「さて、これだけははっきりさせておきましょう。
私たちは貧しい者が路上にいるのを見たくはないのです。・・・・・・

見苦しいものでしょう。

私たちは貧しい物をハナから見たくもないのです!」 

(【注】キャメロン首相が本当に言ったわけではありません)


  以下の本文は、最近イギリスでしばらく話題になっていた「現代の奴隷」事件問題です。
 要は、女王のダイヤモンド・ジュビリーの祝典の際、失業者がうまく無給~時給350円で、かつ最悪の労働環境で使われていたことが判明したということです。

 今月行われた華やかな女王即位60周年記念の裏側で、こんな思いをしていた人達がいるなんて驚きです。やっぱりイギリスは先進国の仮面をかぶった後進国だと思わされます。

 そして、現在、失業率・物価の上昇などで逼塞感の高まるイギリスの現状を鋭く批判しているのがこの人、Sonny Green。見た目はもろ「チャブ(日本でいうところのヤンキーみたいな若者)」なんですが、言っていることが60才のおじいちゃん並みによくわかっている感じで、ラップ調なんだけどすごく中身があって新鮮です。
 この動画は女王に向けたメッセージだそうです。



 そしてここからが本文。↓
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数台のバス分の失業者らが、ワーク・プログラム (新しい福祉改革法の一部) の一環として女王のダイヤモンド・ジュビリーの船上パレードに無給で駆り出される
6月5日 【the Guardian】
http://www.guardian.co.uk/uk/2012/jun/04/jubilee-pageant-unemployed?intcmp=239 (橋の下の写真付き)


(最新の関連ニュース;ジュビリー式典の観光客の警備担当に求職者を無給で使用した件に関し、調査を要請

女王即位60周年を祝うダイヤモンド・ジュビリー祝典の開催期間中、長期失業者の集団がバスでロンドンに送り込まれ、船上パレード開催のために勤務する前にロンドン・ブリッジの下で寝るように指示を受けていたことが判明した。

政府のワーク・プログラムの一部として、ブリストル、バース、プリマスから30名程度の失業者と見習い給料の雇用者50名が貸し切りバスでロンドンへ連れられてきた。

失業保険の受給に影響を受けることを恐れて名前を明らかにはしなかったが、失業者の2名がガーディアンのインタビューに答えた。彼らによれば、パレードの開催される前夜、勤務に先立ってロンドン・ブリッジの下にキャンプするよう指示されたという。また、公共の場で警備用制服に着替えなければならなかったり、24時間トイレに行けなかったりした上、日曜のテムズ川土手で降りしきる雨の中で14時間勤務した後に、ロンドン郊外の沼地のようなキャンプサイトに連れて行かれたという。

1200万ポンドがかけられた1000艙のボートの艦隊によるショーやロイヤル・ファミリーの航行が行われていた間、ロンドン・ブリッジとタワー・ブリッジの間で勤務していた若い女性にも話を聞いた。彼女によれば、ジュブリーの祝典の警備契約を受注した警備会社Close Protection UKは雨対策として、彼女に透明な雨ガッパと蛍光色で車のライトに反射するラインの入った上着を支給したとのことだ。

Close Protection UK社は、ロンドンで行われた当イベント期間中に30名の無給スタッフ時給2.8ポンド(350円)の給与が支払われた50名の見習い生を使ったという。同社の広報によれば、無給による勤務は、同社が同じく契約を受注したオリンピック開催時の給与付きポジションのための試用であったということだ。無給スタッフは3日間の祝日中、2日間勤務する予定とされていた。

この警備会社の発表によると、警備担当者に従事した者に対し、トレーニングや勤務後担当者に配給される装備などにそれなりの資金を遣っているということで、また、勤務経験は志願制によるもので、失業保険に影響を与えることはなかったという。

先ほどの女性の話では、土曜の午後11時にブリストルを出発し、日曜午前3時にロンドンに着いたという。「みんながバスから降りて、道路の脇で20分ほど取り残されていました。そのあと社員が戻ってきて、みんなについてくるよう指示を出しました」彼女は言う。「社員の後についてロンドンブリッジの下に着いた時、今晩はここでキャンプをするように言われました。・・・雨が降っていて、寒かったです」

30歳の男性警備担当者はガーディアンに対し、「寒くて濡れていました。社員からは頭を下げて寝るように指示を受けました」橋の下の状況を語ってくれた。「地面がコンクリートなので、テントを張ることは不可能でした」

前述の女性によれば、その日参加した者は朝5:30に起こされ、ブーツとコンバット・パンツ、ポロシャツが支給されたという。そして、「女性参加者は角のところにあるミニバスで着替えをするよう、社員が支持を出したので、私はミニバスのところに行き、そこで社員がバスの鍵を開け忘れていて中に入れないことに気が付きました。誰か開けてくれる社員がいないか探して少し待っていると、他の女性参加者らも着替えようとこちらの方に向かってきました。でも社員はバスを開けるなんてめんどうくさかったようなので、私をいれて他の何人かが外で着替え始めました。着替えている時は、凍えそうに寒くて、雨が降っていました」男性参加者は橋の下で着替えるのが当然と思われていたようだ。

その女性参加者は、ロイヤル・パレードが終わった後、参加者らはエセックス州のTheydon Boisにあるキャンプサイトまで地下鉄で移動し、暗闇の中テントを張ることになった者も中にはいたという。

女性参加者「ロンドンでの経験はいい経験になるはずでしたが、あの会社は私たちを雨の中、置き去りにしていきました。私たちのことなんか、どうでもよかったのでしょう。・・・誰に対しても、無給で(働く)なんて、あんな仕打ちをするべきじゃないと思います。橋の下で寝て、食べ物は支給を待つような扱いは嫌です」

男性参加者「今までで最悪の経験でした。これまでいろんな仕事をして、大変な仕事もたくさんありましたが、これは最悪でした」

両参加者によれば、最初は給料を受けるはずであったという。しかし、土曜の夜にバスに乗った時に今回の仕事は無給になること、そしてもしこの仕事を行わない場合は、給与のいいオリンピックでの仕事に従事できなくなるかもしれない、と言われたということだ。

Close Protection UK社の最高経営責任者であるモリー・プリンス (Molly Prince) は、こう発表している。「当社は自社スタッフや見習い生の福利厚生を真剣に考慮しています」

「ジュビリーのイベントに出張したスタッフは、研修や前職での経験からの知識のすべての必要条件を満たした後、「見物客の安全」に関するNVQ資格 (イギリスの職業に関する国家試験) レベル2の取得のために、研修を完了させ、評価されることになっています。参加者が選択した資格を完了するためには、現実の勤務環境の中で評価されることは非常に重要なことです」

「フェスティバルやイベント関連の仕事の性質上、一晩中バスの中で仮眠をとった後、イベント開催前に早朝に始まることはよくあることです。この業界の性質上ですね・・・。この仕事はきつい仕事で、意気地のない人間にできるものではありません」

「複数のエリアから出張してきたスタッフがいて、ロンドン・ブリッジだったと思いますが、集合場所には早く着いた者もいれば、遅く着いた者もいます。しばらく待っていなければならなかったスタッフがいるのはそのためです。状況的にはついていなかったようですが、当社CPUKに手落ちがあったわけではありません」

同社はまた、警備に関する研修のライセンスに対し、参加者一人当たり最大220ポンドが使われていて、またブーツとコンバット・パンツには100ポンド以上かかっていたという。

ワーク・プログラムの下でClose Protection社への就職あっせんを手配しているチャリティ団体のTomorrow's Peopleは、今回のケースについて再検討し直すとは言っているものの、無給勤務は価値があり、かつ参加者が就職できる可能性を高めるといったそれなりの価値があることを強調している。また、当ガーディアン紙とオブザーバー紙は昨年のクリスマスの募金要請に応え支援を行っている。