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震災後、初パソコン。

私が何故いつも1人でいるのか。
これについては今まで何度か書いてきましたので今回は省きますが、実はこれにはもう1つ理由があります。
それは、誰かが泣きそうなとき、連絡が確実にとれる人でいたいから。
もし私が泣きそうだったら、いつも仲間といる人には電話しにくい。
「ちょっと落ち込ん、え?クラブで踊ってる?マジ、リスペクト!」
そんなハイテンションに合わせざるを得なくなったら、パワー消費で立ち直れない・・・。
友人や知人が辛くなったとき、寂しくて不安になってしまったとき、パニックを起こしそうになったとき、咄嗟に電話やメールができる相手がいたら、保険になる。私はその保険になりたい。
そういう電話は必ずと言っていいほど深夜にきます。
日中はケータイの電源を切りがちにする電話嫌いな私ですが、深夜の電話は必ずとります。
かけてくれる友人知人が実際にいるのも「酒井は絶対起きてるし、1人だ」と分かっているからこそのこと。
落ち込んだときに思い出してもらえる。
困ったときだけ頼られる。
なんてスペシャルなことなんだろう。
ありがたい。

先日、ある友人から深夜に電話がかかってきました。
「なんでもいいから話して」
「もしもし」もなく始まったその電話。
その友人は、私の声が好きだと昔から言ってくれている人で、時折こんな電話をもらいます。
アドバイスを求めるでも、話を聞いてくれというわけでもない、声のみのリクエスト。
嬉しい。
いつものように本を朗読し始めてしばらくすると、相槌の代わりに寝息が聞こえてきます。
私は「おやすみ」と小声で言って電話を切ります。
その瞬間がとても幸せ。
震災が起こってから、私はずっと、ビギンさんの「声のおまもりください」のタイトル部分のフレーズだけ、繰り返し口ずさんでいました。
私の声が、不安定な友人のお守りになっていたのなら嬉しい。

そして、震災後、心配してくれた友人や先輩からの電話やメール、活字でも伝わる声に、私は胸を打たれました。
酒井はいつも1人だ、と知っているからこその声。

昨日も大きな地震がありました。地震の1分前、私は玄関で靴を履き、防災セットを傍らにその場に座りこみ、イヤホンをしてiPodで優しい声を聴いていました。
音楽は刺激が強すぎるのであまり聴けない私が選んだ曲は『恋の門』。
私が出演した映画の歌。

優しい声の持ち主は、忌野清志郎さん。

フィールドが全く違うので接点がなさそうに思われるかもしれませんが、実は、清志郎さんとは何気に3,4作共演させていただいていた私。お会いするたび
「好きだね」「若菜ちゃんいいねー」「僕のことなんか知らないと思ってたよ。本当に知っててくれたなんてまいっちゃうなぁ。やったなぁ」
と軽い告白をしてくださっていました(自慢)。あのミスターシャイの清志郎さんが。
この歌は、私が演じた恋乃の気持ちを代弁し、また清志郎さん演じる謎の住人が恋乃を励ましてくれるという、この映画で最もスペシャルなシーンで歌ってくださった曲。
壊れた恋乃に、あの声で
「とりあえず、今、泣いといていいよ」
と言われたら、・・・ね。
「あなたはそう、間違いだらけ。私もそう、ほぼ間違うでしょう。出ない答えに、諦めながら、それでもいく。諦めながら。でも虹に願いをかけましょう。」
優しい。
「珍しい私は、割と大切」
なんて、もう一人のミスターシャイ松尾さんが歌詞に入れるから、・・・ね。

「とりあえず、今、威張っといていいよ」

なんてあの声で言われたら、・・・もう。

地震が始まっても、この歌を聴いていました。歌が終わると同時に、揺れがおさまりました。
だから、怖くなかった。

声のお守り

以前、清志郎さんが旅立った当時、何故ブログに書かないのかと、批判の声がいくつか私の元に届きました。

だけど、書きたくなかったので書きませんでした。

なぜこのタイミングで書いたのか。
なぜかこのタイミングで声を聴いたから。
威張っていい、と言われたから。
私は、自慢をしたい。

清志郎さんが、私(役)を励ます歌を歌ってくれたこと。

一生の宝にしよう。

そう思ったんだ。


震災によって「生きたい」と思ったかたが増えたようです。
幸せのハードルが、ぐんと下がった。
ハードルが低い分、足元にずっとあったはずの幸せを見つけやすくなった気がしますね。
そして、地面に根を生やした花の強さが、身にしみます。

桜も咲いたね。

以前ブログに「どんな気持ちで桜を見ているのだろう」と書きました。
こんな気持ちでみることになるとは。

顔を上げてもいいんだ。

ーとりあえず今
泣いといていいよ

ーとりあえず今
いばっといていいよ

今はどっちも必要。

声のお守り、ありがとう。

清志郎さんに、またいつか会いたい。

私は明日、久々の5時起き。
がんばります。

明日は皆さんが小さな幸せを発見できますように
ついでに私も


ごきげんよう