去る7/26(火) 東京拘置所において、
加藤智大元死刑囚の刑が執行されました。
彼は言わずと知れた、「秋葉原無差別
連続殺傷事件」の犯人です。
この事件が発生した当時、米国の
メディアでも“Akihabara Massacre“
(↑歴史の教科書に載っていそうな
重厚感!)として騒がれたのを覚えています。
2008年6月のとある日曜日、午後12時半。
1台の2tトラックが秋葉原のホコテンに
突っ込み、休日を楽しむ人々をオモチャの
よう跳ね飛ばしました。
運転手はトラックを乗り捨てると、今度は
ダガー片手に運転席から飛び出し、
事故(当初は事故だと思われていた)処理を
手伝う善意の人々を、手当たり次第に
刺していったのです。
彼はまもなく警察に現行犯逮捕されましたが、
7名もの死亡者・重軽傷者10名を出した、
平成史上最悪の通り魔事件となりました。
加藤さんは、殺人などの罪に問われ、
1・2審ともに死刑を言い渡されました。
2015年、最高裁判所が彼の上告を退け
死刑が確定し、事件から14年後の先日、
執行へ。
先進国はこのところ死刑撤廃の方向に
向かっていますが、ごく個人的には、
この犯人には死刑しかしっくり来ないと
感じます。
本音は
「一切関係ない人々を巻き込んで人生を
わやにした罪が、1回死んだ程度で
安易に精算されたと思うなよ!」
ですが、人間、どうがんばっても生と死は
1度きりですものね。
犯人に死刑判決が下ったところで、
犠牲になられた人々が奇跡的に復活!
なんてマンガみたいなことが起きないのは
百も承知です。
が!せめて犯人に、犠牲者が不本意に
体験させられたのと同じインテンシティの
苦痛が約束されなければ、遺族はほっと
一息つくことすらできないでしょう。
死刑の是非に関して、
「日本人は議論を展開する際、問題を
感情から切り離して考えることが苦手だ。
他の先進諸国に倣って、死刑制度なんぞ
今すぐにでも廃止すべきなのに、
バカの一つ覚えのように『遺族の思いを
かんがみると……』とやり始める。」
なーんてしたり顔で言ったり書いたり
されている識者の方々もいらっしゃいますが、
果たしてこの御仁たち、ご自分の家族が
不運にもこの種の事件の被害者に
されてしまっても、同じことをおっしゃる
でしょうか。
物事の本質って、自分が当事者になるまで
なかなか見えてこないものです。
知り合いに、社会学を教えていらっしゃる
大学教授のアラ還オジサマがいます。
去年の夏休みに大学生の息子さんが、
ゲイであることを父親に告白しようと、
ボーイフレンドを伴って里帰りを
果たしました。
映画「Fire Island」より
教授の息子さん、この主役の俳優さんにそっくりなんです。
「息子がセンテンスを終える前に、
『恥を知れ!』と怒鳴りつけて、
相手のオトコともども家から
追い出してやったさ💢💢💢」
と忌々しげに語る教授の激おこフェイス、
脳裏に焼き付いて離れません。
LGBTQ+はあくまで授業の一環、
社会風潮として教えるものであって、
ご子息からカミングアウトをくらうのは、
ご自分の人生にあるまじきこと
だったのでしょうね。
世の中なんて、人間なんて、こんなもんさ!
下手に学や立場がある人の方が、
独善的で他人の話を聞き入れない傾向が
強いようです。
(ワッキーまゆつばリサーチセンター調べ)
ところで皆さま、「死刑囚表現展」を
ご存知でしょうか?
死刑の撤廃を求める死刑囚の家族が主宰して
2005年から行なわれてきた、死刑囚本人たちの
手による絵や文章等の展覧会だそうです。
わたしは大抵のことは知りませんが、
もちろんこの表現展についてもまったくの
もぐりでした。
先日夫がネットで発見し、
「ちょ、これスゴいよ。見て見て!」
と興奮した面持ちで差し出してきたこの絵。
シリーズ「お昼寝」のうちのひとつ、『階段国道』
加藤元死刑囚が去年の作品展に出展した
お作の一部だそうです。
まるでキュービズム画家が、彼女との
長電話中に、そこらにあったメモパッドの
切れっぱしにいたずらに描いた騙し絵みたい!
これ以上ないくらい簡素化されていますが、
ちゃんと構図があり、「家」を舞台にした
ストーリー的なものが見えてきます。
ひょっとしたら加藤智大という人は、
非常に高い空間認知力と優れた計画性を持つ、
高度な技術職向きの人材だったのかも
しれません。
警備会社や運送会社、派遣会社、自動車整備工
だのといった職業は、彼には圧倒的に
役不足だったとも考えられます。
彼を破綻者に仕立て上げた張本人と
うわさされる母親は、幼児期から息子2人に
教育虐待を浴びせてきたモンスター・
ペアレントだったそうな。
カメラに向かって息子の罪を謝罪するご両親
もし彼女が自分の理想の息子像に過剰に
執着することなく、彼らが好きなこと、
興味を持つことをいっぱいさせて、
のびのびと育てていたら、何かものすごく
非凡な才能が開花していたかもしれないのに
残念無念 😫
(この母親にも何かしらの想いがあって、
度を越した厳しさを持って息子さんたちを
育てられたのでしょう。
あるいは彼女自身も、己の毒親から
教育虐待を受けながら大きくなったのかも
しれません。)
家庭環境いっぱつで、我が子が
天才アントレプレナーにも殺人鬼にも
なると思うとやっぱり……
自分は親の器じゃないなぁと再認識します。
イーロン・マスク氏なんて、まさに
どちらにでも転びそうなタイプ。
あの手の人をポジティブサイドの住人に
育て上げた親御さんの手腕に脱帽です。
第2第3の加藤智大を生み出さないためにも、
ただ今絶賛子育て中のママス&パパス、
またはもうすぐ親にならんとす!の方々は、
「良かれと思って……」とご自分のエゴを
押し付けることが、後々キッズの人格形成に
どれだけ罪深い爪痕を残すかってことを
自覚しとかなくちゃいかんと思いました。
(子なしが知ったか言って申し訳ありません🙏)
加藤さん、こんな大罪を犯した後で
天国行きは望むべくもないでしょうけれど、
またこの世界に戻って来るチャンスが
あるならば、せめて自分が主役で
人生を生きられる環境に産まれ落ちて
来られますように。
次はもっと子どもをリスペクトできる、
幸せにできる親のもとに。
合掌……