アナキズムこそが唯一の代替策 カーン・ロス(BBC)
Carne Ross: ‘Anarchism is our only alternative’ - Viewsnight

 


私はかつて、イギリスの外交官でした。
政府を信じているだけではなく、その代表として15年間勤めていました。

しかし現在、私はアナキストです。
でも待ってください。
私は目出し帽は身に着けていませんし、火炎瓶を持ち歩いたりはしていません。※注1

アナキズムはシンプルな概念です。

誰も他の人よりも上位に立つことがなく、
人々は自分自身を統治するべきだというだけのことです。


私たちのシステムは、民主主義も資本主義も崩壊していることを明らかにしています。

経済的不平等によって、社会は分断され、この惑星は破壊されています
人々は冷遇され、自分たちのニーズが無視されているように感じています。

それに対する答えとは?

人々を巻き込むことです。

古代ギリシャでは、一般の市民が順番に統治に関わっていました

 

 


最近ではブラジルの都市、ポルト・アレグレでは、大規模な民衆の意志決定システムにより学校や病院、公共サービスの施設が劇的に改善されました。

 

画像 ポルト・アレグレの様子

https://www.shareable.net/blog/15-participatory-budgeting-projects-that-give-power-to-the-people

 

 

画像 「参加民主主義」を一部取り入れたアメリカ、ボストン

https://www.shareable.net/blog/15-participatory-budgeting-projects-that-give-power-to-the-people

 


コーオウンド・ビジネス(従業員が所有する会社)のジョン・ルイス(イギリスの大手デパート)などは、最も競争の激しい市場でも絶好調です。

そしてシリア国内のロジャヴァというところでは、人々はヒエラルキーの形態をとらずに自分たち自身で統治しているのを私は目にしました。※注2
アラブ人やクルド人、女性や男性などは同等の立場にあります。
うまく機能しています。

アナキズムはカオス(混乱)ではありません。

ゲーム理論や社会科学によれば、人は競争よりも協力を選らぶことが示唆されています。

 

政府の権威が崩壊する時、お互いを助け合おうとする本能が表に現れてくるでしょう

グレンフェルタワー火災という悲劇が起きた後のことを考えてください。
もし住民がそのビルを運営していたと仮定して、その場合に火災は起きたでしょうか?

この「穏やかな革命」は直接民主制から始まるべきです。

職場で、学校で、病院で、あるいは町単位で気になる問題を共有し、取り組むのです。

影響を受ける人全員を巻き込んだ場合、そのフォーラムは他のいかなる政治家よりも、強い正当性、そして力をすでに持っていることになります。

そしてこういった局所的な集合体がお互いに連携しあうことで、より大きな地域を同盟として統治することができます。

しかし政治家がこのような動きを起こすことはありません。
七面鳥がクリスマスに票を投じることがないのと同じです。

私たちはそうする必要性があります。
そうしなければ、他人に私たちの未来を決めさせることになるからです。


(翻訳終了)

【訳注】
※1 「目出し帽」とは目の周辺以外を覆い隠すタイプの帽子で、火炎瓶と共に一般的な「アナキズム」の象徴のようになっている

 

※2 ロジャヴァ(Rojava: シリア国内にありつつ、実質上の自治区で直接民主制を原則とする。

以前に取り上げたコバーネもその一部。

 

「暴走族・アノニマスもISISとの戦いに参入 コバーネが最後の砦」

https://ameblo.jp/wake-up-japan/entry-11939601257.html

 

「トルコのアナーキストがISIS防衛前線に参加 シリアにて 」

https://ameblo.jp/wake-up-japan/entry-11938282197.html

 

 

 

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【コメント】

 

提示する情報の内容から、私のことを「陰謀論の人」と思われているのかなというようなコメントをよくいただきます。

 

しかし過去に取り上げている通り、私は陰謀論系の情報は参考に見ることはよくあっても、原則的にはむしろ、アナキズムやアノニマスのような考え方により強く賛同します。

 

陰謀論のように誰が一番の悪人かということは陰謀論の方にお任せするとして、私はそれよりもシステムの在り方が問題で、誰が中心や代表的存在かということよりは、そこから個人としてどう行動したらよいかと考えています。

 

しかしアナキストやアノニマス、革命などといった単語を使うと、それらの言葉にまとわる一連の一般的な概念を連想されて、アレルギー反応のように反応されることもしばしばあります。

 

一般的にアナキストと言えば、動画の元外交官の方のいうような「目出し帽で火炎瓶を持ち歩く」暴力的な人たちで、そんな人たちにやりたいようにやられたら破壊行為が連発し、社会が混乱してしまうと考えられるのでしょう。

 

たしかにそういったアナキズムの人もたくさんいますが、すべてのアナキストが暴力的な破壊行為を望んでいるわけではありません。詳しくはこちらの記事のテーマ、「アナーキー」の過去記事一覧の通りです。

 

またアナキズムが「極左」としてとらえられ、「極右」の反対のように考えられるケースも多くあります。ファシズム支援者に対する姿勢からはたしかに一部は正しいような感じもしますが、エッセンスとしては「各個人が自分自身のマスターとなるべきで、それゆえヒエラルキー制度に反対」し、権威を否定するもだというのが私の見解です。

 

ただ同時に他者も自分と同様にその人自身のマスターであると考えた場合、相手の考えを尊重し、自分の考えを押し付けるべきではないですし、もちろん物理的な暴力や破壊行為も避けることになるでしょう。

 

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そして動画で取り上げられている、民衆が直接的にミュニティなどの意志決定に参加することを「参加民主主義(Participatory Ddemocracy)」と言いますが、これはシリアのロジャヴァやブラジルのポルト・アレグレだけではなく、世界各地でひっそりと採用されているところが多数存在しています。

 

また動画のロス氏が提案している「穏やかな革命(Gentle Revolution)」のような動きも、各方面で静かに起きています。広義では、例えば「マスコミは信用できないから、自分たちで必要な情報を拡散しよう」、「医者は信用できないから、できる限り自分たちで健康管理をしよう」という動きも、その一部と言えるのではないでしょうか。最近のBitcoinなどの暗号通貨の人気も、ロスチャイルドが支配する世界中の国家銀行発行の通貨を否定する動きととらえている人もいます。