酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba-091221_2156~01.jpg


一方で、こちらも偶然にほぼペアルック。
学生時代からの親友よっちゃんと。
黒のファー付きコートにニットにチュチュに黒タイツ、ほいでスウェードのロングブーツ。
かぶり過ぎ。

私、よっちゃんも、京子ちゃんもスキ。
優しくて純粋だからスキ。

京子ちゃんはいつでも私を励ましてくれます。
が、時々こんな言葉を私にかけます。
「若菜ちゃんが幸せじゃなかったら意味がないんだよ!」
これが、数少ない私を肯定しない言葉です。
私の幸せは、周りの人が幸せそうな顔をしているのを見ることです。
それでいい、ではなくて、それがいいのです(本心かは自分でも分かりませんが)。
我慢がうまくなっただけかもしれません。
転化がうまくなっただけかもしれません。
京子ちゃんは、もっとわがままになってもいいよ、とも私に言います。
そんな風に言ってくれるから、彼女といると、まるで自分がすごく優しい人間なのではないか、とつい錯覚してしまいます。
それがね、嬉しいのです。
おこがましいほどに錯覚すればこそ、優しくて魅力的になりたい、とより強く明確に願えるから。
そしてよっちゃん。
2人でご飯を食べている時、私はある人のある悲しいことについて一人でべらべら喋っていました。ふと横を見ると、彼女の瞳に涙が溜まっていました。
優しいんだ、ほんとに。
他人を思って泣けるんだ。
温度があるんです、よっちゃんには。

たぶん京子ちゃんもよっちゃんも、私の短所を見抜いています。
私も、私の短所がなんとなく分かります。
だけど、そこはお互いに触れません。
指摘をしてくれるのは、私の長所になりそうなことを気づかせてくれる時だけ。
抉るようなことは決してしません。
自分が傷ついたときも、傷をくれた人に罰がくだることを望むような溜飲の下げ方はやはりしません。
2人は、優しいです。
2人のように、私もなりたいです。

欲しい感性は、鋭さじゃなくて豊かさ。

鋭さを押し付けるより、柔らかく受け止められる心を持てたら嬉しいネ。
ほんとは鋭さも持っている豊かな人が、その中でそれを選ばずバカなふりができる姿って素敵。
夢だ希望だを蔑ろにしちゃいけない。現実が見えてるから、夢も希望も持てるのですから。そしてそれをくれるのは、必ず、人だから。

昔、ある友達が言いました。
その子は真っ白な紙を手にしていました。そして、
「これ何に見える?」
と私に聞きました。私は「紙」と答えました。
次に友人は、その紙に黒いペンで印をつけました。そしてもう一度、
「これは何に見える?」
と聞きました。私は「黒い点」と答えました。
友人は、その不思議を私に教えてくれました。
真っ白な時は全体の「紙」を人は見るのに、たった2,3ミリ程度の印をつけただけで、今度は「黒い点」にしか焦点が合わなくなる。
同じ紙なのに。
最初に書いた京子ちゃんとよっちゃんに対する「純粋」という言葉。
これは、2人がずっと真っ白だという意味ではありません。
元々真っ白な紙に、彼女達はたくさんの色を自ら重ね、一方で重ねざるを得ない状況に苦汁をなめながら、自分なりの絵を描き、そして時に洗濯をして真っ白になって、また絵を描いて、そしてまた洗濯をして。
そんな様がカッコイイのです。
「純粋」を選んで勝ち取っているように見えるから。

洗濯をしないまま時を過ごせる人もいるかもしれません。
でも、白い紙って、ただ時間を重ねるだけでも黄ばんでくるから、真っ白は絶対にキープできません。
また逆に、色を重ねすぎて真っ黒になってしまったら、描きたい絵も描けなくなってしまう。
「黒を追求している」と言われてしまえばそれまでですが、そんな頑なさには私はあまり惹かれません。

2人はね、白の美しさと恐ろしさを知っているんです。
白は何色にも染まれる可能性を持っているけれど、その分ごまかしが効きません。
「白の紙」という全体像を常にしっかり捉えているからこそ、そこに絵を描く楽しさや苦しさも知っている。
そして、洗濯をする空虚感も爽快感も。
私は彼女達と触れ合う時、彼女達の白ベースに乗った彩り豊かな絵を壊したくないと思わされます。その時、黒しかあげられない人にはなりたくないと。
自分が彼女達から色を貰うときもまた然り。
何色かを正確にジャッジできるように、鮮やかな色をちゃんと「キレイ」だと認識できるように、白い部分を残しておきたい。
そして、洗濯する勇気も残しておきたいと思わされるのです。

あと何度洗濯したら、素敵な絵が完成するかな。

未完の傑作も良いね。
下手くそな完成も良い。

大事にしたいのはその工程、道のり。

時々は、失敗して黒に塗りつぶしてもいい。黒はごまかしが効くし「スタイル」と言い張りやすいし。幹が太くみえる。
洗濯できる日が近づいたとウキウキしたらいいです。

溜飲を下げるのは、相手にブラックな思いを抱きながらより、相手や自分のホワイトを見つけた時がいいから。

そしてね、
黒い点が気になるのは、
紙が白いからです。
あなたの紙が白くてキレイだから。
ね。
だいじょうぶ。

洗濯した人にしか持てない「真っ白」を、私もいつか持てたらいいナァ。

明日はみなさんがキレイな色を見つけられますように。

ごきげんよう