【要約】抗がん剤を入れたあと便がコロコロとするのは制吐剤の副作用であった。しかしこの制吐剤は素晴らしい。誰もゲロゲロと吐きたくはないものね。そもそも吐いてしまうということは抗がん剤が毒であることを示している。あえて毒を身体に入れるのだ。その方が長生きできるのだから仕方がない。


【本文】アロキシ静注(パロノセトロン塩酸塩)・・・こいつのせいか・・・抗がん剤を使い始めて数日間は便がコロコロしているのは・・。この薬は制吐剤。吐き気を抑えてくれる薬である。昔は抗がん剤と言えばゲロゲロと吐きまくるイメージだったけれど、そうした話を今あまり聞かなくなったのは、この制吐剤が進歩したからだ。いわゆる支持療法。


抗がん剤のあとに胃腸の動きが悪くなるのは何故かなと興味をもって調べ始めて、このアロキシ静注にたどりついたのだけれど、この薬は、調べてみれば調べてみるほど素晴らしい。抗がん剤の前に点滴で身体の中に流し込むんだけれど、なんと血中半減期が40時間もある。それで点滴をしてから5日間も吐き気を抑えてくれるのだ。薬価が1万5千円しても使う価値はある。誰もゲロゲロと吐いて苦しみたくはない。


そもそも吐くという行為は毒を吐き出すためだ。つまり抗がん剤は毒なのである。毒だから抗がん剤は止めたほうが良い?あのねぇ毒だということは分かっているのだ。問題は、その毒を飲んだ人と飲まなかった人とで、その後の生存期間がどうなったか、なのだ。どちらが長く生きられたか。けっきょく毒を飲まなかった人の方が早く死んでいる。だから毒を飲む。そういうこと。悲しい現実。


ただ、毒だからこそ、癌を完全に殺せるような濃さでは抗がん剤を使えない。癌を退治したいから抗がん剤をたくさん飲もうだなんて人はいないとは思うけれど、そんなことをしたら、その毒で自分自身が死んでしまう。ものすごく微妙な濃さで毒を身体に流し込む。癌にだけ効く薬がね、あればね。まだないけれど・・これからも一部の癌以外は難しいかなと。


まぁ癌細胞って、もともとは仲間の細胞だからね。それが、中に入っている遺伝子が傷ついて、ちょっと壊れてしまっている。外から身体に入ってきた細菌などとは違って見た目は一緒だったりして識別は難しいよね。仕方ないのだ。