イギリスもかなり暑い日々(といっても30度程度)になっています。日本ももうすぐ梅雨明けでしょうか。

こんな暑い時には、昔だったら背筋のゾッとするようなホラー映画を観たり、スプラッタ映画を観たものですが、子供を妊娠してからはそういった映画もなぜか観れなくなってしまいました。


そんな最近でも背筋のゾッとするような戦慄を覚えるものと言えば、もちろん普通のニュース番組もそうですが、良質なディストピア(ユートピアの反対語)映画なんかも「これ、現実にそうやんか!」と思え、ある意味でもっと恐ろしさを覚えて、暑さなんて忘れてしまいます。

本当に怖いのは、お化けなんかよりも生きてる人間ですね。


おもしろいディストピア映画をいくつかあげて観ました。有名な映画ばかりで、ご存知の方も多いとはおもいますが。

タイトルには、映画の日本語の解説リンク先を貼っておきます。詳しくはそちらでご確認ください。


【注】くれぐれも、この映画を全部続けて観たりなどはしないでください。立ち直れなくなるかもしれません。






V・フォー・ベンデッタ


例のアノニマスのマスクはこの映画が元になっています。さらにこの映画のマスクの構想の元になったモデルは、ガイ・フォークスというイギリスの革命家で、最期はロンドン・タワーで拷問の後、処刑されています。

映画の監督はマトリックスのジェームス・マクティーグ。主役もマトリックスでMr.スミスを演じたヒューゴ・ウィーヴィング。マスクを着けていながらも、すばらしい演技ができるって本物の俳優ですね。映画「プリシア」からエルフまで、役の幅が異常に広い俳優だと思います。


これも、いたるところに現在の社会が反映されていますね。




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未来世紀ブラジル


情報統制がなされた「20世紀のどこかの国」の暗黒社会を舞台としているそうです。

これも、リアルなディストピアな感じはすごいんですが、テリー・ギリアム監督なだけあって芸術性とおもしろさがあって、比較的さくっと楽しめる方ではないでしょうか。





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1984

ジョージ・オーウェルの小説「1984」を題材にした映画の、新しいバージョンのものです。

小説の方が、たしかにディテールや思想的な部分がしっかりと描写されていていいのですが、映画はさくっと観れるのでいいですね。「さくっと」と言いましたが、イギリスが舞台なだけあって、かなり暗くて重くて、しかもすっきりしない最後もイギリスらしいです。

この映画(小説)ほど、最近の情勢を明確に示しているものはなかなかないのではないでしょうか。もちろん、各個人が見る「現実」によっても社会観というものは異なりますが。









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ザ・トゥモロー・ワールド」 (原題:Children of Men)

「西暦2027年11月。人類は希望を失い、世界は恐慌状態におちいっていた。なぜか出産の能力が失われ、18年間にわたって全く子供が生まれないのだ。世界各国が内戦やテロによって壊滅する中、英国は軍事力で徹底的に抑圧することにより、秩序を維持していた。」


世界中で子供がまったく生まれない状態になった、まるで北斗の拳のような世界観の映画です。これも舞台がイギリスなだけあって、暗いんですが、その分リアルさはすごいです。典型的なハリウッド映画によくある嘘くささが少ないというか。

「こんな社会には絶対になって欲しくないから、がんばろう!」と逆に前向きに思える(?)映画です。





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ゼイリブ」(原題;They live)


スタイルが80年代で、本当ならあまり好きなタイプではないのですが・・・観てみると、そんな点も気にならないくらいおもしろい映画でした。映画に出てくるサングラスが絶対欲しくなる一品です!これかけて外を歩いたら・・・頭がおかしくなるかもしれませんが(爆)



テレビなどによる洗脳をこの時代に表現していたのってすごいですね。また、映画冒頭の宣教師の説教がすばらしいです。昔にこれを聞いたら、単に「頭のおかしい人」と思っただけだと思いますが、最近始めて聞いた時は、社会の本質をよく捉えているなと感動しました。




・・・本当にこんな人たちばっかりですね。






「仕事を見つけろ。仕事に行け。結婚しろ。

子供を産め。流行を追いかけろ。

普通に行動しろ。歩道を歩け。

テレビを見ろ。法律には従え。

老後に備えて貯金しろ。



では、私の後に繰り返してください。


『私は自由です』」








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ハンガーゲーム

「文明崩壊後の北アメリカに位置する国家パネムを舞台に、16歳の少女カットニス・エヴァディーンの一人称視点で書かれている。パネムはキャピトルと呼ばれる高度に発達した都市によって政治的に統制されている。

『ハンガー・ゲーム』とは、キャピトルを囲む12の地区から、各地区ごとに男女1人ずつくじ引きで選出された12歳から18歳までの24人が、テレビ中継される中で最後の1人が残るまで殺し合いを強制される、1年に一度のイベントを指す。」


この映画では、主人公らがテレビ撮影されて放映されている部分が多いのですが、一般人同士を闘い(競い)合わせて、視聴者の娯楽としている点、本当のテレビと同様に虚構な世界を築き上げている点などは、現代社会を皮肉に映し出しているように思われます。


メディアが人間の闘争本能を掻き立て、競争が当たり前と思い込ませようとしているところも浮き彫りにされていますね。




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ソイレント・グリーン


「2022年ニューヨーク。爆発的な人口の増加と環境汚染により、食料問題は深刻を極め­ていた。同年、ソイレント社は合成食品ソイレント・グリーンを発表。問題は解決に向か­うかと思われたとき、同社の社長が自宅で殺害されているのが発見される。殺人課のソー­ンが捜査に乗り出すが、その背後には食糧危機打開のための政府の陰謀が渦巻いていた.­..。(youtube解説より引用)


・・・これはまだ観ていないんですが、オチがすごいらしいです!
しかも実際に本当にありそうと思えてしまうのも、怖い話ですね・・・。







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アイランド

「リンカーン・6・エコーは毎晩のように悪夢にうなされていた。彼が生活しているのは、汚染された生存者を治療する医療施設。適切な治療を受け抽選に選ばれた者だけが、汚染のない最後の楽園『アイランド』に行く事を許された。彼は医療施設内での生活に退屈し、そして疑問を抱いていた」


どこか、小説「すばらしい新世界」を彷彿とさせる、表面上は理想的な社会でありつつ、実は・・・というディストピアな世界観です。





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ぱっと思いついたものを列挙しましたが、もっと「怖い」ディストピア映画をご存知の方はぜひ教えてください。