15年間お金を遣っていない69歳の幸福な老婦人の人生とは?
Happy 69 Year Old Lady Has Not Used Money For 15 Years

【wake up world】http://wakeup-world.com/2011/07/18/happy-69-year-old-lady-has-not-used-money-for-15-years/ より翻訳


ドイツの69歳の女性、ハイジマリー・シュワーマーさんは15年前にお金を遣うのを止めました。彼女はそれ以来、これまでになくずっと幸せだと話しています。




この信じられないような話は、22年前、中学校教員で中年のハイジマリーさんが問題の多かったから結婚生活を終わらせ、ドイツのルール地方にあるドルトムントの街に子供二人を連れて引っ越したところから始まります。

彼女がこの街で最初に気がついたのは、ホームレスの人の数の多さでした。あまりにもショックを受けたハイジマリーさんは、この問題について何かを実際にしてみることにしたのです。

ホームレスの人が社会に認められて戻るためには、実際のお金は必要なく、自分自身を何かに役に立つ人間にすることで、自分の自身を持つ機会さえあればよいと常に考えていたハイジマリーさんは、ドイツ語でギブアンドテイクという意味をもつ「Gib und Nimm」という名前の不用品の交換所(Tauschring)を開設しました。


この小さな冒険的事業である不用品交換所とは、自分のものやスキルと、自分が必要としているものやスキルと交換することが誰にでもできる場所で、コインも紙幣も一切取り交わされることはありませんでした。たとえば古い洋服を持っていって、代わりに台所用品を受け取り、あるいは自動車のメンテナンスを提供して見返りに配管工事をしてもらうなどです。

このアイディアは実際にはしかし、ドルトムントのホームレスの多くの人を惹きつけることにはなりませんでした。その理由は彼らが彼女に直面して話したとおり、高等教育を受けた中産階級の女性がホームレスの人間の状況を自分のように感じることはないだろうと感じたからです。


その代わりに、彼女の交換所は、同市の失業者や定年退職した人たちが、自分たちの持っている物品やスキルと、自分の必要なものを交換するやる気に溢れた人たちで溢れかえっていました。

ハイジマリーさんの交換所はドルトムント市でも大きな現象になり、そのクリエイターである彼女自身も自分の生活に対して疑問視をし始めることになります。

自分が本当に必要としていない多数のものと暮らしていることに気がつき始め、何かを買う時は、まず別の何かを誰かに手渡してからにすることに決めました。

その後、彼女は自分の仕事にどれだけ満足していないか、そしてこの感情と自分の感じている身体的症状(腰痛と絶え間のない病気)の関連性に気がつき、別の仕事を始めることにしました。

多くの人が彼女に、「大学に行ったのに、この仕事をするために勉強したの?」と尋ねる中、時給10ドイツマルクの皿洗いの仕事を始めましたが、自分自身に満足して、学歴のせいでキッチンで働いている人よりも自分がもっと価値があるとは感じませんでした。

交換所Tauschringが彼女の人生をあまりにも変えてしまったので、1995年には実質的にはほとんどお金を遣うことがなく、自分が必要としているものが彼女の人生に舞い込んでくるようになっていました。


そして1996年、ハイジマリーさんは人生で最大の決断を下します。つまり、お金を遣わないで生活することです。

彼女の子供たちは自立して家を出ていたので、ドルトムントのアパルトメントを売り払いノマドのように定住せず、物品やサービスを自分の必要なものと交換して生きようと決めたのです。

最初は12ヶ月の実験的な試みとなるはずでしたが、その生活があまりにも気に入ったハイジマリーさんは止めることができませんでした。

15年後、彼女は今でも交換所Gib und Nimmのモットーに従い、様々な交換所のメンバーの家でいろいろな家事をする代わりにそこに住ませてもらっており、人生のあらゆる瞬間を愛しているということです。


シュワーマーさんはお金を遣わない自分の経験について本を2冊出版し、出版社には彼女の収入分をチャリティー団体に寄付するように依頼しています。一人の人間を幸せにするかわりに多くの人間を幸せにするためにです。

彼女は健康的で暮らし向きがよく、これまでにない幸福感を感じています。

彼女の持ち物はスーツケースとリュックサック各一個に納まり、非常時用の貯金もわずかながらありますが、それ以外のお金をもらうことがあれば、誰かにあげています。

ハイジマリーさんは国から盗んでいると批判されたくないばかりに、健康保険にさえ加入しておらず、少し体調が悪くなると自己治癒力に頼っているということです。




Living Without Money - trailer  




(翻訳終了)




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【コメント】

2013年12月に翻訳したこの記事を思い出しました。


お金を一切使わずに生きる方法



こちらはアイルランド人のマーク・ボイル氏という男性ですが、経済学を専攻した後に、上記のハイジマリーさんと同じようなアイディア、つまり「お金を遣わないで生活できるか」と思いつき、実際にやってみた彼の体験談です。

この二人を比較すると、同じゴールを思いつつもその実現の仕方が対照的でおもしろいです。

一方は若い男性が、お金を遣わないようにかなりワイルドで原始的に近い生活を選択し、

もう一方は中年の女性が、一般社会の中で生活しながらもお金を遣わないで生活する方法を選択しています。

しかしもっとおもしろいのが、二人とも「人生の中で、お金を遣わないで生活している今が、最高に幸福だ」と話していることです。


我が家の旦那は、私と出合った若い頃、インドで所持金を全部使い果たしたもののあまりにも楽しんでいたためにイギリスに帰りたくなく、その後どうやってか数ヶ月間はお金を遣わないでインドで楽しく生活していたそうです。

旦那もその時は最高に楽しかったと話しています。


一方でお金はたくさん持っているけどもいろんなことに不平・不満のあったり、いつも次に何を買うか考えるのに忙しい人もいます。


現在の貨幣を中心にした社会では、もっと働いてお金を稼ぐほど税金を支払うことで政府へ力を渡すことになり、また大企業などで働くことで、自分よりも上位の人間や投資家の利益をもたらす一環を担っていることになります。マトリックスの動力になっているようなものです。

とはいえ毎日の生活の中や、特に自分のやりたいことがある時、ほとんどの場合にお金が必要というのが現実ですが、しかしそれでも、上の二人の例を見るだけでも、「所有欲を満たすこと=本当の幸福感」ではないことは明白のようです。

お金は遣っても、お金に遣われたりはしたくないですね (^_-)