歌人でエッセイスト・穂村弘さんの『本当はちがうんだ日記』を読みました。

 

日記風のエッセイで、ひとタイトルのボリュームは3~4ページほど。

何気ない日常に感じたことを綴っているのですが、着眼点が面白く、また感性も独特で読み飽きない面白さ。

 

最初から順に読んでいくのもよいですし、パッとひらいたページから読むのもあり。

肩がこらず、クスッと笑えたり、うんうんと頷く箇所もありで、こんな日記がかけたら読み返すのも楽しいだろうなと思います。

 

 

 

 

  内容紹介

 

自意識が強すぎて身のこなしがぎくしゃくしている。初対面の人に「オーラがない」と言われてしまう。エスプレッソが苦くて飲めない。主食は菓子パン。そんな冴えない自分の「素敵レベル」を上げたいと切望し続けて、はや数十年。みんなが楽々とクリアしている現実を、自分だけが乗り越えられないのは何故なのか?世界への違和感を異様な笑いを交えて描く、めくるめく穂村ワールド。

 

 

  穂村ワールドにどっぷり浸る

 

とにかくテンポがよくて、独特の思考のお遊びがとっても楽しいのです。

決して理詰めの結論を出そうとはしていないんです。

 

人見知りが強い人なのかなと思って読んでゆくと、行動自体はそうでもない。

たぶん、ご自身の脳内で増幅された一種の被害妄想が膨らんでるような気がします。

 

そんなご自身を実はとっても楽しんでいる感じでしょうか。

 

世界と自分との境界を想像するあたりは哲学的でさえあります。

 

エスプレッソ1杯で色々思い悩んだり、<素敵>についての考察も面白い。

タイトルのつけ方も面白いし、言葉選びも表現も独特のセンスを感じます。

 

本当に些細な日常のちょっとした事象に目をとめて、あれこれ思い描くその着眼点は、歌人らしいとも言えますし、自分がまわりについていけていないと感じるのも、独特の価値観をお持ちなのも、凡人である私には新鮮でハッとさせられる点も多く感じました。

 

いや、小難しい感想よりも。

もっと気軽で肩の凝らないエッセイ集なので、是非、何かの隙間に読んでリフレッシュできるのではないかと思います。