすると分かりにくいので、実際に計算してみます。

まずBPMが届くまでに電離層で反射するのですが、その回数が2回か3回によって誤差が生ずるのです。
この辺りは、次の記事を参考にしていただくとしまして、
この場合1msecの誤差があります。
10月27日明け方の星食観測結果

次に個人差のばらつきを標準偏差で求めます。
私の場合は0.059sでした。
これは先ほどの記事のSTDEVのところを見ていただければ分かるかと思います。

次にシンチレーション、いわゆる星の瞬きによる誤差があります。
これについては私に与えられた大きな課題の一つになるのですが、現在シンチレーションの誤差は0.04sとされています。
これはビデオ観測の場合のことなのですが、眼視観測でシンチレーションの誤差がどれぐらいになるのかというのは、
まだよく分かっていない事柄なのです。
さらにビデオ観測の場合も0.04sとされていますが、これは何故?と言われても明確な根拠は無い数字なのだとか、、、。
という訳で、ひとまず0.04sを使用しておけばいいのですけど、今後研究してくださいと、私に与えられた大きな課題なわけです。

話がそれましたが、これらを計算しますと
SQRT(0.001^2+0.059^2+0.04^2)=0.072sとなります。
報告フォーマットでは小数点以下2桁までしか入力出来ないので0.07sで時刻精度を報告します。
よく分からなければ、個人差の標準偏差と0.04だけ使っても値は変わらないのでいいかと思います。

これで個人差と時刻精度が入力出来るはずです。

他にも観測結果がある場合は、[観測結果を追加]ボタンを押して複数入力することも出来ます。



もし何か星食コーディネーターに質問したいことや、報告しておきたいことなどあれば[オプション]タブに記入しておきます。
日本語でOKです。
何もなければ特に記述する必要はありません。



最後に[報告書(出力)]タブで内容を確認後、[ファイルに保存する]ボタンを押すと報告用のファイルを保存することが出来ます。
そのファイルを
星食観測日本地域コーディネーター
に掲載されている「観測報告およびお問い合わせ用アドレス:」宛にメールします。

これで報告完了です。

そんなに難しいことはありませんし、とりあえず分からなくても報告してみると、色々と教えてもらえるかもしれません。


それではご健闘をお祈りします(*^-^)b