若者が社会を変えてくれる、と期待が集まるが、本当なのだろうか。2013年「国民生活に関する世論調査」によれば、20代では、現在の生活に満足している78%、数十年で最高水準となった。当の若者は今の社会をそこまで悪いものとは考えていないようだ。消費者として元気な団塊世代がいなくなり、フリーター第一世代が高齢者になる。福祉を必要とする高齢者割合は増えるのに、現役世代が減り社会保障費や年金が立ちゆかなくなる。現在の社会制度を変えない限り「その日」は訪れる。回避するために誰が何をすべきか、それは若者ではなく、おじさんの仕事だと思う。

 現代は無数の社会の変え方がある時代だ。地道に震災復興支援を続ける、カンボジアに病院をつくる…革命的に変えずとも既存の仕組みに風穴を開ける方法はいくらでもある。食い扶持も稼げずに国家や社会語りをして、何かをしたつもりになっていた60年代の若者よりもよっぽど真面目に社会を変えているともいえる。彼らは大きなことを言わない代わりに、粛々と周りの人を確実に幸せにしている。規模が小さい分、あまり目立たないが。

 人はつい「大阪から日本を変える」といった大きなことを言うカリスマ的人物に過大な期待をしてしまうが、社会は一瞬で劇的には変わらない。ゴミ収集場所一つ変更するのさえも一苦労だということは町内会に入っていれば誰でも知っている。自称・保守の間に広がる誰かをバッシングして自分のちっぽけな自尊心を満たすくらいなら、日本の役に立つことをできる範囲で明日から始めたらいい。少なくない若者たちはすでに動き始めている。