昨日(27日)、品川区議会の令和2年(2020年)第1回定例会が終了し、区議会公明党が談話を発表しましたので、掲載します。長文になりますが、よろしくお願いします。

 

新型コロナウイルス感染症が拡大する中での定例会(219日~327日)となりました。イベント自粛や学校休校、マスク・消毒液の不足などにより、区民生活、経済活動に多大な影響が及んでいます。会派としても、区に対し相談体制強化、高齢者施設支援、中小企業等への経営支援及び相談窓口設置等の緊急要望(217日)を行った他、お聞きした区民、商店・企業、各種団体の声をもとに、予算特別委員会で質疑を行い、再度の緊急要望を行いました。その結果、最終本会議に上程された同感染症対策を緊急に行うための補正予算が可決・成立しました。(緊急要望、補正予算は最後に掲載します)

東京都は、今月25日、「感染爆発の重大局面」にあるとし、週末(28,29日)の不要不急の外出を控えるなどの要請が発表され、翌週以降も継続する方針です。今後も予断を許さない状況です。区議会公明党としても、区民・企業・団体のお声を聞き、区・都・国へお届けするなど、これまで以上の取り組みを促進してまいります。

上記の取り組みの他、今定例会では、区民生活に直結する諸課題について、具体的な政策を提案するなど、活発な論戦を展開し、予算への反映・成果が得られました。

 

1.  防災対策

【避難所・避難支援】引き続き、避難所環境の整備に取り組みます。改築中の学校では、空調整備までの間の暑さ対策として、スポットクーラー大容量非常用発電機が導入されます。また、プライバシー等確保へ、段ボールパーテーション・簡易ベッドを備蓄します。

 高齢者等、自力避難が困難で支援が必要な方の避難支援個別計画を作成するため、新たにケアマネージャーが関与し推進します。また、障がい者などのための福祉避難所に防災アドバイザーを配置し、避難に関する課題を検討します。聴覚障がい者が防災訓練に参加しやすくなるよう、手話通訳者を配置します。

【情報】被害状況の調査や避難誘導に効果的なドローンを購入し、迅速な情報収集・提供の向上に取り組みます。また、聞きづらい防災行政無線の災害情報を正確にキャッチできるよう、スマホアプリを活用し文字情報として発信します。

【無電柱化】策定される無電柱化計画に基づき、区が管理する全ての道路を対象に進められます。来年度は、文庫の森公園・旗の台駅・競馬場通り周辺路線の予備設計に着手します。

【トイレ、木密対策】学校トイレ洋式化は、今年度末で75%、来年度末で77.5%の達成を見込み、目標の90%の早期実現を目指します。公衆・公園トイレも、全ての洋式化を最終目標に整備が進められます。

木造住宅密集地域には、道路に2m以上接していないため改築が行えない老朽化した木造住宅があります。燃えない・燃え広がらない街へ、「接道不良宅地」の建替え手法を検討します。

 

2.  健康

【がん対策】がん対策推進計画を策定し、がんの正しい知識の普及などの充実が図られます。新規事業として、平日夜間の時間帯に、看護師や心理士等が、患者や家族の治療や学校、仕事やお金のことなどの疑問や悩みに対応し、不安に応える相談事業(マギーズ東京)がスタートします。

【予防接種】公明党の強い推進により、今年度から小中学生を対象にインフルエンザワクチン接種費用助成が始まり、昨年12月末時点で、延べ16,581名が接種しました。来年度は重症化予防のため対象を乳幼児に拡大します。対象世帯へは9月末までに個別通知を行います。また、ロタウイルス予防接種は定期接種化(10月施行)されました。

【受動喫煙防止】健康増進法の全面施行により、原則禁煙となる飲食店等への支援を行う他、屋外ではオリンピック競技場周辺で臨時喫煙所を設置、パーテーションで仕切られていない5路上喫煙所のうち大井町等2カ所には、空気清浄機付きコンテナ型喫煙所を設置します。

 

3.  高齢者支援

【フレイル予防】後期高齢者歯科健診で収集している体と歯のフレイルチェックデータは、歯科医師が参加する検討会で分析し、今後の活用方法を検討します。また、75歳以上の元気高齢者に行っている介護予防のための生活機能調査で収集したデータも、今後の介護予防事業に活用します。

【住まい】高齢者やひとり親などで、賃貸住宅の入居を断られるケースがあります。この2月に設立した居住支援協議会で、入居を拒まれないためなどの支援策を検討します。

【在宅支援】介護保険等でカバーできない外出支援がありますが、民間事業所を活用し同行外出支援を行います。また、訪問理美容サービスを拡充し、寝たきりの方に加え、認知症の方も利用できるようにします。

 

4.  障がい児者支援

【施設整備】グループホームの整備へ、国家公務員宿舎跡地(西大井3丁目)の取得を行う他、民間事業者が整備する際の助成金額の増額も行います。心身障害者福祉会館の老朽化の課題は、総合的に検討するとしました。

【発達障がい】思春期・成人期の支援を、ら・るーと(上大崎)で行っていますが、新たに南大井地域に相談窓口を設置します。また、特性理解のための自己認知支援を成人期に広げ、就労への支援を充実します。

幼児・学齢期の切れ目のない支援には、福祉、保健、教育の連携が欠かせません。療育支援ネットワークの構築を強力に進めるよう求めました。

【医療的ケア、福祉手当】医療的ケアなど常時の見守りが必要な方の見守り介護を提供し、家族負担を軽減します。

第二種福祉手当の対象者を、精神保健福祉手帳1級に拡大します。

 

5.  子育て支援

【保育園、幼稚園】新規認可保育園は、4月に9園、11月に1園、合計633人の定員増となります。令和3年度に向けては、800人定員増を目指した予算が計上されました。乳幼児人口の増大と保育需要の増加の傾向は続くものと予測されますので、一層の待機児童解消策に取り組みます。

幼児教育・保育の無償化では、会派として実態調査を行いました。会派で推進した保育園給食費の無償継続に評価をいただいた他、課題としていただいた私立幼稚園の事務負担では、運営費補助が予算化されました。

【食の支援】貧困の連鎖解消策として、区内外からの寄付金(ガバメントクラウドファンディング)も活用し、食料を直接、ひとり親家庭等に届ける「しあわせ食卓事業」は、福井県坂井市からお米の提供もお受けし、拡充を図ります。また、生活困窮者への食の支援や自立支援を行うフードパントリー事業の立ち上げを行う事業者への支援を行います。

【安全・安心】小さな子どもたちを交通事故から守るためのキッズゾーン(幼児・園児版スクールゾーン)の設定に向け、警察と連携し検討を進めます。また、来年度導入されるクラウド型地理情報システムを活用し、スマホなどで交通安全・防犯・防災情報を確認できる方法を検討します。

すまいるスクールに導入される、まもるっちを活用した「すまっぴ」により、入退室情報が保護者へ通知され、安否が確認できるようになります。

 

6.  環境

【気候変動対策】気候変動対策は、防災力の強化にもつながることから、来年度、戸越公園内に設置が予定されている環境学習交流施設で、学校教育への活用を含めた展示内容を検討します。また、庁有車に電気自動車の導入が進められていますが、来年度は燃料電池車を購入する予算が組まれ、今後、区民の導入、普及促進にもつながるよう取り組みます。今後検討される新庁舎についても、環境最先端の建物とするよう要望しました。

【SDGs(持続可能な開発目標)】品川図書館のSDGs関連コーナーの資料の充実を図り、地区図書館、学校図書館も拡充します。また、関連図書は図書館ホームページなどでも紹介します。

 バナナの茎を原料としたバナナペーパーを使用する賞状を、環境関連表彰などで使用します。また、環境学習交流施設で配布するなどの活用を検討します。

7月からレジ袋の有料化が始まることから、区はマイバッグの製作、配布を予定していますが、区民が使いたくなるデザイン・機能とするよう要望しました。

 

7.  にぎわい・地域活性

【プレミアム付商品券】商街支援と消費喚起のために、10%プレミアムを付けた商品券を、年2回、8億円分発行する予定です。

【舟運活性化】今年度整備された五反田リバーステーションと天王洲アイル間で、舟運通勤等社会実験を行い、出勤や観光の交通手段としての有効性を検証します。また、オリンピック期間中、五反田~天王洲アイル~しながわ水族館に船を運行し、水辺の魅力を発信します。

 

8.  教育

【教員の働き方改革】教員の長時間労働が生じていることから、サポートスタッフなど外部人材の活用や定時退勤日、学校閉庁日、部活動指導員の拡充などに取り組んでいますが、来年度は、土日・祝日の管理もできるシステムの改修を行い、在校時間の把握に努めます。

【特別支援教育】増加する特別な支援を必要とする児童生徒を受け入れるため、特別支援学級が未設置の義務教育学校2校に、令和3年度の開設を目指し準備を進めます。

 

以上

 

【緊急要望と補正予算】

●新型コロナウイルス感染症対策への緊急要望

新型コロナウイルス感染症では、これまで区民生活及び経済活動に多大な影響が及び、今後も予断を許さない状況です。拡大防止と同時に区民・経済活動の回復も図らなければなりません。公明党として行った先の緊急要望(217日)後の状況変化に応じた、早急かつ的確な施策展開と補正予算の策定を緊急要望しました。

一、マスク・消毒液の備蓄と適宜、的確に福祉・医療等施設・機関へ配布を行うこと。

二、検査、治療までを含めた相談体制等の整備・拡充を行うこと。

三、小中学生の学習支援の充実に努めること。

四、各種の生活資金支援策に該当しない方への家計支援を行うこと。

五、経営が逼迫する中小等企業・商店へのプレミアム付商品券含めた経営支援及び相談体制の拡充を行うこと。

 

●令和2年度補正予算[96,682万円]の概要

ž   マスク、消毒液購入[6,167万円]

ž   私立保育園・幼稚園、認証保育所等マスク等経費補助[7,600万円]

ž   資金融資あっせん(利子補給、信用保証料補助)[33,660万円]

ž   経営相談体制強化[1,039万円]

ž   雇用確保支援(テレワーク等)[4,695万円]

ž   電話相談センター体制強化[634万円]

ž   感染症患者医療費等経費[2,355万円]

ž   予備費[4億円]など。

 

=議会メモ=

大井認知症高齢者グループホームの指定管理者を株式会社法人とする議案が厚生委員会で審査され、共産党区議2名含め全員が賛成し、全会一致で採択されました。ところが、本会議で議決する際、厚生委員会の共産党区議2名が退席し表決に参加せず、議場に残った4名の共産党区議が反対しました。会派の態度が、委員会と本会議で異なる事態となったことについて、共産党幹事長は、「委員会では、会派と異なる態度を誤ってとってしまった」と説明しましたが、“営利目的の株式会社が、公の施設の指定管理者となることは認めない”ことが党の方針で、事実、株式会社が指定管理者となる議案には全て反対してきました。

厚生委員会では、当該施設の収支が500万円の黒字となっていることに対し、共産党区議は、今後も安定した収支と考えられるか、黒字分は職員の処遇改善等に充てる考えは、と質問し、区は、安定した収支が続くと判断している、職員の処遇は決して悪くないといった声を直接聞いており処遇の対応もできていると認識している、と答え、同区議はこの答弁に反論せず、当該株式会社への区の評価を容認しています。

 もう一人の共産党区議(厚生委員会副委員長)も問題で、株式会社は指定管理者にそぐわない旨の発言をしていません。党の方針を理解していたのでしょうか。何故、党方針と異なる態度をとったのでしょうか。指定管理者として良い仕事をすることと、株式会社であるか否かは本当は関係ない、と考えていたのでしょうか。質疑を行った共産党区議は、6期を務めるベテランであり、区議団の団長という指導的立場で、党方針を失念した、誤ったでは済まされない立場です。当該株式会社の指定管理者としての仕事ぶりから、株式会社が指定管理者となっても良い、と認めたのでしょうか。そうであれば、党の方針である株式会社=指定管理者にそぐわない、という方程式は形式的なものに過ぎません。常に繰り返される共産党の反対のための反対という硬直した態度と会派の統治のあり方に、改めて疑問の目が向けられています。