遅くなりましたが、ロシアのメディアRTが伝える日本の震災から1年の復興のまとめを翻訳しました。現状が端的にまとめられています。

 記事の一番下の方には、一般の読者からのメッセージが掲載されています。日本の復興の迅速さを絶賛するメッセージがほとんどです。(震災自体がユダヤ人の仕業であったと訴えるメッセージも一部ありますが。)

 その中のメッセージの一つです。

「確かに、日本人は並外れた人達です。計り知れない苦難に耐えながらも、なお頭を高く上げて、謙虚さを保ち続けました。日本のように、このようなマグニチュードの災害を生き抜き、社会機構も国も、依然として完全なままでいることのできる国は、この地球上にはほとんどないでしょう。日本の人たちに対して、心から幸運をお祈りします。彼らが回復し、国を再建させる時、日本人の意志と精神は、私たちすべてにとっての啓示となることでしょう」


 個人的には、最近、通りすがりの方(たぶんヨーロッパ大陸の方)とお話ししたことがありますが、私が日本人だというと彼は、「日本人!!! 日本人って、honorable (高潔な)で、・・・・で、なんせ素晴らしいですね!」などと、他にも色々絶賛されてしまいました。

 私自身は、震災にもあっていない、ごく普通の弱いところも満載の日本人なのですが、そこまで褒められてしまって照れる一方で、とても誇らしく、嬉しかったです。それと同時に、その期待を裏切らないようにしたいとも思いました。といって具体的に何をしたらよいのかもわかりませんが、とりあえず気持ちだけでも。

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 またこちらのリンクは、「写真で見る 震災直後と現在の復興状態」として、震災直後の写真の撮影現場で、今年の一月中旬に再び撮影された写真を比較しています。
http://rt.com/news/japan-tsunami-reconstruction-photos-111/

 本文には直接関係ない話ですが、本文中の日本赤十字社社長の近衛忠てる氏のお兄さんは、細川前総理だそうです。

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3月11日 【RT・写真付き】 http://rt.com/news/japan-reconstruction-earthquake-tsunami-281/

日本の復興 震災から一年


 3月11日の壊滅的な被害を与えた地震・津波から一年が経った。日本は再建の努力を推し進めてはいるものの、世界第二次大戦以来の最大の大惨事を克服するにあたり、日本はいまだに途方もない苦難に直面している。

 一年前にマグニチュード9.0の巨大な地震が本州沿岸を襲った。その後、約1万6千人の命を奪い、未だに3,000人以上の行方不明者を出した破壊的な津波が押し寄せてきた。その地震からちょうど一年後にあたる日曜の午後2:46、日本は一分の黙とうを捧げた。

 震災の影響に対処していた際に日本人が見せた自制心と、日本の回復力には世界中から賞賛の目が寄せられた。

 12mの高さを誇る津波を防ぐための護岸もこの巨大な波を押しとめる効果はなく、震災のほとんどの被害や犠牲者はこの津波によって生じたものである。震災の被害合計総額は数十億ドルにも上っている。

 被害を受けた建物は190,000軒で、がれきは2,400万~2,500万トンに上る。

 日本の経済状況は、来月には震災前の水準まで戻る方向に向かっているように見えるが、これには与党と野党という珍しい組み合わせの連携の下に合意された2,300億ドルの復興基金が影響を与えているものだろう、とロイターは伝えている。

「最近の歴史では、日本は第二次大戦後の灰と廃墟から急速な経済発展を遂げ、オイルショックの直後には、世界でも最もエネルギー効率の良い経済活動を築き上げました」ワシントンポスト (Washington Post) に掲載された記事の中で、野田佳彦首相はこう語っている。

「我々の目標は、2011年3月11日以前に存在していた日本を再建するという単純なものではなく、代わりに新しい日本を築き上げるところ」であると強調している。野田首相は、過去12か月間に渡って達成された「並外れた」前進を賞賛し、困難な時期こそが日本の「完全で本格的な回復」の始まりを示すものであることを期待すると表明している。

 その記事の中で首相は、「開かれた復興」という構想の下で、最も大きな被害を受けた地域が新規の国内・海外からの投資を刺激し、雇用が創出され、既存産業の再建の機動力となり、また革新を増進すると約束している。彼の言うような計画は、つまり巨大な額の資金を支出するという意味を含んでいる。

 フェアウィンズ・アソシエイツ社 (Fairwinds Associates) のエネルギー担当顧問であるアーノルド・ガンダーソン (Arnold Gundersen) 氏はRTに対し、地震と津波による影響を受けた福島原発周辺の放射能帯の汚染除去には、5,000億ドルと長年に渡る重労働を必要とするだろうと語る。

「北日本全域の国民が、健康被害を受けている」と、福島から250km前後離れている東京でも放射性廃棄物の痕跡を発見しているガンダーソン氏は言う。

 さらに言えば、未だに32万5千人の人が家を失ったままであり、日本の指導者が全面的な復興をもたらすことができるのか疑問を投げかけている者も多い。

 現在の首相は、過去5年の間だけでも6人目となる。管直人前首相は、この震災への対応を原因として非常に低い支持率を受け、8月に辞任している。

 大量のがれきが積み上げられている一方で、これまでで建築が始まっている建物は極端に少ない。

 中央政府と県、そして市町村の間の調整という官僚制度を原因とする遅れが建設の取り組みを遅らせている要因の一つであると考えられている。

 今週前半、「中央政権と地方政権、また影響を受けている住民の間でさえも意見がわかれている」ことが遅れの原因であると、日本赤十字社社長の近衛忠てる氏が話したとAP通信が伝えている。

「両者は合意に到達することができませんでした。最善の解決策を求めて依然としてお互いに争いあっています」

失敗した原子力政策

 3月11日の地震と津波によって引き起こされた福島第一原発の第事故を受け、日本国内での反原発の動きは徐々に大きくなっており、日曜には東京で反原発デモが開催されている。

 チェルノブイリ以降では最悪となる福島の核災害の後は、稼働が停止された原子炉を再稼働させることに同意している地方公共団体は一つとしてない。国内にある54基の原子力の内、2基のみが現在稼働中であるが、4月末には閉鎖する可能性もある。

 日本政府によれば、福島の原子炉は現在、安定しているとのこと。津波によって原子炉の冷却施設がダメージを受け、これにより3基の原子炉の炉心のメルトダウンが発生している。

 福島原発周辺地域に住んでいた被災者の内、約10万人はいまだに仮設住宅や親類の家に住んでいる。さらに、損傷を受けた原発の運営会社である東京電力は、原子力災害によって影響を受けた住民への賠償金の支払いの進捗が遅れている。同社はこれまでのところ、日本政府が同社に対して提供した約1.7兆円の内、既に支払を行ったのは4分の1に過ぎないと共同通信が伝えている。

 東電が定めている賠償金申込み手続きの煩雑さと、支払いを認可する際に柔軟性に欠けていることが、賠償金の支払いの妨げとなっている。

 原発周辺の20kmの立入禁止区域内の被害を推定することが不可能であるため、その区域内の不動産の所有者は、最も困難な状況に直面している。

 野田首相は、震災の際の政府の対応の失策を認めている。

「これ以上、想定外の事態が発生したことを言い訳にすることはできません」先週、記者に向かって首相はこう話している。「危機管理を考える際には、私たちの想像できないようなことも考える必要があります」