田原 GoToトラベルキャンペーンは反対の声も多い中、なぜ強行したか。

 

山口 第一波と比べ感染者は多くなっているが、20・30代が6割以上で無症状も含まれている。重傷者は抑えられている。

 

田原 赤羽大臣も本音ではトラベルに反対じゃないか。

 

山口 もともと感染がおさまってからが方針でした。

 

田原 それを前倒したのはどうしてかということ。

 

山口 7月の4連休を逃す手はないという意見が高まり、政府の方針とされた。今年の夏休みは短くなるため、ファミリー旅行が減少する、と考えると4連休は願ってもないチャンス。観光地は大いに期待し政府に働きかけもした。

 観光業は裾野が広く、飲食や宿泊、交通など関わる人は900万人いるが、4月の緊急事態宣言でゴールデンウィークを逃してしまった。だから、夏場にかけていた。

 

田原 都知事はトラベル反対だった。

 

山口 東京はそう捉えるかもしれない。神奈川や千葉の知事は好意的だった。そういう中で、国は試行錯誤しながら観光産業を支えていきたいと考えている。一般企業はテレワーク等で事業継続できるが、観光業は国が支援しなければ事業が成り立たない。観光業以外の人がお金を出して助けられるものではない。自力で事業継続し自立するためには、感染防止ルールをしっかり守った上でトラベルを行うことが必要。

 

 東京でも感染者ゼロかわずかな町村がある。出かける人も迎える側も対策をしっかり行えば、観光需要を取り戻せる可能性があるはず。旅行を全て禁止というのは行き過ぎではないかと思う。

 

田原 官房長官は帰省を控えて欲しいわけではないと発言し、各知事は自粛を呼びかけた。この矛盾をどう考えるか。

 

山口 全国一律に自粛要請する権限は国にはなく、知事にある。最終的には個人が判断することだと思う。防止対策を施して無理はしないでくださいと呼びかけることはできるが、一律に行動を制限することはできない。

 

田原 しかし、地方で感染者が増えると犯人探し、責任の所在を明らかにしたくなるようだ。

 

山口 悪いのはコロナウイルスで、その人自身というわけでは決してない。差別的な言動は厳に慎むべき。行政も個人を特定されないよう配慮することが必要だ。