「それぞれの黒点はアメリカの軍事拠点を示しています。・・・でもイランがアメリカを脅威にさらしている、ということでしたよね?」



「テロリスト ・・・は小さいボートの方」


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2月24日【RT】http://rt.com/news/us-mass-media-iran-095/

最新のギャラップ世論調査によると、アメリカ人はが考える「邪悪な」国の1位はイランであるという。米政府の軍隊も諜報機関のどちらも、イランがアメリカへの攻撃を開始ことはできないと考えているが、アメリカのメディアが1万マイルも離れているイランに対してヒステリー状態に駆り立てようとしている理由は一体何であろうか。

月曜に発表されたギャラップの最新の国際情勢に関する調査によると、アンケートに答えた人の32%が、アメリカの最大の敵はイランであると答えている。一年前には25%に過ぎなかった。
さらにいうと、87%の人はイランに対してなんらかのネガティブな回答をしており、本調査の中でイランが最低のランクになっている。

反イラン的な弁論が激しくなされており、その影響が甚大であることにはうなずける。毎日のようにイラン人がアメリカに攻撃を開始したがっていると毎日のように言い聞かされているが、一般的なアメリカ人は、この別の大陸にある異質なイスラム教の国に対して、どのような印象を持っているのだろうか。

CNNは、「イランはずっと恐ろしい方法でアメリカを攻撃することができた」という。つまり、「ヒズボラはイランの代理人であり、攻撃を実行することができたであろう」ということだ。

仮説に基づいた国家安全に対する脅威は日々危険性を増し続け、アメリカの国民はイランの次の標的はアメリカの本土である可能性が高いと信じている。

マサチューセッツ州ハンプシャー大学で平和と世界の安全保障研究を行っているマイケル・クレアー教授は、イランの核開発プログラムが平和的な性質のものであるとイランが断言しているが、それにもかかわらずなぜそのようなイラン側の発言が懐疑的な態度で迎えられているかを説明してくれた。

「アメリカ人が心配しているのは、イランが現在、濃縮ウランを製造しているからではなく、イランが地下深くに施設を建設し、その施設が長い期間に渡り調査員の目から隠されているからです」

「そのため、イランが何か秘密の場所で隠れて、軍事的目的の何かをしているのではないか、という印象を持っているのです」

米メディア・メッセージの中心地NYでは、イランの脅威に関するうわさが流布し続けている。
「最終的にはイランの攻撃対象がニュー・ヨークになるかもしれない、と信じている人もいます」とFoxニュースが恐怖感を煽る。

NY州選出のチャック・シューマー(Chuck Schumer)は二月中旬に、米国務長官ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)に対して手紙を出しており、その中で彼は、ビッグ・アップル(NY)にはイランのスパイが多数存在している(RTニュース)と述べている。

また今月、NY警察の情報分析長官マイケル・シルバー(Michael Silber)は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の見出しとなった記事、「NY市へのイランの脅威(The Iranian Threat to New York City)」を執筆している。

先週、イランが関与を否定しているのにもかかわらず、イスラエル政府は、バンコク(タイ)、ニュー・デリー(インド)、トリビシ(グルジア)で大使館の乗用車が攻撃された事件でイラン政府を非難。

そして、NY市警はイスラエル政府関係者からの助言に従い、イスラエル政府の施設やシナゴク(ユダヤ教の礼拝場)周辺の警備を強化し、NY市民の間の緊張感や不安感をさらにかき立てている。

US軍当局者が反対のことを言っているのにもかかわらず、アメリカのメディアはイランの脅威を誇張しているようだ。米国防情報局の中将Ronald Burgess長官は、公の場で、「イランがアメリカを攻撃することはおそらくないだろう」、と話した。アメリカ政府が最初に攻撃を開始しない限りは、「政府機関としては、イランが戦闘を開始させる可能性はないものと考えられています」ということだ。

さらに言えば、アメリカの諜報機関のグループは、
ずいぶん前に、イランが学兵器を製造しているという主張を退けている、といわれている。ロサンジェルス・タイムズは、16の特務機関はすべて、同じ結論に到達しているという。

カリフォルニア州立大学のSasan Fayazmaneshは、1,2年ほど前にも同様の報告がなされたが、アメリカ政府は自らの最終的な対イラン政策にそぐわないためその報告を無視したということだ。

「要は政権変更の問題なのです。アメリカの国家情報評価は何年も前のもので、最初のものは2007年に作成されました。(略)それによると、2003年の秋にはイランは核兵器プログラムを中断しているとされており、その情報の信用性は高いと判断されています」

「とはいえ、ブッシュ政権の当時にこの問題が浮かびあがった際には却下されています。オバマ政権もこの報告書を判断基準に用いていないことはあきらかです」

実際のところ、対イラン政策をめぐってアメリカとイスラエルの両政府は政治的にもめている

イスラエル政府は、アメリカ政府に対しイランの核関連施設を攻撃するための支援と参加を公に要求しているが、オバマ政権は、経済制裁や強固な態度によって同様の効果を得ることができることを期待し、イランに対する軍事的行動には気乗りでない

米国統合参謀本部議長、マーティン・デンプシー(Martin Dempsey)大将は、イランに対する空爆は「ばかげて」いて、「波乱を招き」、「良識的はない」という

自らの意見に固執したデンプシー大将は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相によって、「デンプシーはイラン人を優遇している」と非難され、追放された。

奇妙な印象を与えるかもしれないが、
ジョン・マケイン(John McCain)とリンジー・グラハム(Lindsey Graham)の両アメリカ上院議員はネタニヤフ首相の側に立ち、自国の軍隊の高官に反対している。

このような構造は非常に興味深いものだ。現時点ではアメリカ政府はイランに対する軍事的活動を支援していない。アメリカの軍諜報機関はイランに対する手厳しい行動に対して忠告し、制止しようとしている。

しかし、アメリカのマス・メディアや一部のアジェンダに突き動かされた国会議員はどうやらアメリカにとっての最善策を知っているらしく、イラン現政権を敵としてのイメージにはめ込めようと積極的に動いている。

米政府や米軍はアメリカ国民のために仕えている一方で、アメリカを新しい戦争に持ち込もうとしているマス・メディアや傾倒した政治家が一体誰に仕えているのかが問題だ。

過去をふり返れば、アフガニスタン、イラク、リビアに対する軍事的キャンペーンの様相や、それらの国での紛争に対してマス・メディアが務めた役割などを考えると、新しい視点で全体像が見えてくる。

イランのケースについて、「やられるまえに攻撃」というヒステリーな喧噪が、米政府がイラン政府に対する姿勢を左右するかどうか、という疑問が湧いてくる。

「共存(Coexist) アブラハムの子供たち」