弁護士 若林 豪史 -2ページ目

弁護士 若林 豪史

ITと、AIと、法律と、、、

弁護士が受任した場合の債務整理の方針の一つとして、「任意整理」があるのですが、これは、現在負っている借金の元本を、(原則)36回払いで支払い終えるように、債権者(金融業者)との間で、和解をすることをいいます。

例えば、A社からの借入金の元本が、現在54万円だとしたら、毎月1万5千円ずつ、3年間(=36回)にわたって、返済するという和解をします。一般的に、滞納時点から和解が成立するまでの経過利息・損害金と、将来3年間の利息については、免除する形で和解を進めます。

結局分割で返すのだから、それではあまり意味がないのでは?と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、将来の利息を0にすることができるため、支払はぐっと楽になり、完済する確率が高くなります。

さて、大方の債権者は、任意整理における和解に応じてもらえます。破産されるよりも、確実に回収したいという価値判断もあるかと思います。
ところが、中には、頑として和解に応じようとしない債権者もいます。

現在では倒産しましたが、大手商工ローン会社がそうでした。
「分割弁済を希望するのであれば、将来利息を付けない形での和解は絶対にしない」とのことでした。
将来利息を年18%などの高利で定めた和解をしたとしても、いずれ支払えなくなる可能性が高く、債務者の経済的再生にはつながらないため、こちらとしてもそうした和解条件に応じることはできません。

平成20年頃のことですが、とても話合いにならないため、簡易裁判所に特定調停を起こしました。特定調停というのは、債務の返済ができなくなるおそれのある債務者の経済的再生を図るため、借金に関する利害関係の調整を行うことを目的とする調停をいいます。相手方(金融業者)の事業所を管轄する簡易裁判所に申し立てることができます。

そのケースにおいては、特定調停でも、相手方は、自社の言いたいことだけを言っており、調停は成立しませんでした。ですが、その場合、裁判所が、「17条決定」といって、解決内容を決定してくれる制度があります(民事調停法17条)。具体的には、決定時までの経過利息を元本に付加した金額を、36回払いで返済するという内容になることが多いです(つまり、将来利息は0)。

ただ、告知後2週間内に異議申立をすることによって、その効力が失われるため、この時にも、裁判所が出した17条決定に対して、商工ローン側から異議が出され、効力は失効してしまいました。
ですが、債務者から、17条決定通りに、支払を継続することによって、それ以降は、債権者側から、裁判を起こされたり、給料を差し押さえられたりする可能性が低くなるのです。したがって、17条決定を出してもらうことには、大きな意義があります。

特定調停における17条決定に従って弁済を継続するという事案は、商工ローンの消滅以降、私が扱うことはありませんでしたが、実は、最近、また同様のケースを担当することになりました。

ある有名なクレジットカード会社から債権譲渡を受けた債権回収会社が、将来利息を付けない形での分割弁済案には、絶対に応じないとの意向を示しておりました。
そこで、やむなく、特定調停を申し立てたのですが、裁判所による、将来利息を付さない形での分割弁済案も拒絶されたため、結果として17条決定が出されることとなりました。

その後、債権回収会社は、決定に対して異議を出しましたので、上記の商工ローンの事案と同じく、債務者から、17条決定通りに、支払を継続する方針を採ることとなりました。
まさか、この時代に、商工ローン相手と同じ顛末をたどることになるとは、驚いた次第です。

日本銀行のサイトによると、1億円(1万円札が1万枚)の重さは、約10kgだそうです。

数年前、約580億円相当の仮想通貨が、ハッキング攻撃により、取引所から流出した事件がありました。
もし1万円札で580億円を盗もうとすると、その重さは、5800kgになります。

これだけの重さの札束を運ぼうとすると、中型以上のトラックが必要になるわけで(かなりボリュームのあるトラックです)、積み替えの手間なども考えると、犯人などが誰にも追われずに姿をくらますことは、ほとんど不可能でしょうね。

したがって、強盗やら身代金やらによって犯罪収益を得ようとしても、現金では自ずと被害額にも限界ができるのだろうと思います。

一方、仮想通貨というのは、デジタル情報なので、重量物を運ぶという手間はありませんが、ブロックチェーン技術を使用しているため、取引情報の改ざんが不可能であり、安全性が高いとされています。

本来的には、ブロックチェーン技術によって、どこの誰に残高が移転して、誰が使用したかを追跡できる結果、ハッキングの犯人が判明しても良さそうなのに、現実にはそうなっていないようです。

現金という、古代から続くアナログ技術を用いることで、運搬・保管コストがかさむ一方で、犯罪被害を少なくできるという利点も存在するということですね。

 

Amazon Fire HD 8 タブレットの、読み上げ機能を使っています。

電子書籍アプリの「Kindle」が最初からインストールされているのですが、「再生ボタン」を押せば、本(電子書籍)を、電子音声で読み上げてくれます。

読書なのに、自分の目で読む必要が無く、ただ耳で聞くだけです。

ネットにつながっていなくても、読み上げ機能が使え、読み間違える箇所もありますが、許容の範囲内です。(例えば、「一日」とあるのを、「いちにち」ではなく、必ず「ついたち」と読んでしまいます)。

人類の歴史上、「本をたくさん読みなさい」とは言われ続けてきたと思いますが、本を読むのには時間がかかり、読書中に他の作業を行うことができず、目も疲れるという欠点がありました。

しかし、本の読み上げ機能は、そうした読書の欠点を克服することができたと言えると思います。

これはある種の革命だと思います。