ロシア・トウデイ(RT)で昨日取り上げられていたインタビュー記事を一部翻訳しました。

 最近、「右翼」とか「左翼」という言葉を聞いたり目にするたびに、説明しきれない何かモヤモヤとした気持ち悪さ、嫌悪感があったのですが、このインタビューを見てそのモヤモヤ感がなくなりました。

21世紀においては右翼と左翼の対立なんて単なる見せかけの幻想に過ぎない」、という彼の意見に強く同感しました。「左が右に移行」してしまっているため、政治的な右翼と左翼はそれほど重要ではなくなっているそうです。それとも気づかず、意見が対立する人に対しては伝家の宝刀のように「この右翼が!」とか「だから左翼は・・・」などと簡単にレッテルを貼りつけ、対立する意見に全く耳を傾けようともしない人達を多く見かけます。そういった人たちのほとんどは、この新しい対立構造で考えると
実は相手も自分と同じ立場である、とは思わないのでしょうか。
 
 今日現在、各国国内でも国際的にも、政治的対立は激化し、政治的意見はどんどん多極化しているように思われます。そしてそのような国際的や国内の対立はアラン氏の言うとおりNWOに原因を発しているものが多い、と言っても過言ではないでしょう。

 日本国内でも、TPP問題があちこちで取り上げられており、様々な立場の反対派の方がそれぞれの論点でTPPを批判されていらっしゃいますが、「利益を得るのはごく一部の資本家、そしておそらく一部の政治家のみ」という点では意見は一致するかと思います。
 アメリカの国内のデモ(OWS)、国際世界を巻き込んだアメリカのイラン侵攻、ユーロの崩壊
福島の原発事故(津波の原因はともかく、原発の事故そのもの、あるいは原発の存在そのもの)などを考えてみると、これらの現在進行中の大問題となっている世界中の対立の構造は、もはやこれまでのような


・「右翼と左翼」といった政治的イデオロギーの対立、
・「キリスト教対イスラム教」のような宗教間の対立、
・ましてや「アメリカ対ロシア」といった冷戦時のような古臭い対立などではなく

「一部の大資本家・政治家が、銀行・一部の政府を巻き込んだシステム」と、それに気が付いて反対している人達の対立
が中心的であるように見受けられます。

 少なくとも、日本・イギリス・アメリカではこの新しい対立構造が激化しているように思われます。また、フランスはアメリカ・イギリスが大嫌いなことで有名ですし、NWOに対する反発も激しいのかもしれません(文中に「アメリカ・ドイツさえ含むアングロサクソン国家」というのは、イギリスを意識してのことだと思います)。


 「政治の中に選択肢がない」というのは、現在の日本・イギリスとあまり状況と変わりないようです。もうすぐ日本で総選挙が行われますが、私の視点では、どの政党も政策に大差なく、もうどの政党の言い分も信用できません。

 アメリカも大統領選挙の党代表を決定する選挙が始まっていますが、もし私がアメリカ人だったら間違いなくロン・ポールに投票するでしょう。外交・軍事面・経済面においては彼の政策は目新しい枠組みをもっていて、唯一のオルタナティブな選択肢であり、今の独裁的・覇権主義・軍事主義なアメリカ政治に歯止めをかけることのできそうなのは彼だけだと思います。日本にとっても、世界にとっても大きな変化をもたらすことができる可能性があるのは彼ではないでしょうか。


 以下、インタビューの一部を掲載します。翻訳が変なところがあったらすいません。また、一番下のリンクでは動画も見れます。
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RTはフランス人作家・活動家のAlain Soral(以下、「アラン」)にインタビューを行った。彼の視点のほとんどは現体制に挑戦するものであり、またタブーとされている議題も取り上げているため、フランス国内で話題の人となっている。 

 RT:反対するほど、フランスの現体制が嫌いな理由はなぜですか。

アラン:まず現在、私たちは政治的な「右翼」と「左翼」という偽りの仮装が信じられなくなってきています。ドイツやアメリカさえ含めたアングロ・サクソンの国とは異なり、フランスの政治には長い年月に渡り、本当の意味での選択肢がありました。つまり、フランスには共産党があり、また経済的自由主義への全体的な運動があったのです。フランスには本物の政治的多様性というものがあったのです。しかしながら、最終的にはいわゆる「左翼」は徐々に経済的自由主義、つまり右翼に近づいていきます。左と右の間に唯一残った相違点と言えば、それぞれの倫理的・社会的な立場が多少異なっているだけに過ぎません。一番わかりやすい例を挙げると、現在、フランスにはフランソワ・オランド(社会党)ニコラ・サルコジ (現大統領)がいます。左と右の間で、対立関係はありません。どの政治家もほとんど全員が経済自由主義者、自由主義者なのです。


フランスについて申しますと、目に見える形で自由主義への最初の一歩となったのは欧州連合(EU)への参加です。

EUに参加しているということは、国境がなくなり、商品や資本、右や左といったイデオロギーや、国際結婚というイデオロギーが自由に移動できるようになったことを意味します。

フランス国内では左翼・右翼のどちら側に立つ人でも、このようなイデオロギーが支配的です。

相違点があったとしても、それは単なる美学的思想に過ぎません。

そしてまた、このような主流のイデオロギーに反対する人たちもいます。

彼らは国境、国家の回復を目指し奮戦しており、国際結婚というイデオロギーに対して批判し、文化的アイデンティティなどを保護しようとしています。


現代の闘争とは、経済や文化などの分野においてグローバリズム(世界支配主義者)に抵抗しようというもの
です。私たちは、左翼と右翼の間の闘争というものはもはや存在しない、ということを見せつけなければなりません。今日の闘争の両極は、世界支配主義者とそれに抵抗する人たちなのです。  


RT:あなたの目的は、単に反対派の意見を述べることだけなのでしょうか?  


アラン:そうです。この新しい反対派を一つにまとめることが私の活動の動機です。また、この新しい反対派には一つの重要な特徴があります。

つまり、この反対派は今日の制度化されたシステムの中に居場所を持っていない、ということです。

その一方、以前は、歴史的な理由のために政治組織内に反対派がいました。ところが現在は、テレビの中でさえ、自由主義者、世界支配主義者、人権原理主義者、アメリカ支持者、ザイオニスト支持者以外の人たちは、遠心分離器にかけられて取り除かれ、あるいは過小評価されていますその様子ははっきりと目で見ることができます。

最近では政治組織内には反対派が存在していません。フランスのテレビ局のゴールデン・タイムの番組で話すように招待されたのは、ひょっとしたら私が最後になるかもしれません。撮影中に変な方向に行ってしまいましたので、私を招待した人たちは問題を抱えることになってしまいました。


 RT:多極的な世界を支援していらっしゃるのですね。それは単にさらなる均衡を求めているためなのでしょうか?
あるいは大国に対して根本的に反対しており、また政策や個人的な人格に賛同しているため、そのような大国に反対しようとする政府組織に対しても賛同しているのでしょうか?


 アラン:私は昔と変わらず、自分はフランスの主権やフランスのアイデンティティの擁護を目的に戦おうとしているフランス愛国者である、と自認しています。ですので、私の立場は常に、どんな時でもどんな立場にあったとしても、フランス人的視点に立ったものです。

90年代に私が共産党員の共産主義者であった時と全く同じです。いろいろなものがフランスの国益となるためには、強力な勢力は二つなければいけないことに気が付いたためです。例えば、ドゴール大佐が理解したようなフランスが存在しえたのは、アメリカ・ソビエト間のバランスが原因でした。そのため私はソビエト支持者であった、といえるでしょう。その理由はソビエトが非常に優れた国であったためではなく、ソビエトはフランスやフランスの国益にとって有益であったと考えていたためです。  


 私が新世界秩序(ニュー・ワールド・オーダー、NWO)に抵抗しているとすれば、その理由はフランスがこの新世界秩序のために失われるものを全て持っていると信じているためです。


フランスが関心を寄せているのは、多極的な世界です。私見になりますが、現在のフランスは、強力で成長しているロシアに関心を寄せていると思われます。しかしその一方で、私はセルビアも支援しています。セルビアはバルカン半島に住む優れた人々だと思われることが一つ、そしてフランスとセルビアに伝統的な関連性があることがもう一つの理由です。今日、支配的なイデオロギーは妄想的といってもいいようなもので、「私はフランスの国益を最初に最優先するフランス人です」と言うと変なことを言っているように思われます。フランス国内では、このような発言をすると、「ある国を優先すること」が禁止されているという明確な規定はないのですが、ほぼファシストとしてみなされてしまうでしょう。

RT:もうすぐフランスで総選挙が行われようとしていますが、特に最終決戦がどのような結果になることを予想されていますか?最終的に立候補する二人の候補者は誰になるでしょうか?   (後略) -->

http://rt.com/news/france-robbed-choice-sovereignty-947/