※当初、シリーズ3作目と書いていましたが、4作目の間違いでしたので、訂正しました。

 

高田崇史さんの「神の時空(とき)」シリーズ4作目『三輪の山祇(みわのやまつみ)』を読みました。

 

大胆な古代史考察が魅力の高田崇史さん。

「神の時空」のシリーズは、実際にある神社や祀られている神に恣意的な異変が起こり、混乱を阻止しようとする兄弟たちの物語。同時に十種神宝を探しています。

 

シリーズもので、お話は繋がっていますが、ちゃんと解説がされているので単体で読んでも楽しめます

わたしも実は順を追って読んでいないのですが、キャラクターも個性的だし、アニメシリーズを楽しんでいるような気分で毎回読んでいます。

 

今回は奈良の大神神社が舞台となっています。

 

 

 

日本最古の神社の一つ、奈良・大神神社(おおみわじんじゃ)近くの河原で高校生が殺害された。彼が「蛇が……」と言い残して事切れたと聞き、友人の田村暁(こう)は戦慄する。その数日前、二人は大神神社の御神体とされる三輪山(みわやま)で、ある禁忌を犯していたのだ。

一方、京都にいた辻曲(つじまがり)姉妹も不吉な兆候を察知。怨霊を鎮めるべく、奈良へ―――。

 

地元の高校生・田村暁は、友人の早見淳一とともに三輪山に登拝に出掛け、とある禁忌を犯してしまう。

 

また、辻曲彩音(あやね)と巳雨(みう)、猫のグリは京都で不穏な空気を感じていた。

 

大神神社へ何者かに導かれるようにやってきた涙川沙也(なみかわさや)は、美少女・大磯笛子(ようこ)に声を掛けられ、一緒に三輪山に登拝することに。

 

三人のパートに加え、神職の柏田慎(かしわだまこと)のパートも挟みつつ同時進行の形で物語が進んでいきます。

 

大神神社で起こった異変の正体は何か?

鎮めるためには、本当のことを知らなくてはいけない…。

 

福来陽一は彩音たちを残し先に東京へ戻ります。「猫柳珈琲店」の地縛霊で歴史作家の火地晋(かじすすむ)に大神神社について教えを乞うのです。

 

火地の語る大神神社のもともとの祭神は、驚くべきものでした。

 

もう、このあたりから高田先生の独壇場という感じで、その説得力に思わず引き込まれてしまいます。

 

天照大御神≠天照

大国主神≠大物主神

 

そう考えると、確かにややこしく絡まっていたものが、すんなり理解できるような気もします。

 

最後に「この作品は完全なるフィクションであり…」と記されていますが、それを踏まえたうえでも、心がワクワクするような考察が盛り込まれていて、興味をそそられます。

 

 

<視える>警部補・豊田は今後どうかかわってくるのか。

笛子の復活はあるのか。

そして、十種神宝と摩季(まき)はどうなるのか。

 

気になることだらけです(笑)

 

正体不明の男・髙村皇(すめろぎ)が登場するのは、冒頭のほんの数ページながら、その不気味さ、存在感はラスボス感満載だし、手下の磯笛(大磯笛子)の小悪魔ぶりも、ミステリアス。まるで特撮もののヴィランといった雰囲気。

 

対する辻曲家側の面々も、特殊な能力を備え、使命を負って立ち向かいます。

陽一が便利に使われている感は否めませんが(笑)。

 

ラノベのような軽やかさを纏い、歴史の裏側をも覗けるシリーズだと感じます。