Richard Wagner

Lohengrin

Friday 03. Jan. 2020,6.00 pm - 10.30 pm

In German with German surtitles

Venue: Main Stage, Hamburg State Opera

 
Kent Nagano, Conductor
Peter Konwitschny, Director
Helmut Brade, Set Designer, Costume Designer
Klaus Florian Vogt, Lohengrin
Christof Fischesser → Georg Zeppenfeld, Heinrich der Vogler
Tanja Ariane Baumgartner, Ortrud
Wolfgang Koch, Friedrich von Telramund
Simone Schneider, Elsa von Brabant
Andrzej Dobber, The King's Herald
Sungho Kim, 1st Nobleman of Brabant
Hiroshi Amako, 2nd Nobleman of Brabant
Nicholas Mogg, 3rd Nobleman of Brabant
Ang Du, 4th Nobleman of Brabant
Manfred Voss, Lighting Designer
Eberhard Friedrich, Choirmaster / chorus director
Hamburg State Opera Chorus
Hamburg Philharmonic

 

昨年秋、K.ナガノとハンブルク・フィルとして来日したハンブルク歌劇場、そのローエングリンをK.F.フォークトが歌うということで旅程に組みました。フォークトは2019年11月のバイエルン歌劇場でもローエングリンを予定していて検討しましたが売り切れていた為、断念しこちら、12/22~1/3まで4回公演の最終日を現地ハンブルク歌劇場にて。ハンブルク歌劇場も初めて聴く(観る)機会。

 

119~7ユーロまで10段階あるうちの上から7番目のカテゴリーで38ユーロは新国立劇場のD席くらいの値段ながら、座席は新国の2階バルコニー右端くらいなので、A席(かつてB席)相当。

 

14型の通常配置で木管が左手(Fgが左、Clが右)、Hrが左端、左奥にHp、金管が右端、Tim、打楽器が右奥といった配置。3幕のバンダが左右のLOGE1〜2、客席中央奥、ピット上の左右に花道的に張り出した通路にTpとスネア。

 

開演3分前、チューニングが終わったところで、劇場関係の女性がマイクを持って登場、誰か降板かという空気が流れたところで、ドイツ語だけのアナウンスでさっぱり分かりませんでしたが、ツェッペンフェルトの名前で拍手が。ハインリヒ王がもともとのフィッシェッサーからツェッペンフェルトへ交代という私にとってもポジティブなサプライズ!

 

指揮のK.ナガノは2011年9月バイエルン歌劇場来日公演以来。振り方はオペラ指揮者の中で生真面目系の印象ですが、3幕前奏曲のTrbには大きなフレージングをしたのは良かったです。テンポ設定でじっくり目の箇所が多く、ティーレマンならば快速に飛ばして行くところだったりもする為、慣れればさほどではありませんが不満といえば不満。逆にうまくいっているところもあるように思いました。同じLOGEにいた人が強烈にBooing、その他は概ね好意的だったように思います。

 

フォークトのローエングリンは演奏会形式の2018年東京春祭、オペラだと2016年の新国立劇場以来になりました。それら公演から期待する歌唱を満たすとともに、さらに一段力強さが感じられ、バイロイト2019からの流れの中で今のフォークトのローエングリンを聴くことができました。

 

まさかツェッペンフェルトの歌うハインリヒ王を2017年バイエルン歌劇場来日公演に続いて聴くことができるとは! バイロイトと同様、少し枯れた感のある声質での迫真の優れた歌唱で、1幕中盤のDas Deutschland!には痺れました。また、歌唱だけではなく、バイロイトのネズミ演出の際に観られた、王としての威厳を蔑ろにされたようなところをめげずに振る舞っていくコミカルな演技をこのコンヴィチュニー演出でも見せてくれました。

 

知っている歌手の優れた水準はさることながら、初聴きで大当たりだったのがT.A.バウムガルトナー。いやらしい声質で聴かせるオルトルートといえばP.ラングでしょうが、声量たっぷりに強靭に押していく点では上回っているように思いましたし、さらに不良学生としての演技が1幕からはまっていました! そうした彼女にはフォークトには譲るものの、多くのBRAVO,BRAVAがかかっていました。

 

エルザのシモーネ・シュナイダーも強く歌唱で期待を上回るところでしたが、若干ずんぐりむっくりに見えたのと、演出上、ネジが外れたような純真無垢な転入学生の演技は少々厳しいものがありました。それでも歌唱が十分だったこともあり、拍手は大きいものがありました。

 

テルラムントはベテランのコッホ。1幕でポルタメントし歌い崩すのが多く不満に思いましたが、声量豊かで、この役に求められる水準にあったと思いました。

 

伝令のドッバーも十分に水準。

 

歌劇場座付きの合唱はコンヴィチュニー演出で色々と演技や舞台転換の役目を果たしていく中でも、迫力満点の歌唱。2幕4場・3幕1場のしっぽり目の箇所は一転してしっとりと歌い上げてくれました。

 

オケはキズが無い訳ではありませんが、バイロイトほどでは無いにしても、魅力的な演奏。6人であんなに分厚いCbパートは初めて聴きました(東フィルでいえば全員黒木さんみたいなイメージの、1本の楽器のように音色が揃っていました)。高弦は不揃いだったり音が痩せることがないではなかったのですがまずまず。木管も他のトップ歌劇場に比べ際立って優れてはいませんし、1番Obは音程が外れているように聴こえましたがまずまず。金管・Hrは3幕のバンダが入っての箇所(3場)でミス・ズレがなくは無かったのですが、全体を通して安定してしっかりと決めてくれました。

 

コンヴィチュニーの演出は2011年2月、二期会のサロメ以来。

舞台を中学校くらいの教室におき、ハインリヒが教師、その他が生徒、テルラムントとオルトルートが不良学生といった構図(バウムガルトナーの演技が最高!) エルザが転入しローエングリンがせり上がりました。1幕で木製の剣を戦う2人にハインリヒが手渡す箇所、剣の長さがちがう!(平等じゃない)といった場面は即興なのかとてもコミカル。3幕の名乗りの後は殺風景な舞台に。

 

カーテンコールは良かった時の新国立劇場ぐらい何度も続きました。

 

最後のカーテンコールは動画で(少々ブレてます。)