『 ヴォーーーノ…』
イタリアンレストランの壁に掛かっている…
額縁の絵が…
1つだけ傾いていたんだ少しな少し。
1つだけ、と言うのが逆にアクセントになり…
お洒落なんじゃない?
ちょっと崩す、と言う芸術家artistの…
戦略の意図を垣間見たく思い…
店員さんに…
この傾いている絵を指差しながら…
『すみません、この絵…』
次の瞬間…その店員さん………
『あぁー本当ですね!!!すみません!!!すみません!!!』
と言いながら…
傾いている絵を真っ直ぐになおしたんだ。
まだ僕は…
『すみません、この絵…』としか言っていない。
なんとも言えない気持ちになったよ。
芸術的に傾かせていたと思ったものが…
そうではなかった。
僕の頭の中の美的感覚と言うか…
artist心と言うか…
少なからず兼ね備わっていたかと自分で思っていた芸術家気質な部分をしまっている…
右脳!!!そう、その右脳の血管が…
音をたててちぎれ始めた。
プチブチブチプチ…
………プチブチブチプチーーーーーーーッ!!!
そりゃもう…嫌な音でしたよ。
こんな事が2度とあった日には…
アナフィラキシーショックじゃないけれど…
立ち直れなくなってしまうのではないかな。
そんな気分だった。
そんな気分で…
シェフにお願いしたカルヴォナーラは…
いつもより…
美味しく感じた。
最高だ、ここのカルヴォナーラは…
絶品だ。
傷付いたartistの心をも癒してくれるここのカルヴォナーラが…
僕にとって…
かけがえのない存在となった事は…
言うまでもないのである。
脇崎智史