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「まいりました!!」

読者としての感想はこの一言に尽きる。


しかし、この本に出てくる人たちと共に『酒井若菜と8人の男たち』を創った身としては、
「敵わないわぁ!でも、負けちゃいない!」
となるけどね。へへ
私の本は、スキマさんの本に比べたら、はっきり言って不粋だし野暮だ。
だが、スキマさんが私には書けないことを書いたように、私はスキマさんには書けないことを書いた。
読み比べをしたら、「あの人たち」がより立体的になるだろう。
かつて水道橋博士さんは、自らを、芸能界に潜入するルポライターだと言い、「テレビがプールなら、本や文章は海に潜りその深海の光景を伝えること」として藝人春秋を書いた。
私もその気持ちを、いっちょまえにも受け継いだつもりで本を創った。
芸能界の中にいるからこそ見える光景を。

スキマさんは違う。
プールはプールだから美しい。
だから、そのプールを作った人や、プールの中で、時に華麗に、時に溺れながらも泳ぐ人たちを、じっくりフェンス越しに見つめ、プールを見るプロとして、プールがプールであることの意義を、見事に書ききった。
プール(テレビ)の中にいる人間には決して見ることのできない、水しぶき、水面に映る太陽の影、波打ち、息継ぎの時の不細工な顔、選手がいなくなった時に現れる清掃員、浮かんだ枯葉、人の気配のない夜に潜む闇、24時間体制でプールを見つめ、フェンス越しだからこそ見える光景を書ききった。
それが、プール(テレビ)の真の姿だ。
フェンス越しに、水泳大会を誰よりも夢中になって応援するその姿こそが、美しいと思うのは、私が「中の人」だからだろうか。
いや違う。
スキマさんのこの本を読めば、テレビっ子なら誰もが「思い出さなかったけれど、体のどこかで憶えている」あの光景を、そして「あの人たちは、あの時、そんなにも…」という胸がキュッとする思いを、抱えるだろう。
そしてやはり、それらを描くスキマさんを、美しいと思うだろう。

だけど、「中の人」の私に言わせれば、プールの中から見る、フェンスに張り付いて応援してくれているその姿が、この上なく美しく、眩しく、頼もしく見えて仕方がないことを、スキマさんは知っているのだろうか。

私の本が、今後、スキマさんの本の参考資料に使われることがあるとしたら(スキマさんの本は、司馬遼太郎先生並みの資料集めをしているため、本からの引用セリフも多いので)、私は、テレビっ子「仲間」としてそんなにも嬉しいことはない。

イベント、スキマさんとやるっていうのもいいかもな。

とか言って。
やります。
詳細が出ていないだけで、スキマさんとはどこかのタイミングでイベントやります。
読後の高揚感が凄すぎて言ってしまったよ。笑

その日のためにも、皆さん『1989年のテレビっ子』『酒井若菜と8人の男たち』、合わせてお買い求めくだされば、嬉しいです。

明日も良き一日を


ごきげんよう