エキストラ | 酒井若菜オフィシャルブログ「ネオン堂」Powered by Ameba
2009-05-03 22:39:27

エキストラ

テーマ:ブログ
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昨夜、23時からこのブログを書き始め、気づいたら朝の6時になっていて思わずひっくり返った酒井です。しかも、パソコンから携帯に文章を転送したら、半分くらいで文章が切れていました。長すぎて携帯電話の容量に収まりきらなかったみたい。
はにゃー。
書き直し。
BOSSを観てくださったみなさん、感想ありがとうございます。メッセージ、ありがたく読ませていただきました。とても嬉しかったです。
写真は、憧れの先輩光石研さん。
いつお会いしても本当に素敵。
嬉しかったぁ。

さ。
今日は、前々回のおじいちゃんの話に続いての、嘘みたいな本当の話。

遡ること11年前。
私は、とある学園ドラマの撮影現場にいました。
舞台はとある学校の教室。
衣装の制服を身につけ、慣れないメイクをし、決められた席に座り、
「よーい、スタート」
の声がかかるのと同時に、隣りの席の女の子と話すふりをします。
私は、そのドラマのエキストラとして、撮影に参加していました。
撮影の合間にエキストラ仲間と小声で談笑し(大きい声を出すと怒られちゃうの)、カメラが回ると今度は口パクで談笑(声を出すと怒られちゃうの)。私にとっては刺激的で、とても楽しい撮影期間。だけど一方では、
「私も、『スタート』と『カット』の間に声が出せるようになりたい。台詞が言いたい」
という気持ちが今にも溢れ出しそうな日々でした。
ある日のこと。2、30人いるクラスメイト役のエキストラの私達が、主演女優のかたと一緒に「この後すぐ!観てね」という告知を撮らせていただける、というとても嬉しい機会がありました。私は「観たことある、『この後すぐ』って言ってる告知、観たことある」と、ウキウキしていました。
その告知は、助監督の中でもまだまだ新人だったMさんが、撮ることになりました。私の記憶が確かなら、その助監督Mさんが演出をするのは、それが初めてだったと思います。
Mさんは、私達エキストラから人気がある人でした。演じる側で一番下っ端の私達にとって、スタッフ側の下っ端だったMさんは、一番身近な人だったのです。そして無事撮影終了。

そして、
クランクアップ。
お別れの瞬間、M氏と初めて話をしました。時間にして2、3分のことでしょう。
この2、3分が、私の芸能人生を大きく左右することになります。
私は、この時までスタッフのかたと話をした経験がありませんでした。だから、助監督さんが隣りにいるだけで緊張していました。
M氏は、それまでの撮影で、何度か「酒井さん」と私を呼びました。私は、私の名前を認識しているスタッフさんがいたことに驚き、また感動したりしていました(エキストラ仲間に人気があった理由の一つは、たぶんそれ)。だけど、会話はしたことがない。
妙な空気が漂っていました。
M氏は、この時も「酒井さん」と声をかけてくれました(後から考えたら、妙な空気と思ってたのは私だけだったみたい)。
M氏は言いました。
「いつかまた一緒に仕事しましょうね」
私は、大きく頷いてから言いました。
「はい。お互い頑張りましょうね」
「次は、監督と女優として、会いましょうね」
「はい、ぜひ」
絶対M氏は憶えてないと思うけど、この時ね、M氏こう言ったんだよ。
「10年後が楽しみだなぁ」
って。そんでね、私達、握手したの。
ドラマみたいでしょ。
実際、「ドラマみたい」って隣りにいたメイクさん笑ってたし、私自身も、ドラマの主人公になった気分だったんだ。
私、はっっっきり憶えてます、その光景。

それから3年後。

当時グラビアアイドル絶好調だった私のもとに、ある深夜ドラマの主演の話がきました。
私にとって、初めての単独主演。
プロデューサーは若手のかたという話。しかも監督を兼ねるとか。
詳しい話を聞かされぬまま、事前打ち合わせに。
そこにいたのは、なんとM氏。
感動。
監督と女優(正確にはアイドルだけど)として、ほんとに会えた。
ビバ出世。
ビバ約束。
この日のことも忘れません。

そして、それから長い年月が過ぎました。
その間、私達はお互いの作品を観て感想をメールで送りあったり、近況報告をしたりしていました。
徐々にお互い忙しくなり、M氏は次々と面白い作品を世に打ち出し、私もたくさんのドラマや映画に出させていただけるようになっていきました。
ご飯行こうね、なんて話もしていたけれど、結局一度もプライベートでは会いませんでした。
私の中で、絶対仕事で会ってやる、という意地にも似た気持ちがあったのでしょう。
だけど、舞台を観に行ったり、友達の誕生日会に行ったりすると、偶然会っちゃうんですよね、なんでか。そんな時は5分くらい立ち話をして、ご縁だね、なんてケラケラ笑ったりしてすぐにバイバイになっちゃうんだけど。

そう、こんなこともありました。
去年の秋。
とあるドラマを撮影していたとき、初めて会ったある役者さんが「あの、僕、○○さんって助監督と友達なんです」と突然話しかけてきてくださいました。キョトンとしている私に、彼は言いました。
「僕と○○、いつかビッグになって、監督と役者として仕事しような、って約束したんです」。
私、素敵だな、と思いつつ、なぜ私にその話を?と不思議に思いました。彼は言いました。
「○○の先輩、Mさんなんです。酒井さんとの約束の話を聞きました。嬉しくて、今日酒井さんに会えたから、そのこと伝えたくて。俺らも、絶対に酒井さんとMさんみたいになりますから。酒井さんとMさんが仕事で再会できるの、楽しみにしてます!」
そう言って、その役者さんは去っていきました。
もう、酒井さん胸がいっぱいでした。

そして、この数ヶ月の間に、私にとってとても大きな環境の変化がありました。詳しくは書かないけれど、M氏もここ1、2年で私と同じ種類の大きな変化がありました。
で、4月。
酒井さん主催の花見をやりました。超忙しいみなさんが時間を割いてきてくれました。
私にとっては好きな人達に会える楽しい日。私は、出会って11年、初めてM氏を誘いました。結果M氏、時間を割けず、参加できず。
そして私は、11年誘わなかったのに、なんでこのタイミングで誘ったのか、と自問自答を繰り返しました。
結局答えは出せず。

次の日。

マネージャーから留守電が。内容は、

「BOSSの3話、決まりました」。

慌ててM氏にメール。
“言ってくださいよ、忙しかった理由。びっくりしたじゃん”
M氏から返信。
“そうなんだよ。昨日は、若菜ちゃんが出る台本作ってて忙しかったんだよ”

そうなんです。

“M氏”は今、BOSSのプロデューサーになっていたのです!

11年前、あの約束を交わしたあのADさんは、今や超一流の出演者やスタッフとともに仕事をする、超一流のボスになっていたのです。
そして、やっと、再会できた。
私の感激が異常だったのは、M氏はすごくキャスティングにこだわっていて、例え私と約束をしていようがなんだろうが、合う役がなければ絶対に選びたくない、という強い意識があるということを知っていたし、何より、お互いが大きな山を越えて間もないことを知っていたから。
だから、ここにきて再会できるなんて、夢みたいで嬉しかったんだ。

そして、早々に衣装合わせ。
ここからは、前回書いた通り。
で、衣装合わせの場に現れたM氏の顔をみて、思わず泣く。
あれから11年。
私、まだ仕事続けられてた。
Mさんも、続けてた。
私はまだまだだけど、だけど役名と台詞が貰えるようにはなった。アルバイトをしなくても、演技だけでご飯が食べられるようになったし、東京にマンションを借りられるようにもなった。
M氏は、こんなすごいメンバーを集めるボスになってた。で、11年前、エキストラの私にも優しくしてくれた頃とおんなじ表情で「若菜が泣いたら俺も泣きそうになる」と言ってくれた。お互いにいろいろあったから、変わったところもあるのかもしれないしそれは分からないけれど、変わってほしくないところは変わってない。
嬉しかった。
本当に、嬉しかったんです。
11年の月日を経て、約束が果たされた。
なんか、すごいですよね。
嘘みたいな話だ。
でもこれ、ほんとの話。

芸能界を“華やか”“ドロドロしてそう”“怖い”とイメージする人に対し、芸能人は“意外と地味”と答えている光景を何度か目にしたことがあります。
私は、全部あっていると思います。でも、ドロドロや怖いなど、どの世界にもある言葉を特徴としてあげるなら、そこに“人情”とか“アツさ”とかも入れてほしいな、と思った、そんなある日の話でした。
面白いよ、芸能界。
少なくとも私は、とても好き。

明日も素敵な一日を。

ごきげんよう

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