私は、この数日の間まるで恋人に会いに行くように本屋に通っていた。その本屋で誰に会っていたかと言うと、この「ターシャ、テューダー」と言う絵本画家である。店の真ん中にこのコーナーを広く取ってあり私は、この「ターシャ・テューダー」が、大好きで毎日足を運んでいた。そのコーナーは、まるで自然の草花が、本当に植えられているかのように写真が美しく、その本をめくると手入れの行き届いたアンティークな台所の写真もあり、アップルパイを焼くいい臭いや、ブルーベリージャムを煮る臭いがしてくるようだ。私は、そこに一時間ぐらい立ち尽くして、何冊もある彼女の本一通り見て、そして家に帰った。このコーナーに来て、この本を見るとまるで山奥の新鮮なオゾンをたっぷり吸ったように頭が爽やかになる。
ターシャ・テューダはアメリカ、バーモント州の山奥で18世紀風の農家を建て、自然と動物達を相手に一人で暮らしている。山羊を飼い、乳をしぼりバター・チーズをつくる。野菜・果物・ハーブを植え採取する。布を織り、縫い物をする。
そして、ローソクを作り柔らかい炎の光で部屋をてらす。ガーデニングは、ターシャの自慢で
「家の庭は、地上の楽園よ」と自称するほど美しい
。現在は90才
ぐらいと思うが、誰もが羨む人生である。私も、かなうことなら
生まれ故郷である北海道あたりに移り住み、自然の中で手作りの生活をしたいと憧れる。しかし、憧れと実際は、大きく違い
文化的な生活に慣れてしまっている私には、自然の中の生活は厳しくて続かない物に違いない。自然は、大好きだが自然の厳しさに本気で向かっていく勇気はない。
しかし、ターシャは「生きているだけでも、ありがたいと思いませんか。公害や恐ろしい事件がいくらあっても、この世界はやはり素晴らしい。見慣れた空の星だって、年に一度しか見られないと思えば、感動するでしょう。なんでも、そう思ってみては、どうかしら。」……人の生き方を羨ましがるより、自分の人生を愛し、自分の人生を手作りで「思うとおりにあゆめばいいのよ。」とターシャ・テューダーはいっている。私も、ターシャのように自然体で生活を楽しむ生き方をしたいと思う。