清原和博元野球選手の覚せい剤事件に触れて思うことがあります。
それは、覚せい剤事件なるものが、私を国会議員にならせたという側面があるからです。
7年前、東京地検公安部長を最後に検事を辞めて4か月経ったとき、
ある有名人の覚せい剤事件が発生しました。
その事件の解説をするため、テレビ出演が激増しました。
東京地検公安部は、日本で一番数多く、覚せい剤等の薬物犯罪を処理する部署であり、
私も薬物犯罪の捜査・処理に精通していたことから、連日のように各テレビ局に時間差で
出演することになりました。それが、私のテレビ出演の主な切っ掛けです。
以後、覚せい剤事件に限らず、テレビに出演するようになり、
そのうち、テレビ数局のレギュラーコメンテーターもさせていただき、
多い時には、週に15時間程度、生出演をすることもありました。
そうこうしているうち、その状況をご覧いただいていた方から、
国政選挙のお誘いをいただき、私も、60歳になる前のこの時に、
国のため、社会のために、公のど真ん中で、私の法律家としての力を尽くしたい、
との思いを抱き、政治家への道を歩むことになりました。
まさしく、ある覚せい剤事件でのテレビ出演が、その先、
政治家へのお誘いの切っ掛けになり、政治家となったわけです。
もともと、薬物犯罪に対する思い入れには、強いものがあります。
現在も、薬物犯罪者の立ち直りを支援する更生保護施設の役員もさせていただいてます。
その立場で言えることは、再犯率が高い薬物事犯というものは、
単に処罰だけで解決できるものでは到底ないということです。
かつて、昭和58年ころ、
「覚せい剤やめますか?それとも人間やめますか?」
というフレーズがテレビCMで流れていました。
印象的なフレーズでしたが、覚せい剤事件を起こした人に、
「人間をやめろ」と言っているようなイメージを与えることからか、
現在は、使われなくなったフレーズです。
薬物中毒は、密かに蔓延し、気が付いた時には、
「この人も、あの人も、薬物中毒!」という事態を招き、
ひいては、社会ないし国の秩序が崩壊する危険があります。
子供らに覚せい剤の害悪を伝えるには、上記フレーズは優れていると思っています。
子供の時から、このようなアピールをして、覚せい剤の害悪を周知することで、
人々を薬物中毒から遠のかせ、本人のためにも、社会にとっても効果的です。
最後に、清原和博元野球選手の覚せい剤事件は本当に残念ですが、
どうか更生してもらいたいと切望しております。