夢が叶わなかった場所

東海大学 湘南キャンパス。

ちょうど40年前、私は東海大学の入学式に参列していました。

入学式で柔道の山下泰裕さんが新入生にメッセージを話されました。「夢を持とう」と言われていましたが！

しかし、私の学生生活は「入学式」の１日だけで終わりました。

この頃、脳の大手術を受けるため神戸大学付属病院で入院していた私は、医師の計らいで、この日だけ外出許可をもらい入学式に参加したのです。

当時、新聞奨学生(新聞配達をして育英会から奨学金を貸していただき学校に通い、卒業後に働いて返金する制度)だったので、お世話になった神奈川県小田原市の毎日新聞配達所を探したのですが見つかりませんでした。

40年も前のことなので、40年ぶりの小田原市内の何処を探せばいいのか分からず残念でした。

入学式の後、脳の手術を受けた私は目が半分見えなくなり、手足の後遺症などもあり、新聞配達ができなくなり、東海大学を中退せざるを得ないこととなりました。しかも入学金や授業料で育英会に大きな借金が残り、絶望を感じた私は生きる気力が無くなり２度も自殺しようとしてしまいました。

18歳の私には夢など持てませんでした。

あの日から40年経った今日、たった１日だけ通った東海大学の正門の前に行ってみました。

18歳だった私は、58歳のオッさんです。

何の取り柄もない、ただのオッさんです。

たった１日だけだった東海大学が大好きですし、誇りにしています。

今は夢がありますし、40年歩んだ人生に悔いはありません。