『marble』No.3
本日配信〜、本日配信〜

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土岐麻子さんは、連載テーマが「一期一会」なのですが、今回は嘘のような本当の話。” 'Round Midnight” 【前編】、と題し、前編後編の二部作になります。今回は前編。麻子さんの心象風景面白すぎ!

西原亜希ちゃんは、「おふくろの味」。少し切ないけれど、成長とはこういうものなのかな、とほろ苦さのある美しい原稿でした。なんで毎号毎号うまくなってゆくのだろう。伸びしろすごいです。

佐津川愛美ちゃんは、「新体操」について。私の文体を酒井節と呼ぶならば、今号は佐津川節が炸裂してます。幸せの価値を、他人がパブリックな部分だけで判断してはいけない、とあらためて考えさせられる原稿でした。

坂本美雨ちゃんは、初号から続く連作短編集のようでした。媒体タイトル『marble』は、「ないまぜになった言葉にならない思いをあえて紡ぐこと」という意味も込めましたが、それを象徴するような原稿。それが今号で、スッと視界がクリアになるような読者体験。皆さまにも体感してほしいです。

西田尚美さんは、「やっぱりコートが好き」。一着のコートとの出会いについて綴ったエッセイ。尚美さんの表情がくるくる変わる映像が想像できて、とても楽しい。

執筆の世界では、「ひらく」という言葉があります。(え?業界用語だよね?違うのかな。でもそんな頻繁には使わないですよね。)
日本の文学の歴史を辿れば、それはもう大昔、漢字を男手、と呼ぶのに対し、平仮名は女手、と呼ばれていました。男手があっての女手、なので、男性が平仮名を使ってはならない、などのルールはなかったようですが、現在の執筆業界での「ひらく」とは、漢字をあえて、平仮名で表記する、という意味です。
私の文体はかたいので、女性エッセイのわりにはあまり「ひらく」をしないほうですが、尚美さんはそういう意味では、女手の執筆者と言えるかもしれません。

たとえば、
私はその事を知り、凄く驚きました。
これをひらくと、
私はそのことを知り、すごく驚きました。
とか。
晴れていて気持ちが良いですね。
は、
晴れていて気持ちがいいですね。
とか。

ひらいたほうが断然、読みやすくなりますよね。
パッと思いつく言葉でいうと、
所、今時、所謂、皆様、所々、敢えて、寧ろ、方、事、出来る
なんかもひらくことが多いです。
今回の連載陣は、なぜだかみんな、ひらくことがうまい方たちです。
私は強烈な「字面フェチ」なので、自分はあまりひらくタイプではないとは言え、やはり一番気にするのが字面です。見てくれです。見てくれがよければ意味がとおらなくてもいいくらい。(よくはない)
だから、ひらくか、とじるか、はいつも気にしています。
marble連載陣は、完全に「備わっている」かたたちです。
そういった意味でも、筆力が師範代レベルの麻子さんがいかにその使い分けを巧妙にしているか、尚美さんが恐らく無自覚でひらくことで、いかに見てくれが柔らかくなっているか、が分かるかと思います。
そんなところに注目して読んでもらっても、面白いかもしれません。

いや、もっと純粋に読んでください。笑

引き続き、素敵な女性たちとともにお届けするmarbleを、楽しんでください。



あ!自分のこと忘れてた。私は「古着妖怪と死装束」というエッセイです。洋服の話をするつもりでしたが、生死の話、エンターテイメントの話、と収拾がつかなくなってます。笑
しかし今、私にとっての「たいせつ」が詰まっていますので、ご一読ください。

追記!
marbleと同じく、本日配信の『水道橋博士のメルマ旬報』で、博士さんと表紙を飾ってます。
私はもうメルマ旬報の連載者じゃないのに、表紙で宣伝していただいて…ありがたい限りです。
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明日も良き一日を


ごきげんよう