映画“tick.tick…BOOM!”を観てみました。(まだ森から抜けきれない…) | Vita felice パンとオタクの家

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いつもご無沙汰ですが、めずらしく…今回また書いてみました。

今日は、何も用事が無い平日の休み。
在宅勤務の家族も今日は出勤案件があり…今年に入って初めて訪れた“おひとりさま”の休日。

以前から気になっていた映画を観ました。
“tick.tick…BOOM!”

主人公は実在した人物ジョナサン・ラーソン。“RENT”を生み出した作曲家である彼が自身を主人公として、その生きる姿を綴った物語。
この映画、リン=マニュエル・ミランダが映画初監督作品という事と、ミランダ自身がスティーヴン・ソンドハイム役で登場している…そして最後にソンドハイム自身の声で留守電メッセージが流れる(元々のメッセージにダメ出しをしたソンドハイムが、自身で音源を提供して差し替えたとのエピソードがあります)…という事で、一度観ておきたかった作品でした。

この映画で印象的だったのが、主人公が自作の作品をなかなか評価され無い状況で友人にぶちまけ

“ ブロードウェイは売れるものしか上演せず、独創性のかけらも無い!”

という言葉。

そして、ふと思い出したのが…ミランダが聞き手となったソンドハイムとのインタビュー記事。その中でミランダが

“これはミュージカルである、あれはミュージカルではない…という考え方は実にくだらない”

そして、ソンドハイムは

“想像がつかないこと、思いもよらぬこと、それが演劇ってものだ。舞台演劇が何か一つ特許を取得しないといけないとしたら、それは驚きだよ”

と言っていた事。



作り手全員がミュージカル作品を生み出す過程で、売れるものを作りたいわけではなく、自身の作品に何かを求め…ソンドハイムは驚きと演劇作品の多様性を求めていたように思います。

作り手が舞台芸術に求める物と、観客が求める物…それは必ずしも一致するとは限らない。
だから芸術作品なのだと思いますし、この映画から…作者が人生をかけて生み出したものを、観る側の観客がその作者の想いを少しでも受け止めることが出来れば最高だと思いますし、そういう見方が出来れば良いなと思います。

宝塚以外のミュージカルは断片的にしか知識が無く、音楽的にも無知な私ですが…そんな事を感じる映画でした。

ソンドハイムが“INTO THE WOODS”のためにどんな想いで曲を生み出したかはわかりませんが…今回望海さんが出演してされた舞台は、そう言う意味ではアクロバティックな場面、一定レベルを保たずアンバランスだけど心の言葉としての歌声、ストプレに近い演出…そこへの驚きは多少なりともあったのではと思います。(シツコイ…w)

某方が劇評で“普通のミュージカル”云々…と書いておられましたが、“普通”という言葉は芸術作品に対してはあまり良い表現では無いかと。そして、“普通”の対義語は“特別”です。裏返せば、今回の“INTO …”は特別なミュージカルという事になりますね。
素直に?受け取ると、まさにその通りだと…。


あ…脱線しましたが、この映画ご興味あれば是非観てみて下さい。どの曲も素晴らしいのですが、特に最後の曲の歌詞が心にグサグサ刺さりました。因みにNetflixで観ました。

まだ、森🌳から抜けられない女Sでした。