企業の採用ページに掲載されるようなできる社会人も確かにいるだろう。しかし、昨日まで学生だった人々が、入社式で社長の話を聞いたからと言って、急に立派な社会人になるわけではない。例えば、高い就職倍率の新聞社などで働く人たちの仕事ぶりに驚かされることが少なくない。縦書きと横書きが混じったゲラを送ってくる編集者、1時間以上軸の定まらないインタビュー後、何の連絡もくれない記者等々。

 新入社員が使えない、仕事ができないのは当たり前である。なぜか。仕事ができるというのは、多くの場合所属するコミュニティや業界ルールをいかに多く取得できたかということに依存しているためだ。企業独自のルールは、個別具体的な仕事を通じて学んでいくしかなく、より多く身に付けた人が仕事ができると評価されているに過ぎない。

若手社員をどうエンパワーメントしていけばいいか、一つは彼らに仕事を任せてしまうこと。人は責任を与えられると本気になる。信頼をきちんと返そうとする。もし、若手に責任感がない、と困っていたら、その若手にはたして裁量を与えているか。仕事を通じて社会貢献をしたいと考える若者は多い。

若者の声を聞きながら、企業が本当に時代に適合的かを見直すのもいいかもしれない。ビジネスのヒントがたくさん隠れているかもしれない。彼らの活用方法をきちんと考えてあげてほしい。企業のためにも必要なことなのだから。