手術支援ロボットの「da Vinci」を使った手術が、4月から保険適応になりましたね。
一応ですが、下記の12の手術で適応となりました。
正確には、「ロボット支援下内視鏡手術」といいます。
- 胸腔鏡下縦隔悪性腫瘍手術
- 胸腔鏡下良性縦隔腫瘍手術
- 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの)
- 胸腔鏡下食道悪性腫瘍手術
- 胸腔鏡下弁形成術
- 腹腔鏡下胃切除術
- 腹腔鏡下噴門側胃切除術
- 腹腔鏡下胃全摘術
- 腹腔鏡下直腸切除・切断術
- 腹腔鏡下膀胱悪性腫瘍手術
- 腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮体がんに限る)
これ以前に、すでに保険適応となっているのは「前立腺全摘除術」と、「腹腔鏡下腎部分切除術」の二つ。
すごいですよね。14もの術式でダヴィンチを使える。
ところでこのダヴィンチ、日本にはけっこうたくさんあるんです。
全世界のda Vinci導入台数は、2018年3月時点で4528台。
地域別ではアメリカ2862台(まぁ、ダヴィンチ作ってるのはアメリカですからね)、ヨーロッパ742台、アジア579台などとなっています。日本には約300台が導入されており、アジア全体の50%以上を占めています。
ところが…台数はあるのに、使いこなせていないのが現状でした。
なぜ分かるのかというと、稼働率が低いんです。
要するに、使ってないってことですね。
1台当たりの年間症例数は平均100例くらい。
多い国では1台当たり、年間900例くらいに使っています。
でも、今回の保険適応により、使える術式も増えました。
問題は…使いこなせるのか?
ということで、ダヴィンチを作って売っている「インテュイティブサージカル社」は、すでにある東京のトレーニングセンターを、今秋にむけて増強するということです。
そして、もうひとつの問題はこのロボット、1台が(da VinciⅣ)2億7千万円!
でも、ちょっとお安めのda Vinci、「da VinciⅤ」も発売予定だそうです。
1億7千万円だけどね。
まぁ、東芝の320列CTが一式で4億とかだから…
さらには、保険適応となった手術の中には、診療報酬が従来の腹腔鏡下手術と同じになってしまったものもあるとのこと。
当然ですが、ダヴィンチは機械ですから、維持管理にお金がかかります。
保守点検費とか、維持管理費ってやつですね。
これが年間数千万とか。
ということは、一生懸命ダヴィンチを使わないと、病院サイドは大変なのです。
試算によると(多分、ザックリ)ダヴィンチでの手術が今までの1.5~2倍になると元を取れるんじゃない?とのことです。
どうしてかというと、手術1件に対する、減価償却費と保守点検費が減るから。
他にもDPC(診療群分類包括評価)が増えるということもあります。
なので、今後は普通に腹腔鏡下手術をするか、ダヴィンチを使うか、ということになりそうです。
あとは、技術者の問題ですね。(これが一番ですが)
ちなみに、日本製の手術支援ロボットのメーカーもあります。
他にもあるにはあります。
さて、できることにはなったけれど、大丈夫?
という感じですかね。